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平成27年1月9日

新会社法のQ&A


新会社法のQ&Aとは別に、新会社法・会社設立Q&Aも新たに設けましたので、そちらも参考にしてみてください。

随時、記事を追加しています。

櫻井法務行政書士オフィスでは、お忙しい事業主の皆様に代わって、新会社の設立業務定款の見直し等のお手伝いをさせて頂いております。

お困りの事業主様は、是非、お問合せ下さい。

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新会社法Q&A

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新会社法Q&A

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お調べになりたい項目をクリックして下さい。

Q1.新会社法では有限会社はどうなりますか?

Q2.新会社法においては最低資本金はどうなりますか?

Q3.商号について新会社法ではどう変わりましたか?

Q4.新会社法における定款はどう変わりましたか?

Q5.払込保管証明書についてはどう変わりましたか?

Q6.「新株発行」に関しては何が変わりましたか?

Q7.現物出資や財産引き受けについては、どのような見直しが行われましたか

Q8.事後設立について新会社法ではどう変更されましたか?

Q9.新株予約権とはなんですか?

Q10.企業防衛の手段として新株予約権を利用する事が出来ますか?

Q11.買収防衛策指針について教えてください。

Q12.種類株式についてどのような場合に株式買取請求ができるようになったのですか。

Q13.企業防衛と種類株式について

Q14.株主総会以外の機関の設置については、どのような見直しが行われましたか。

Q15.機関設計のルールについてはどうなっていますか?

Q16.株主総会の招集手続きについては、どのような見直しが行われましたか?

Q17.株主総会の決議要件についての見直しはどのように行われましたか?

Q18.取締役の資格及び員数に関してはどのような見直しが行われましたか?

Q19.取締役の任期についてはどう変更されましたか?

Q20.取締役の選任と解任については、どう見直しが行われましたか?

Q21.取締役の業務執行について

Q22.共同代表取締役登記制度の廃止について

Q23.取締役会の招集や決議についての改正点は何ですか?

Q24.重要財産委員会を廃止して特別取締役制度を創設した理由は何ですか?

Q25.監査役に関してはどのような改正が行われましたか?

Q26.会計参与の資格・任期はどのようになっていますか?

Q27.会計参与の職務権限は何ですか?

Q28.会計参与の責任についてはどうなっていますか?

Q29.会計監査人を置かなければならない会社とはどんな会社ですか?

Q30.会計監査人の欠格事由ついてはどうなっていますか?

Q31.委員会設置会社についてはどのような見直しが行われましたか?

Q32.委員会設置会社において、取締役が使用人を兼務できないとする理由について

Q33.会計帳簿については、どのような見直しが行われましたか?

Q34.会計帳簿の閲覧請求についてどのような見直しが行われましたか?

Q35.計算書類の種類および記載事項についてはどのような見直しが行われましたか?

Q36.連結計算書類については、どのような見直しが行われましたか?

Q37.連結決算に必要な書類にはどんなものがありますか?

Q38.利益の配当に関しては、どのような見直しが行われましたか?

Q39.分配可能額はどのように算定されるのですか?

Q40.剰余金の配当に関する責任および期末の填補責任については、どのような見直しが行われましたか?

Q41.営業譲渡に関する規制についてはどのような見直しが行われましたか?

Q42.事後設立に関する規制については、どのような見直しが行われましたか?

Q43.解散・清算について新会社法ではどのような見直しが行われましたか?

Q44.持分会社とは何ですか?

Q45.合同会社(日本板LLC)とは何ですか?

Q46.合同会社(日本板LLC)の債権者保護のための手続きはどうなっていますか?

Q47.日本板LLP(有限責任事業組合)とは何ですか?

Q48.パススルー課税とは何ですか?

Q49.社債についてはどのような見直しが行われましたか?

Q50.社債管理会社の権限と責任についてはどう変更されましたか?

Q51.異なる会社間の組織変更はどのような手続きで行なわれますか?

Q52.組織再編行為には、どのようなものがありますか?

Q53.対価柔軟化とは何ですか?

Q54.対価柔軟化においては、どのようなものが対価として認められますか?

Q55.略式組織再編行為とは何ですか?

Q56.略式組織再編行為において,少数株主や種類株主の利益はどのように保護されますか?

Q57.外国会社は日本ではどのように扱われていますか?

Q58.擬似外国会社については、どのような見直しが行われましたか?

Q59.新株発行、自己株式の処分、新株予約権発行の無効の訴えの提訴期間についてはどうなりましたか?

Q60.新株発行、自己株式処分、新株予約権発行の不存在確認の訴えを新設することとしたのは何故ですか?


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このQ&Aには、代表的な質問しか載せてありません。

個々のケースによって微妙に解決法が異なる場合がありますので、詳しいことは遠慮なくお問合せ下さい。

櫻井法務行政書士オフィスでは、お忙しい事業主の皆様に代わって、新会社の設立業務定款の見直し等のお手伝いをさせて頂いております。

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建設業許可・経営事項審査・最新情報

この記事は、主に建設通信新聞の記事をもとに、最新の建設関係のニュースをお届けしています。

そのため、ほかのQ&Aとは違い、Qの順番が数字の多いほうが上に来ています。(記事の新しいほうが最初に来ています。)
 

お調べになりたい項目をクリックして下さい。

Q47.総合評価 加算方式

Q46.国交省の建設コンサル業務

Q45.工学系技術者

Q44.日本板インスペクター(検査員)制度

Q43.東京都の新総合評価方式

Q42.ダンピング対策

Q41.入札ボンド(6)

Q40.入札ボンド(5)

Q39.調達支援

Q38.入札ボンド(4)

Q37.入札ボンド(3)

Q36.入札ボンド(2)

Q35.入札ボンド(1)

Q34.進化を見せる「環境報告書」

Q33.VEリーダー合格者発表

Q32.入札ボンド導入(全建、国交省と意見交換)

Q31.建設生産システム懇談会(中間報告)

Q30.総合評価低入対策

Q29.国交省のダンピング対策

Q28.建築設備士

Q27.JR東日本丸の内駅舎復元工事

Q26.人材をいかす資格戦略(10)・・・登録建築家

Q25.人材を生かす資格戦略(9)・・・APECアーキテクト

Q24.人材をいかす資格戦略(8)・・・RCCM

Q23.人材をいかす資格戦略(7)・・・VEリーダー

Q22.人材をいかす資格戦略(6)・・・BELCA認定資格

Q21.人材をいかす資格戦略(5)・・・土木学会認定技術者

Q20.人材をいかす資格戦略(4)・・・ダム工事総括管理技術者

Q19.人材をいかす資格戦略(3)・・・コンクリート診断士

Q18.人材をいかす資格戦略(2)・・・CASBEE評価員

Q17.人材をいかす資格戦略(1)・・・経審加点対象

Q16.資格取得へ促進策

Q15.日本型入札ボンド(2)

Q14.土壌汚染対策基金

Q13.建築士講習義務

Q12.建築設備士(2)

Q11.NETIS(新技術情報提供システム)登録技術

Q10.建築設備士(1)

Q9. 新建築士制度(2)

Q8. 顧客獲得へ

Q7. 中小企業向け官公需

Q6. 新建築士制度(1)

Q5. 低入札価格調査制度

Q4. 日本型入札ボンド制度

Q3. 建退共の今後のあり方

Q2. 国交省 虚偽防止対策

Q1. 経営事項審査とは

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株式分割とは?

ライブドア事件で株式分割が問題となっている。

直接の疑惑は証券取引法違反(偽計・風説の流布)の容疑であるが、そこには、「株式分割」と「株式交換」という金融手法を駆使した企業買収戦略があった。

「株式分割」とは、1株を2株に、あるいは2株を3株にというふうに、既存の株式を細分化して、従来よりも多数の株式にすることをいう。

例えば1株10万円の株式を10分割すれば、1株1万円になるので、投資家が増え事業に必要な資本を集めやすくなる。

また、

(1)株価が高騰してそれを下げるニーズがある場合

(2)通常の新株発行を時価発行で行なった後にそのプレミアムを株主に還元する場合

(3)いわゆる株式配当を行なう場合

などに利用される。

しかし、企業家はそのような教科書的な株式分割の定義を知ることにウエートをおかず、株式分割は企業にとって如何に利益をもたらすか、という発想をする。

本来は、株式分割をしても企業価値自体が変わるわけではなく、理論上は1株を2株に分割すれば株価は半分になる筈である。

ところが、実際には、分割直後に株価が急騰する場合が多い。

その理由は、分割により増加する株式の印刷などに50日ほど必要なため、市場では取引できる株式数が極端に少なくなり、投資家は買いたくても買えないという状況に陥るからだ。

そのため、買いやすくなった株に買い注文は殺到するが、売ることはできず、結果的に株価は上昇する。

株価がつりあがった自社株を武器に、相対での株式交換や株式公開買い付け(TOB)によって、企業の買収攻勢に出たのがいわゆるライブドアの手法である。

100分割という大幅な株式分割を行い実質、発表時よりも8倍近い値をつけた。

株式分割自体は、違法行為ではないが、大幅な株式分割は株価の急変動を招く事が多く、東京証券取引所は、昨年3月、その自粛を全上場企業に要請した。

そして、他の国内の証券取引所も同様の要請をしており、大幅な株式分割は事実上、禁じられた形となっている。

株式分割と偽計、風説の流布があいまって、株価は実際には、最初の虚偽発表の直前から2か月弱で、約45倍にまで上昇している。

時代の寵児は今、窮地に立たされている。

今、なぜ会社法制の大幅な見直しが行われたか。

一. ちなみに商法第38条第2項を見てみよう。

「支配人ハ番頭、手代其ノ他ノ使用人ヲ選任又ハ解任スル事ヲ得」となっている。

番頭」とは現代で言う専務、常務クラスの役員を言い、「手代」とは部長、課長クラスの中間管理職を言うらしい。

従業員(社員)の事を「丁稚」と書いてあれば、ほぼ完璧であったが、明治の立法担当者に、そこまでのユーモアのセンスは期待できない。

この一例でお分かりのように陳腐化した表現、読みにくいカタカナ表記、文語体を現代社会にマッチした表現に改めようとしたのが改正理由の第1点である。

二. 現行の商法は個人事業主と会社の両者について規定がなされている。

又、会社については、現行の商法だけでなく「有限会社法」、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」(監査特例法)など、別々の法律で規定されており、構成そのものが非常にわかりづらい。

さらに、近時、議員立法によるものも含め短期間に多数回にわたる改正が積み重ねられている。

その全体的な整合性を図り、現代社会により一層対応したものに改善するために、改めて体系的にその全面的な見直しを行おうとしたのが、改正理由の第2点である。

新会社法は、現行の商法から、「第2編 会社法」を抜き出し、有限会社法を廃止し、監査特例法など会社について規定する法律を統合し、全文を再構成した上で、全979条からなる新しい法律の1つとした。

三.改正された今度の会社法は条文だけで979条、中央経済社の「会社法」の条文集は条文だけで300ページを超えている。

しかも、憲法や刑法と比べると1条がやたらと長い。

この現実を前にすると、多くの行政書士の先生方はしり込みをしてしまうであろう。

何故なら、これまでの行政書士の試験には商法は法律科目40問中2問しか出題されなかったので、ほとんどの受験生は初めから商法を捨ててしまって他の法律科目で点数を稼ごうとしたからである。

これはこれで受験テクニックとしては正解である。

そもそも改正法を理解する前の段階の現行法を充分理解していないのであるから、全面改正となれば、向学心よりも恐怖心が先にたつ。

行政書士が会社法に弱い証拠に、平成17年6月29日に新「会社法」が成立したが、この関連の夥しい数の解説書が本屋さんの店頭を飾っているにも拘らず、著者は弁護士、公認会計士、司法書士、それと商法学者ばかりであり、残念ながら行政書士の名前を見つける事はできなかった。

四.しかし、依頼者は、さまざまな悩みを抱えている。

法律家のはしくれとして、商法に弱い、では依頼者の期待に充分応えきれない。

そういうわけで、理解できる範囲で、新会社法にも挑んでみたい。

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新会社法のQ&A
 

随時、更新しています。

どうぞ、参考にしてみてください。

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新会社法について

平成17年6月に会社法が成立し、平成18年5月より施行されることになりました。

新会社法は条文だけでも979条を数えるという膨大なものであり、商法の改正も近年毎年のように行われてきました。

本屋さんへ行くと、新会社法の解説書が30数冊も並び、どれを選んだらよいか途方にくれてしまう、というのが本音ではないでしょうか。

そこで、近年の商法改正の問題点も含め、新会社法の重要ポイントを一問一答形式でまとめてみました。

随時追加していきますので、必要なところだけ参考にしてみてください。

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新会社法の重要ポイント(1)・・・有限会社

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Q1.新会社法では有限会社はどうなりますか?

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A1.

各会社の数

平成16年11月末現在(清算中の会社を除く)

・合名会社 1万9000社
・合資会社 8万7000社
・有限会社 189万3000社
・株式会社 114万8000社

平成17年1月現在

・証券取引所の上場会社 3700社
・商法特例法上の大会社 1万1000社
・大会社のうち議決権を有する株主が1000人以上の会社 3700社
 

新会社法の重要ポイント

1.有限会社の廃止

・現在、有限会社は約190万社あると言われ、現行法における4種類の会社の中で最も多数を占めています。

・そもそも、現行法における有限会社と株式会社の違いは、以下のような規模と閉鎖性にあるとされています。

(1)規模

・株式会社の資本金は1、000万円以上でなければならないが、有限会社の資本金は300万円以上で足ります。

(2)閉鎖性

・株式会社は、原則株式の譲渡が自由に出来ますが、有限会社は、社員の持分を社員以外の者に譲渡するには社員総会の承認が必要です。

(3)実態

・しかしながら、実態として、有限会社では株式会社と比べ信用力に劣るというイメージから、本来、実質的には小規模かつ閉鎖的であり、有限会社が相当であるにも拘らず、株式会社としている例が少なくありません。

・また、閉鎖性の点でも、株式会社における株式譲渡制限会社と有限会社を区別する理由は有りません。

・新会社法においては、規模の点では最低資本金制度の撤廃により、株式会社と有限会社を区別する理由がなくなりました

・以上のことを踏まえ、有限会社を廃止し、株式会社に統合一本化する事となりました。
 

2.現行の有限会社の行方

(1)そのまま有限会社を選択

・現在ある有限会社は、特例有限会社として有限会社を名乗ったまま、新会社法における株式会社として存続が可能です。

・基本的には、株式会社の規定が適用されることになりますが、当然、新会社法は現行の有限会社法と異なる規定が多い事から、「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(整備法)により、以下のような経過措置が設けられ、現行の有限会社と同様の運用となるよう配慮されています。

(イ)取締役、監査役の任期規定の不適用

(ロ)特別決議は議決権の3/4以上の同意

(ハ)決算公告の不適用

(2)株式会社にシフト

・整備法により、現行の有限会社は定款変更をして株式会社になることが、認められています。

(3)今後の予想

・変更に係るコストにもよりますが現行の有限会社の多くは、そのネームヴァリューから株式会社に変更する事が予想されます。

・なお、整備法には経過措置を設けていない事から、このままずっと有限会社を名乗り続ける事も可能です。

・新会社法の施行後は、新たに有限会社を設立する事はできません。

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Q2.新会社法においては最低資本金はどうなりますか?

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A2.

1.最低資本金制度とは

・旧商法においては、最低資本金として、株式会社を設立する場合は、1,000万円が、有限会社の場合、300万円が必要でした。

・株式会社や有限会社の場合、出資者は出資した限度の責任を負うにとどまるので、会社債権者は会社財産のみを引き当てにするしか方法がありません。そこで、債権者の保護を目的として会社財産を一定額以上確保するように、最低資本金制度が、設けられていました。

2.最低資本金制度の特例

・旧商法においても、特例としていわゆる確認会社として最低資本金の規制を受けずに、資本金1円から株式会社、有限会社を設立する事が出来ました。

・確認会社

起業の促進を図るための「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」により、創業者であることについて経済産業大臣の確認を受け、最低資本金未満の資本金によって設立される会社。

・なお、5年以内に増資、組織変更により最低資本金を充足できない場合には、会社は解散となります。

3.最低資本金規制の撤廃

・最低資本金制度は、設立時の財産の出資を要求しているに過ぎず、会社が常に資本金相当額を保持している義務を定めたものではありません。

・そのため、損失が生じ、会社財産の額が最低資本金の額を下回ることになったとしても、これを補填するために新たな財産を拠出する事は、要求されません。

・これでは、債権者保護という効果は期待できない事になります。

・そこで、新会社法では、債権者保護について、剰余金の分配等の規定等の見直しにより手当てし、最低資本金制度を撤廃する事になりました。

4.特例を受けて作った会社はどうなるのでしょうか。

・特例会社は、設立の時に作った定款に「資本金を増やせなかった場合、5年後に組織変更か、解散する事」を定め、これを、登記することになっています。

・資本金を増やすことなく5年後の解散等を避けるためには、新会社法が施行された場合、株主総会等で、この解散事由を定款から削除するという決議をし、登記簿から削除する手続きをしなければならなりません。この手続きによって、現状の資本金のままで、株式会社をずっと続けることができます。

5.最低資本金規制撤廃後のポイント

(1)起業の促進

・現行法の特例である確認会社ではなく、資本金1円からの会社が設立できるようになると、設立当初の資本金の調達を理由に会社設立をためらっていた人の起業を促進する効果が期待できます。

・しかし、過小な資本金で会社を設立した場合、会社としての対面が調ったに過ぎず体外的信用は乏しいといえます。

・そこで、資本金の裏付けがない分、他社にない技術力や独自のノウハウで補完し、信用を獲得していくことが必要となります。

・会社は1円でも作れますが、事業の元手となる資金をいくらにするかは、充分考慮する必要があります。

2.信用調査の厳格化

・会社設立が容易になると、実態のない会社が、増加する事が懸念されます。

・これまで、取引の相手方として、その会社の資本金により信用を図っていた部分がありましたが、今後はこれまで以上に、信用調査を厳重に行う事が必要になってきます。

3.新会社法のもとでは、株式会社を設立するには、最低限どの位の費用が必要でしょうか?

(1)株式会社を設立する場合は、金銭その他の財産を出資する必要がありますが、会社法では、設立時の出資額規制を撤廃した事から、出資額を1円とすることも可能です。

(2)次に、定款について、公証人の認証を受ける必要がありますが、その際、認証手数料として5万円、公証人が保存する定款原本についての印紙税4万円が必要となります。・・・(5)を参照

(3)設立の登記をする際に、登録免許税を納付する必要がありますが、資本金を1円とする場合は、15万円を納付する必要があります。

(4)このように、会社法のもとでは、株式会社を設立するために、最低限必要な費用については、おおむね24万円程度です。

(5)ただし、電子公証制度を利用した場合、印紙税は不要です。

(6)ちなみに、旧商法のもとで、株式会社を設立する場合は、

(イ)出資として1,000万円

(ロ)定款の認証手数料として5万円

(ハ)印紙税として4万円

(ニ)登録免許税として15万円

(ホ)払込取扱機関の保管証明発行手数料(機関によって違いが有りますが、1,000万円の場合、2万5、000円位が多い)

(ヘ)このように、旧商法のもとで株式会社を設立する場合は約1、030万円の支出を要します。
 

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Q3.商号について新会社法ではどう変わりましたか?

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A4.

1. 旧商法

・ 既に登記されている商号と同一または類似する商号を、同一の営業のために同一市町村内において登記することは出来ません。

・ 自己の商号を登記した者は、不正な競争目的で自己と同一または類似する商号を使用する者に対して、使用の差し止めと損害賠償を請求できます。

2.改正法

・いずれの制限も撤廃され、類似商号であっても登記が出来るようになります。

3.改正の目的

・インターネット等が普及している今日、同一市町村内を基準とする意味は薄れています。

・ 同一の営業という判断基準のついても、必ずしも明確ではなく、会社設立をする際の類似商号の調査は、非常に面倒なものとなっています。

・ 現在は未登記の商号であっても、「商標権」や「不正競争防止法」により登記済みの商号とほぼ同様の保護を受ける事が出来ます。

・ そこで、商号の保護は「不正競争防止法」によって行うものとして、不正競争目的にかかる「商法」の商号保護規定は削除される事になりました。
 

4.不正競争防止法

(1)不正競争防止法とは

・事業者間の公正な競争を確保するために民事上の救済手段と刑事上の制裁を定めた法律

・他社の商号として、広く認識されているものとまぎらわしい商号を用いて商品やサービスを混同させる行為は不正競争にあたるため、その侵害行為の差し止めや損害賠償の請求をする事ができます。

(2)〈関連条文〉

第2条

この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
1.他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為

第3条

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

2 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第5条第1項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
《改正》平15法046)

第4条

故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第8条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密を使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。

4.商標権

・商品やサービス等を表す文字や図形、記号等を商標法に基づいて登録する事によって発生する権利。

・商号が商標に該当する場合は、商標登録する事ができる。

・商標権には独占的・排他的な効力があるため、商標権を侵害された場合その侵害行為の差し止めや損害賠償等の請求をする事が出来る。

5. 類似商号調査

・同一市町村内で類似商号を使用した会社を設立できるとしても、それは、あくまで登記手続き上の問題に過ぎません。

・登記上の類似商号制度が廃止されたとしても、商号自体が無くなる訳ではないので、法務局における、類似商号調査は従前どおり、行うべきでしょう。

6.商標権調査

・商標権で保護されている商号であるかどうかを確認するための商標権調査も行うべきと思われます。

・その他、当該商号を使用している者がいるかどうかも、インターネット、電話帳などの確認も必要です。

・インターネット登記情報提供サービスを利用すると登記所に行くことなく商号の調査をする事が出来ます。

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新会社法の重要ポイント(4)・・・定款

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Q4.新会社法における定款はどう変わりましたか?

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A4.

一.定款とは

・定款とは、会社の組織や活動に関して定めた根本規則のことをいいます。いわば、会社の憲法みたいなものです。

・発起人は、株式会社の設立に際して、定款を作成し、認証を受けなければなりません。

・定款には必ず定めておかなければならない絶対的記載事項があり、この記載を欠いてしまうと定款としての効力を有しません。

二.定款の認証

・発起人による定款作成行為が真正に成立したことを公証人が認証する事を、定款の認証といいます。

・株式会社設立の際に作成する定款は、会社の本店所在地を管轄する法務局所属の公証人の認証を受けなければ、その効力は生じません。

・会社設立時に発起人が作成し、認証を受けた定款を「原始定款」といいます。

三.新会社法における定款

・旧商法においては、

(1)株式会社が設立に関して発行する株式の総数を定款に記載しなければなりません。

(2)当該設立時発行株式数を基準として、株式会社が発行する事の出来る株式の総数を定め、これを定款に記載しなければならないこととされています。

・しかし、出資される財産の総額に拘わらず、設立に際して発行する株式の数のみが先に定まる現行商法の規定は、設立手続きを硬直化させるおそれがありました。

・そこで、新会社法ではつぎのような見直しを行っています。

(1)設立に際して発行する株式の総数

・資本と株式の数との間には直接の関係はなく、設立に際して発行する株式の総数を定款で定めておく実益がないため、設立時発行株式数については定款に記載しなければならない事項(絶対的記載事項)から除外しました。

(2)設立に際して出資される財産の価額またはその最低額

資本充実の観点から、設立時の出資については定款で明確に定めておく必要性が高く、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額があらたに絶対的記載事項とされました。

(3)会社が発行する株式の総数

会社が発行する株式の総数は、設立までに定款で定めておく必要はあるものの、原始定款における絶対的記載事項からは除外されました。
これは、設立手続きの過程で、株式の引受状況を見極めながら、授権資本を柔軟に変更できるようにしたものと思われます。

(4)公告をする方法

・会社が公告をする方法も絶対的記載事項から除かれ、定款で特に記載がなければ官報によるものとされました。

・そのため、日刊新聞や、電子公告による場合は、旧商法と同様、定款に定めておく必要があります。

・なお、新会社法における定款は、旧商法と比較して格段にその自由度を拡大しています。

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Q5.払込保管証明書についてはどう変わりましたか?

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A5.

一.旧商法

・旧商法では、発起設立(発起人のみが出資者となる設立方法)と募集設立(発起人以外の者も設立に際して出資者となる設立方法)の双方について、払込取扱機関を用いる事を義務付けた上、払込保管証明制度を採用していました。

払込金保管証明書

・銀行等払込取扱機関が、設立、増資の際の払込金を保管していることを証明する書面。

・払込取扱機関は、会社設立等の効力発生後、会社に対して証明した払込金額に関して即座に無条件で返還しなければならないという重い責任を負っています。

・これにより、払込の仮装を防止し、資本の充実を図っています。

二.旧商法上の問題点

(1)銀行等に払込取扱事務の依頼をしても、払込金保管証明書には重い責任が課せられている事から、事実上取扱を拒否された入り、その可否を審査するため相当の時間を要する場合がありました。

(2)払込金保管証明書の発行には、払込金額に対する一定料率による手数料がかかり、そのコストは、馬鹿に出来ません。

(3)実務上、保管されている払込金は、設立登記完了後、登記簿謄本を当該金融機関に提出し、会社設立を証明するまで返還がなされていません。そのため、早期に資金を有効に活用できにくくなっていました。

三.新会社法

(1)発起設立の場合

・払込保管証明書ではなく、残高証明書の方法による事も出来るようになりました。

・これにより、これまで取扱事務に要した時間と費用を時間が削減できるようになり、迅速な設立が可能となります。

(2)募集設立の場合

・株式を引き受けた人を保護する必要性が高いことから、現行法どおり払込の証明は、払込金保管証明書に限定されることになりました。

・新会社法では、見せ金による設立が横行するのではないか、との危惧もありますが、最低資本金制度の撤廃により、見せ金を準備する必要性も減少してくるものと思われます。

・ちなみに、見せ金をつんで資本金を増大させる行為は、公正証書原本不実記載罪〔刑法157条〕を構成する可能性があるので、充分注意が必要です。

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Q6.「新株発行」に関しては何が変わりましたか?

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A6.

一.株式

1.株式については近時、平成13年、平成14年、平成15年、平成16年に商法改正により、種類株式、自己株式、株券発行等について相次ぐ見直しが行われました。

2.新会社法においては、近時の相次ぐ改正を整合的に整理するとともに、以下の事項を含む、広範な規定の見直しを行っています。

(イ)ある種の株式のみ譲渡制限株式とすることを可能とする。

(ロ)株主に対して株式を無償で割り当てる事を可能にする。

(ハ)ある種の株式の全部を株主総会の決議によって株式会社が取得する事を可能とする。

(ニ)株主の請求により株式会社が株式を取得し、その対価として金銭以外の財産を交付する事を可能とする。

(ホ)一定の事由の発生により株式会社が株式を取得し、その対価として金銭以外の財産を交付することを可能とする。

二.払込期間

1.旧商法においては、新株発行に際し、会社が一定の日を払込期日と定め、その日に発行価額全額の払込が行われ株主となります。

2.実務的には、払込期日前に設けられた申し込み期間中に発行価額全額に相当する申し込み証拠金を差し入れ、それを払込期日に払込金に充当する形を取っています。

3.そうなると、実質、資金の払込を行ったにも拘らず、株主になれない期間が生ずる事になってしまいます。

4.新会社法においては、新株発行に際し、払込期日に代えて払込期間を定める事が出来、新株の引受人は、払込期間中の払込を行った日から株主となる事とされました。

5.ちなみに、新株発行の効力発生時期は、平成16年改正前は払込期日の翌日とされていましたが、平成16年改正で払込期日と改正されました。決済リスク削減のためのDVP(払込資金の支払と新株の交付の同時履行)を可能とするためです。

三.発行手続きの合理化

1.旧商法においては、第三者に有利な価額で新株発行を行う場合には、株主総会の特別決議が必要です(有利発行承認手続き)。

2.また、株式譲渡制限会社が第三者割り当てによる新株発行を行う場合、株主総会の特別決議を行わなければなりません(株主の新株引受権の排除手続き)。

3.新会社法では、株式譲渡制限会社が第三者割当による新株発行を行う場合、株主総会においてその発行価額の下限について決議する事により、有利発行承認手続きと株主の新株引受権の排除手続きを一本化できるようになりました。

4.これにより、その後の取締役会決議のみにより機動的な新株発行を行う事が出来るようになります。

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Q7.現物出資や財産引き受けについては、どのような見直しが行われましたか?

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A7.

一.

1.現物出資とは、出資を金銭以外の財産で行う事、財産引受とは、会社の成立を条件として主に営業用の財産を譲り受ける事をいいます。

2.旧商法においては、現物出資および財産引受については

(イ)裁判所の選任する検査役の調査を受けなければならないこと

(ロ)出資等をした財産の価額が定款で定めた価格を下回る場合の差額について発起人および取締役が無過失責任を負うこと

等の極めて厳格な規制が講じられていました。

3.実務においては、こうした厳格な規制を避けるため、現物出資や財産引受はほとんど行われていないといわれています。

二.

1.しかし、会社設立に当たり、会社成立後の事業遂行を円滑にする等の目的から、金銭の代わりに、事業の実施に必要な財産や特許等の知的所有権を出資して会社を設立したいという要望は強いようです。

2.新会社法においては、こうした要望に応えるため、現物出資等の利用を容易にするための見直しを行いました。

三.

1.旧商法では、設立時の資本の1/5以下、かつ500万円以下の価格の財産について検査役の調査を免除していました。

新会社法では、資本に対する割合の要件を廃止し、500万円以下の財産については検査役の調査を不要としました。

2.又、取引所の相場のある有価証券だけでなく市場価格のある有価証券についても市場価格を超えない場合は、検査役の調査を不要としました。

3.取締役の価格填補責任については、発起設立の場合には民事の基本原則にのっとり、過失責任化を図る事にしています。

4.募集設立の場合は発起人以外の引受人の保護のため無過失責任を維持しています。

四.

1.資本金が500万円の会社を設立する場合は、現物出資又は財産引受に関する検査役の調査を受ける必要が無くなりますので、用意に現物出資して会社を起こすことが出来ると考えられます。

2.実務上、過失のない事を証明するのは非常に困難ですので、他の発起人が現物出資する場合であっても、定款に記載する金額を慎重に定める必要があります。

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Q8.事後設立について新会社法ではどう変更されましたか?

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A8.

一.事後設立

・事後設立とは、会社の設立後2年以内に、会社の設立前から存在する営業用の財産を一定の割合以上の価額で取得する事をいいます。

二.旧商法

・旧商法では株式会社の設立前から存在する財産を、会社設立後2年以内に資本金の1/20以上の対価で取得〈事後設立〉する場合には、株主総会の決議に加えて、検査役の調査を受ける必要がありました。

・この検査役の調査は、平成2年の改正において資本充実の観点から、会社が取得する財産価額の適正性を確保するとの目的で導入されたものです。

三.新会社法

1.事後設立に際して検査役の調査を受ける必要がなくなります。

2.事後設立に際して株主総会の決議が必要となる基準は、営業全部の譲受に際して株主総会の決議が必要となる基準に統一されました。

3.すなわち、純資産額の1/5以上の対価で取得する場合となります。

4.新設合併、新設分割または株式移転により新設された会社は、2の事後設立の規制を回避する事が出来ます。

四.改正の経緯

1.一般の取引によって会社財産が害される事は、設立の年数とは関係なく常に起きうる問題である事、

2.会社が事業活動に伴い取得する財産の価値の適正性の判断は、取締役等が会社の業務を行ううえで最も基本的な判断であって、善管注意義務の範囲内で行われるべき事項であること、

3.調査コストとスケジュール等、事業の運営に障害が発生する事、

4.実務の上で本規制回避のために種々の非合理な努力がなされている事、
〈例〉
(ア)事後設立に係る検査役の調査の規制を回避するために、売買契約等を分割して行う、

(イ)あえて財産状態に問題がある可能性も否定できない会社成立後相当程度期間の経過した休眠会社を買い取り、これを受け皿会社とすること、

等から、新会社法では事後設立の際の検査役の調査に関する規定は撤廃される事になりました。

5.又、資本金に比して少ない対価で営業用の財産を譲り受ける場合にまで株主総会の決議を必要としたのでは、機動的な設備投資ができないことから、株主総会の決議を必要とする基準も緩和されました。

五.対処法

1.検査役の調査が不要であっても、安価な設備を不当な高額で購入した等という事になれば、別途、取締役に対する損害賠償責任の問題にまで発展しかねません。

2.特に、市場価格が存在しない特殊なものを購入する時は、簡易な鑑定を専門家に依頼する等の方法で、適正価格であることの証明が出来るだけの資料を集めて置くことも重要です。

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Q9.新株予約権とはなんですか?

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A9.

一.新株予約権

1.新株予約権とは、会社に新株を発行させる、または会社の自己株式を移転させる権利の事を言います。簡単にいうと、株式を予定の価格で購入できる権利で、コール・オプションの事を意味します。
 

2.新株予約権の所有者は、新株予約権を行使して、会社に新株を発行させる、または自己保有株式を移転させる事が出来ます。

3.新株予約権は、従来の転換社債権、新株引受権、ストックオプションの総称です。これまでの新株引受権の制限を緩和して出来た新しい用語で平成14年4月1日施行の商法改正で導入されました。

4.(ア)ストックオプションとは、業績連動型のインセンティブ報酬として、会社の役員や従業員に対して一般的には新株予約権を無償で与え、一定期間内にそれを行使し、株主となることが出来る権利を言います。平成9年6月の商法改正で解禁された制度です。

(イ)権利を持っている取締役や従業員は、自社の株価が上がると、予めきめられた価額で株式を購入できます。それを市場価額で売却する事によって、その差額を利益として売る事が出来ます。株価が下がった場合は株式を購入しないので損はありません。

(ウ)株価が上がると、権利を持っている取締役や従業員の利益も上がるため、業績向上に対する労働意欲を促進させる事が出来ます。

(エ)この利益を報酬として捉えると、資金が不足しがちなベンチャー企業が優秀な人材を確保するのにも役に立ちます。

二.取得条項付新株予約権

1.新会社法では、新株予約権発行内容の一つとして、一定の事由が生じた場合に会社が新株予約権を取得する事が出来るという条項を設定する事ができる事になりました。

2.これを、取得条項付新株予約権といい、つまり会社が強制的に取得できる新株予約権を発行できる事になります。

3.また、取得条項付新株予約権を会社が取得する際の対価として、金銭以外に株式、社債、別の新株予約権等その他の財産を交付する事が出来るようになります。

三.新株予約権の消却

1.旧商法においては、新株予約権は、発行内容の一つとして消却事由を定めなければ、消却することが出来ませんでした。

2.新会社法においては、会社は取得条項付新株予約権を取得し、自己新株予約権とした上で、それを消却することとされました。

3.なお、会社が自己新株予約権を行使し、株式の交付を受ける事は自己株式の取得となることから、できない事が明確化されました。

四.現物出資による行使

1.旧商法においては、新株予約権の行使における払い込みは、金銭に限定されていました。

2.新会社法では、新株予約権の行使の対価として、金銭以外の財産を現物出資することが出来るようになりました。

3.この場合は、設立や新株発行における現物出資と同様、原則として、裁判所が選任する検査役の調査が必要になります。
 

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新会社法の重要ポイント(10)・・・企業防衛と新株予約権

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Q10.企業防衛の手段として新株予約権を利用する事が出来ますか?

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A10.

一.旧商法

1.旧商法の下でも敵対的企業防衛の防衛策であるポイズン・ピルとして新株予約権を利用する事はできました。

2. 具体的には、敵対的企業買収者が一定の議決権を取得する事を行使条件として新株予約権を発行する事により、何かあったときにそれを行使して、買収者の株式持分比率を低下させる事が出来ます。

二.新会社法

1. 新会社法においては、取得条項付新株予約権を利用する事で精度の高いポイズン・ピルを組成する事が可能となります。

2. 例えば、敵対的企業買収者が一定の議決権を取得することを取得条項とする新株予約権を発行することにします。

3. 何かあったときには、会社は、強制的に新株予約権を取得した上で、その取得の対価として自社の株式を発行し、買収者の持分比率を下げる事が出来ます。

三.敵対的企業買収

1. 敵対的企業買収とは、上場企業の株式を、対象企業経営陣の同意を得ずに、市場における買い集めによって取得する事をいいます。

2. 対象企業の既存経営陣の意思に拘わらず買収する企業が市場で経営支配権を取るにたる株式を買い集めるとします。

3. そうすれば、買収企業は事実上、現経営陣を排除することが可能となります。

4. 1980年代にアメリカで横行した企業の乗っ取りは,この手法を使って行われました。

5. 現在ではM&Aはより「事業価値の向上」を主たる動機として行われるようになり、かつてのマネーゲームのためのM&Aは余り見られなくなってきています。

6. しかしながら、不特定多数の株主の利益に着眼する時、期待する利益ももたらさないような企業の株をもち続ける理由も有るとは思えません。

7. 敵対的企業買収を防御する方法としては市場における株価の向上に加え、会社として適正な株主構成を考え、それを戦略的に構築していく事が必要です。

8. 平成17年2月以降,大手メディアを巻き込んだ一連の敵対的買収劇により、上場企業にとって敵対的買収リスクに対する関心が高まり、その後迎えた株主総会では、買収防衛策の導入を検討・決議する企業が多くなってきました。

9.この動きを受けて、経済産業省、及び法務省は、適法性かつ合理性の高い買収防衛策のあり方を示した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」(平成17年5月27日)を策定公表しています。

四.ポイズン・ピル

1.ポイズン・ピルとは、企業が敵対的買収を抑止防衛するための手段の総称を言います。

2.直訳すると、毒薬ですが、買収者が企業を飲み込むとじわじわ効いてくる事から名付けられました。

3.あらかじめ、既存の株主に、新規発行の株式を購入できる権利である新株予約権を割り当てておき敵対的な買収者が現れた場合は、株式への転換を進めることで、敵対的な買収者の議決権比率を下げる方式を言います。

4.旧商法では、株主が転換するかどうかを判断するため、必ずしも防衛策になりませんでしたが、新会社法では会社側の判断で転換できるようになります。
 

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Q11.買収防衛策指針について

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A11.

一.経済産業省・法務省の指針

1.経済産業省・法務省は、平成17年5月27日付けで、適法性且つ合理性の高い買収防衛策の指針を公表しました。

2.「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に対する指針」(買収防衛策指針)と呼ばれています。

3.日本では、敵対的買収に対する経験が浅く、どういった買収方法が公正な買収方法で、どういった防衛方法が公正な防衛方法なのかについて共通認識がありません。

4.そこで、適法で合理的な買収防衛策のあり方を示して、買収に関する公正なルールの形成を促す目的で公表されました。

5.買収防衛策指針では、以下の3つの原則を示しています。

二.〔原則1〕企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則

「買収防衛策の導入、発動及び廃止は、企業価値、ひいては、株主共同の利益を確保し、又は向上させる目的を持って行うべきである」

・グリーンメーラーや強圧的2段階買収など既存株主の犠牲の下に買収者の利益を実現しようとする買収に対する防衛策や、株主に判断させるための充分な時間・情報・代替案を与えるための防衛策を導入する事は、適法且つ合理的とするものです。

・グリーンメーラー:株式を買い集め高値での買戻しを要求する買収者

・強圧的2段階買収:株主に売却を事実上強要する恐れのある買収

三.〔原則2〕事前開示・株主意思の原則

「買収防衛策は、その導入に際して、目的、内容等が具体的に開示され、且つ、株主の合理的な意思に依拠すべきである。」

1.事前開示の原則:買収防衛策を導入しようとする会社は自ら積極的に導入の目的、具体的な内容、効果などを具体的に開示する事が必要であり、事前開示は、買収防衛策の導入の適法性を高め、株主や投資家等の理解を得る上で極めて重要であるとするもの。

2.株主意思の原則:株主総会での決議を得て導入する事を原則として、取締役会決議で導入する場合でも、株主に意思で廃止できる措置を採用する事を必要とするもの。

四.〔原則3〕必要性・相当性確保の原則

「買収防衛策は、株主平等の原則、財産権の保護、経営者の保身のための乱用防止等に配慮し、必要かつ相当な方法によるべきである」

1.株主間で異なる取り扱いをする買収防衛策については、株主防衛策に配慮し導入しなければならない。

2.買収者等の特定の株主に対して財産上の損害を生じさせる恐れがあるようなものについては、正当な手続きを踏む必要がある。

3.過剰でない相当な内容の防衛策を発動するために、外部専門家の分析を得るなどの慎重な検討を求められる。

五.東京高裁決定平成17年3月23日(ニッポン放送事件)

この決定で「会社を食い物にしている場合」として指摘した買収類型

1.真に企業経営に参加する意思がないにも拘らず、ただ株価を吊り上げて高値で株式を会社関係者に引き取らせる目的で株式の買収を行っている場合(いわゆるグリーンメーラーである場合)

2.会社経営を一時的に支配して当該会社の事業経営上必要な知的財産権・ノウハウ・企業秘密情報・主要取引先や顧客等を当該買収者やそのグループ会社当に委譲させるなどの、いわゆる焦土化経営を行う目的で株式の買収を行っている場合

3.会社経営を支配した後に、当該会社の資産を当該買収者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する予定で株式の買収を行っている場合

4.会社経営を一時的に支配して当該会社の事業に当面関係していない不動産、有価証券など高額資産等を売却等処分させ、その処分利益をもって、一時的な高配当をさせるかあるいは一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って株価の高価売り抜けをする目的で株式買収を行っている場合。

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Q12.種類株式についてどのような場合に株式買取請求ができるようになったのでしょうか。

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A12.

一.種類株式とは

1. 旧商法は、各株式の権利の内容は同一である事を原則としていました。

2. 例外として、一定の範囲と条件のもとで、権利の内容の異なる種類の株式の発行を認め(種類株式制度)、また、種類株式について、ある種類の株式から他の種類の株式へ転換する属性を種類株式に付与することを認めています(転換株式制度)。

3. 旧商法がこれらの株式の発行を認める趣旨は、一定の範囲と条件のもとで株式の多様化を認めることにより、株式による資金調達の多様化と支配関係の多様化の機会を株式会社に与えるためです。

二.平成13年11月改正・平成14年改正

1.平成13年11月改正

(ア)議決権制限株式を導入し、種類株式の定款記載事項を弾力化し、会社が種類株主総会を開催すべき場合を定める事を認めました。

(イ)従来の転換株式を転換予約権付株式と名称変更するとともにこれに関する規定を一部改正し、強制転換条項株式について明文の規定を設けました。

2.平成14年改正

・株式譲渡制限会社に限って、取締役・監査役の選解任に関する種類株式を導入しました。

3.これらの改正は、ベンチャー企業等でのニーズに応えて、この意味での定款自治が認められる範囲を拡大したものです。

三.新会社法において、種類株式に関して株式買取請求できる場合

1.当該株式に譲渡制限の定めを設ける場合

2.当該株式に全部取得条項の定めを設ける場合

3.当該株式が取得請求権付株式である場合において、取得の対価として交付される予定の株式に1又は2の定めを設ける時

4.当該株式が取得条項付株式である場合において、取得の対価として交付される予定の株式に1又は2の定めを設ける時

四.

1.旧商法

・株式に譲渡制限の定めを設ける場合に、株式買取請求をすることができることとされていました。

2.新会社法

・株式の種類ごとに譲渡制限の定めを設ける事が可能になったため、当該種類の株式に譲渡制限の定めを設ける場合、および当該種類の株式の取得の対価として交付される予定の株式に譲渡制限の定めを設ける場合に買い取り請求できる事とされています。

五.

1.全部取得条項付種類株式は新会社法において新設された種類株式です。

2.ある種類の株式に全部取得条項の定めを設けるための手続き要件として、当該種類の株主全員の同意を得る事を要求せずに,特別決議によることとする代わりに、株式買取請求をする事が出来ることとしています。

3.ある種類の株式の取得の対価として交付される予定の株式に全部取得条項の定めを設ける場合についても、同様としています。

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Q13.企業防衛と種類株式について

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A13.

一.企業防衛と種類株式

1.旧商法においても、敵対的企業防衛策であるポイズン・ピルとして種類株式を利用する事はできました。

2.具体的には、友好的な企業等にいわゆる黄金株である拒否権付種類株式を発行する事により、仮に敵対的企業買収者が買収に成功したとしても計画していた施策について当該株主に拒否権を発動される恐れがあるため、買収の予防が期待されます。

3.しかしながら、拒否権付種類株主が黄金株を譲渡してしまうと、予防できませんでした。

4.新会社法では、拒否権付種類株式を譲渡制限付の株式とすることによって、実効性を高める事が出来ます。

二.黄金株

1.株式買占めなどの敵対的買収によって合併される事態に陥っても、その譲渡を否決する事の出来る特別な株券を黄金株といいます。

2.「拒否権付株式」とも言われています。株主総会で合併を拒否する、その特別の権利を行使するためには1株あれば合併を拒否できるので、1株だけの発行を認めている国が多いといわれています。

3.旧商法では、普通株と同じく自由に譲渡することができたので、敵側にまわってしまう危険性もある為、上場企業が導入するケースは少ないといわれています。

4.新会社法では、企業の敵対的買収の防御策として使い易くするため、黄金株に譲渡制限を認め友好的な会社にだけ与えることの出来る規定が設けられました。

5.外国資本による支配の懸念を払拭させるため、郵政民営化後の郵便貯金銀行と郵政保険にこの黄金株を発行させる事も検討されています。

6.黄金株は英国では国営の資源開発、空港、水道事業を民営化する際、公共性が高い企業を敵対的買収から守るとの観点から発行された例があります。

7.日本での実例としては、国際石油開発株式会社が石油公団に対して黄金株を発行しています。

8.なお、会社の重要事項を第三者に委ねることから、取締役の善管注意義務について問題が生じる可能性も否定できません。

9.又、上場企業では投資家保護の観点から規制の対象になる可能性もあります。

三.株券の不発行

1.旧商法では原則として株式会社は株券を発行しなければなりませんでした。

2.平成16年の改正では、定款で株式を発行しない旨を定めた場合は株券を発行しない事が出来るようになりました。

3.新会社法では、振替制度の導入や中小企業の実態を踏まえ、原則として、株券を発行しない事が出来るようになりました。

4.なお、定款に規定する事により株券を発行する事が出来るようになりますが、その場合株式の譲渡においては株券の交付が必要になります。

5.株式譲渡制限会社においては、当該定款の定めがあっても、株主からの請求があるまでは株券を発行しない事が出来ます。

6.株式併合、合併、株式移転、株式交換等においては、所定の株券提供公告を行う必要があります。

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新会社法の重要ポイント(14)
・・・株主総会以外の機関の設置

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Q14.株主総会以外の機関の設置については、どのような見直しが行われましたか。

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一.旧商法

1.旧商法では、株式会社の機関設計に関しては、会社の規模により選択肢が制限されていました。

2.(ア)大会社(資本の額5億円以上又は負債200億円以上)

・監査役会設置会社(取締役+監査役会+会計監査人)

・委員会等設置会社(取締役会+三委員会+会計監査人)

(イ)中会社(資本の額1億円超かつ負債200億円未満)

・取締役会+監査役

みなし大会社(中会社のうち、大会社に関する規定の適用を受ける旨の定款の定めを設けた会社)については、大会社と同様の機関設計も選択可能

(ウ)小会社(資本の額が1億円以下かつ負債200億円以下)

・取締役会+監査役(監査役の権限は会計監査権限に限定)

二.新会社法

1. それぞれの株式会社が実態に応じた運営組織を採用する事が出来るようにしました。

2. 株式会社の機関設計に関しては、一定のルールの下、原則として、各会社が各機関等(取締役会、監査役・監査役会、会計参与、会計監査人)または三委員会等(指名委員会、監査委員会、報酬委員会、執行役)を任意に設置することが出来るようにしました。

三.

1. 株主が不特定多数となる可能性のある公開会社や、会社債権者の数が多数に上ることが想定される大会社については、一定数以上の厳格な会社形態を義務付ける必要があります。

2. 新会社法では、株式会社について、株式の譲渡制限の有無及び会社の規模(大会社か否か)の2つの観点から4区分して、全ての種類の株式につき株式の譲渡制限を採用している会社ではない会社(公開会社)や大会社については、一定程度以上の厳格な会社形態の採用を義務付けています。

四.

1. 又、株式会社がどのような機関構成を採用しているかについては、株主のみならず、当該株式会社と取引しようとする者や債権者にとっても重大な関心事です。

2. そこで、新会社法では各会社が選択した機関構成を登記する事により開示する事にしています。

3.株式譲渡制限会社において、定款で監査役の監査権限を会計に関するものに限る事は、必ずしも取引先に必要な情報ではないので、登記事項とはされていません。

五.

1. 新会社法における機関に関する改正は、従来の株式会社に関する商法の規定と、有限会社に関する規定とを一体化しようとしています。

2. 会社形態を株式会社に一本化した上で、その機関設計のあり方について見直しを行い、会社がその経営実態や企業ニーズに応じて柔軟な機関設計を行う事ができる制度を目指したものといえます。

3. 新会社法の大きな柱の1つとして位置づけられています。
 

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新会社法の重要ポイント(15)・・・機関設計のルール

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Q15.機関設計のルールについてはどうなっていますか?

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A15.

一.会社法における機関設計のルール

1. 全ての株式会社には、株主総会のほか、取締役を設置しなければならない。

2. 取締役会を設置する場合は、監査役(監査役会を含む)または三委員会等のいずれかを設置しなければならない。ただし、大会社以外の株式譲渡制限会社(全ての種類の株式が譲渡制限株式である株式会社)において、会計参与を設置する場合はこの限りでない。

3. 株式譲渡制限会社以外の株式会社には、取締役会を設置しなければならない。

4. 監査役(監査役会を含む)と三委員会等とをともに設置する事は出来ない。

5. 取締役会を設置しない場合は、監査役会および三委員会等を設置する事が出来ない。

6. 会計監査人を設置するには、監査役(監査役会を含む)または三委員会等(大会社であって株式譲渡制限会社でない株式会社にあっては、監査役会または三委員会等)のいずれかを設置しなければならない。

7.会計監査人を設置しない場合には、三委員会等を設置する事ができない。

8. 大会社には、会計監査人を設置しなければならない。

二.機関設計の組合せ

1.株式会社の態様による機関設計の組合せは全部で39通り考えられます。

2.新会社法では、定款自治の拡大により、いろいろな選択肢を提供し、その中からそれぞれの会社が自らにあった組織を作り上げられるようにしようとしています。

3.このような株式会社形態の弾力化はとりわけ中小企業にとっては大きな意味のあることです。

4.しかし、オプション化が広がった、いろいろな株式会社が作り上げられる、と言うことは、それぞれの選択肢のメリットとデメリットを充分に認識していないと、返って大きなマイナスを抱える事になりかねません。

5.専門家のアドヴァイスを受けるなど慎重な対応が望まれます。

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Q16.株主総会の招集手続きについては、どのような見直しが行われましたか?

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A16.

一.株主総会

1. 株主総会とは株主の総意によって会社の意思を決定する株式会社の最高の必要的機関です。

2. 新会社法においては株式会社の機関設計はこれまでとは劇的に変化し多様化することになりました。

3. しかし、どのような機関設計をするにしても、株式会社である以上、株主総会は設置しなければなりません。

4. 公開会社の株主総会と、従来の有限会社に相当するような非公開会社では自ずとその機能・性質に相違が生じてきます。

5. そのため、新会社法における株主総会関連規定は、取締役会非設置会社の規定とそれ以外の規定(株主総会全般に適用される規定)とに分かれます。

二.株主総会の権限

1.旧商法

・商法または定款に定める事項に限り、決議をなす事が出来ます。

2.新会社法

・取締役会非設置会社の株主総会の決議事項に関しては制限がなくなります。

三.株主総会の招集

1.招集地

(ア)旧商法

・定款に別段の定めがある場合を除き、本店の所在地またはこれに隣接する地において招集することを要しました。

(イ)新会社法

・株式会社の開催場所を自由に定める事が出来ます。

2.招集通知

(ア)旧商法

・会日より2週間前に各株主に書面を持って発する事になっていました。ただし、株式譲渡制限会社においては、定款で1週間を限度として短縮する事ができました。

(イ)新会社法

・総会の日の2週間前までに株主に対し通知しなければならない(総会に出席しない株主に書面ないし電磁的方法による議決権行使を認める場合を除く)。

・非公開会社の株式会社においては、1週間前まででよいと短縮されています。

・当該非公開会社が取締役会非設置会社である場合は、定款でこの1週間を下回る期間を定める事も可能です。大いに短縮する事が可能になりました。

三.招集通知の方法

1.旧商法

・株式会社の招集通知は書面または電磁的方法によりました。

2.新会社法

・取締役会非設置会社の場合は書面又は電磁的方法によらずに総会を招集することが出来ます。
(口頭や電話でもよい)

3.電磁的方法による議決権行使

・総会に出席しない株主が

(1)インターネットのウェヴサイト(ホームページ)

(2)電子メール

(3)フロッピーディスクやCD−ROMの交付

等の方法で議決権を行使することを言います。

4.会議の目的事項の記載・記録の要否

(ア)旧商法

・株式会社の招集通知には、会議の目的たる事項〈議題〉を記載しなければなりませんでした。

(イ)新会社法

・取締役非設置会社の場合は、会議の目的事項の通知は不要になります。また、計算書類および監査報告書の添付を要しません。

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Q17.株主総会の決議要件についての見直しはどのように行われましたか?

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A17.

一.旧商法株式会社の株主総会の決議要件

1. 普通決議については、定款に別段の定めがある場合を除き、総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の過半数の賛成で成立する。

2. 定款変更、合併等におけるいわゆる特別決議においては、総株主の議決権の過半数または定款に定める議決権数〈総株主の議決権数の1/3未満と定めることが出来ない。〉を有する株主が出席し、その議決権の2/3以上による賛成によって決する。

3. 株主譲渡制限のための定款変更等におけるいわゆる特殊決議においては、総株主の過半数で、かつ、総株主の議決権の2/3以上の賛成により成立する。

有限会社法の有限会社の、社員総会の決議要件

1. 普通決議については、定款に別段の定めがある場合を除き総社員の議決嫌の過半数を有する社員が出席し、出席社員の議決権の過半数の賛成により成立する。

2.定款変更、合併等におけるいわゆる特別決議においては、総社員の半数以上で、かつ、総社員の議決権の3/4以上を有する者の同意により成立する。

二.新会社法

1.機関設計の如何を問わず、普通決議、特別決議、特殊決議の要件について、原則として、旧商法における株式会社における各要件と同じ。

2.特別決議、特殊決議、について、それらの要件を加重し、または当該要件に加えて一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定める事を妨げない事を明確化。

3.株式譲渡制限会社においては、現行有限会社法における解釈を明確化して剰余金の分配、議決権等に関し,定款を持って別段の定めをおく事ができるものとしています。

4.しかしながら、当該規定は株主平等の原則の例外的なものであり、当該定款の定めの新設または変更のための株主総会の決議については、株主の権利内容に重大な影響を及ぼします。

5.そのため、その決議要件を加重して、有限会社の特別決議の要件と同様の決議要件(総株主の半数以上、かつ、総株主の議決権の3/4以上)としています。

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Q18.取締役の資格及び員数に関してはどのような見直しが行われましたか?

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A18.

一.旧商法

1.旧商法

・株式会社においては、取締役は3人以上必要です。

・取締役の資格を定款で株主に限定する事は認められていません。

・取締役の欠格事由として、破産手続開始決定を受けて復権していない者があります。

2.有限会社法

・有限会社では、取締役は1人で足ります。

・取締役の資格を定款で社員に限定する事は制限されていません。

二.新会社法

1.株式会社については、取締役の人数は原則として1人で足ります。

2.株式譲渡制限会社については、定款により、取締役の資格を株主に限定する事も可能にしています。

3.破産手続き開始決定を受けて復権していない者を欠格事由からはずしました。

4.欠格事由の対象となる犯歴に、証券取引法違反や各種倒産犯罪の罪を加えています。

5.取締役会を設置した会社は従来どおり取締役は3人以上必要です。

6.公開会社は取締役会を義務付けられています。

7.したがって、結果的には、取締役の人数が1人でも足りるのは、株式譲渡制限会社のうち、取締役会を設置しない会社のみとなります。

三.改正の理由

1.取締役の資格を株主に限定できないという旧商法の制約は、社会に散在する資本を経営の意欲及び能力を有しない株主から集約して、経営の専門家に委ねるという資本と経営の分離という株式会社の本質に適合するものと言われていました。

2.しかしながら、実際には、株式会社の大半が中規模若しくは小規模会社である日本では、出資者と経営者が同一であるという事が大半です。

3.そこで、法律を社会の実態に合わせて、閉鎖会社においては、株主でなければ取締役になれない旨を定款で定める事で、実情にあった体制を取れるようになりました。

4.又、破産者が早期に経済活動を再開できるようにするために、破産者に対する資格制限が撤廃されました。

5.特に、中小企業の破産の場合には、経営者が会社の債務について個人保証をしているケースが多く有ります。その結果、経営者自身も破産に追い込まれるケースも多く見受けられます。

6.このような場合、経営者に不動産等のある程度の資産もあることもあって、免責の決定を得るまでに相当の日数を要している事も少なくありません。

7.そのため、早期に会社の取締役として経済的再生の機会を与える事が必要であるとして、実業界から当該規定の削除を求める声が多く有りました。

8.そこで、そのような指摘を受けて、会社法では「破産手続開始決定を受けて復権していない者」を取締役の欠格事由からはずす事としました。

9.そして、このような者を取締役に選任することの適否については、当該会社の株主総会の判断に委ねました。

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Q19.取締役の任期についてはどう変更されましたか?

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A19

一.旧商法

1.株式会社(委員会設置会社を除く)の取締役の任期は、2年を超える事はできません。

2.ただし、定款を持って任期中の最終の決算期に関する定時総会の終結にいたるまで延長する事ができます。

3.取締役の任期を法律で制限する趣旨は、取締役としての適否につき定期的に株主の信任を問う事にあります。

4.しかし、登記に関してもコストが馬鹿になりません。

5.又、株式の譲渡制限会社の場合には実質的に所有と経営が一致している場合が多い事などから、実務界からは、法定期間の伸張、ないしは廃止の声が上がっていました。

二.新会社法

1.取締役の任期は、選任後2年(委員会設置会社の取締役については1年)以内に終了する営業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。

2.ただし、定款または総会決議においてこの任期を短縮することはできます。

3.非公開会社(委員会設置会社を除く)においては、定款で、この任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうちの最終のものに関する定時総会の終結の時まで伸張することが出来ます。

三.

以上の新会社法の規定に拘わらず、以下の定款変更が行われた場合は、取締役の任期は、当該定款変更の効力が生じた時に満了するものとされています。

1.委員会を置く旨の定款の変更

2.委員会を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更

3.発行する株式の全部の内容として譲渡による当該株式の取得につき当該会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更

四.改正の理由

1.株式会社と有限会社を一体化するにあたり、一方は2年、他方は無期限という大きな違いを調整する必要がありました。

2.また、株式会社には、株主の数が多数にのぼり、市場に株式が自由に譲渡される会社から、株主が数人の家族経営的な会社まで様々な会社が存在します。

3.こうした株式会社のうち、その発行する株式の全てについて、当該株式の譲渡について会社の承認がいる会社、いわゆる株式譲渡制限会社については、株主が変動する事が余りありません。

4.この場合、株主に関して取締役の信任を頻繁に問う必要は乏しいといえます。

5.そこで、株式譲渡制限会社については、それぞれの会社が、その実態に応じて取締役の任期を定める事ができる事としました。

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Q20.取締役の選任と解任については、どう見直しが行われましたか?

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A1.

一.旧商法

1.取締役の選任の決議要件

・普通決議

2.取締役の解任の決議要件

・正当の自由の有無を問わず、いつでも株主総会決議により解任できる代わりに、その決議要件は特別決議

3.選任時と解任時の決議要件の差異

・ 株式会社において、株主の支配権を確保するために取締役の解任事由を制限しない事と、取締役の地位の安定に配慮する必要性とのバランスを図るため。

4.昨今の情勢

・ 株主総会による取締役の選解任を通じた取締役に対するコントロールを通じ、株式会社のガバナンスの向上を図るべきとの指摘が強まっています。

二.新会社法

1.会社経営の機動性の確保を図るため、株主総会決議を必要としない組織再編行為の範囲を拡大しています。

2.そのために、会社の経営の自由度を高める措置を講じており、株主の意向を会社経営に反映させるための手段としての株主総会による取締役の選解任行為の重要性が増しています。

3.選任

・普通決議

4.解任

・定款で特別の定めがない限り普通決議

5.解任を普通決議にした理由は、株主の利益に反する取締役を容易に解任する事が出来るようにする為です。

6.具体的には、これまでは、特定の株主が総株主の議決権の過半数を支配していても、商法上3分の2以上支配されていなければ取締役が任期途中で解任される事はありませんでしたが、新会社法が施行された後は、このような株式会社では、取締役の任期途中での解任が可能となり、取締役と株主との一層の緊張関係が生まれる事となります。

7.このような株主総会における取締役の解任を通じた取締役に対するコントロールは、もともと商法が予定しているものであり、コーポレート・ガバナンスの観点からは望ましいものといえます。

8.なお、累積投票制度によって選任された取締役については、少数派の株主の意向を取締役の選任に反映させるという累積投票制度の趣旨に照らすと、これを普通決議によって解任する事を認める事は相当でないため、解任決議の要件としては、特別決議を維持しています。

(キーワード)

累積投票
株主の有する株式一株(単元株式数を定款で定めている場合は、一単元の株式)につき、当該株主総会において選任する取締役の数と同数の議決権を与え、株主は、1人のみに投票してもよいが、その投票の結果、最多数を得たものから順次取締役に選任されたものとする取締役の選任方法。
 

普通決議
・議決権を行使することの出来る株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にああっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあってはその割合以上)によって、決議する方法。

・役員の選任及び解任の決議を要する株主の有する議決権の数(定足数)が、総株主の議決権の3分の1以上でなければならないとする点が、他の普通決議の場合と異なります。他の普通決議に関しては、定款によって定足数を排除することも可能です。

コーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンス(企業統治)とは、どのような形で企業経営を監視する仕組みを設けるかという問題です。不正行為の防止の観点からだけでなく、近時は企業の収益性・競争力の向上の観点からも、コーポレート・ガバナンスのあり方について世界的でさまざまな議論がなされています。
コーポレート・ガバナンスは会社法などの法制だけに拘わる問題ではなく、実際上の対応も非常に重要です。

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Q21.取締役の業務執行について

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A21.

一.取締役の業務

1.業務の執行

(ア)取締役会非設置会社の場合

・定款に別段の定めがある場合を除き、会社の業務は取締役が執行します。
すなわち、各取締役が株式会社の業務執行権限を有する事になります。

(イ)委員会設置会社の場合

・会社法またはこれに基づく命令に特別の定めがある場合を除いては、取締役は、委員会設置会社の業務を執行する事は出来ません。

(ウ)取締役が二人以上いる場合

・取締役の業務は取締役の過半数をもって決定しますが、定款に別段の定めをおく事も可能です。

二.株式会社の代表

1.取締役が会社を代表します。

2.取締役が二人以上いる場合は各取締役が会社を代表します。

3.ほかに、代表取締役その他会社を代表する者を定めた場合はこの限りではありません。

4.代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有し、この権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗できません。

三.株式会社・取締役間の訴訟における代表者

1.株式会社が取締役(取締役であった者を含む)に対し、取締役が株式会社に対し訴えを提起する場合には、株主総会は当該訴訟につき、会社を代表する者を定める事が出来ます。

2.監査役設置会社の場合は、監査役が会社を代表します。

四.代表取締役に欠員が生じた場合の措置

1.代表取締役が欠けた場合、又は、定款所定の代表取締役の員数が欠けた場合は、任期満了又は辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役が就任するまで、依然として代表取締役としての権利義務を有してその地位に留まります。(留任義務)

2.代表取締役に欠員が生じた場合は、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立により、一時代表取締役の職務を行うべき者(仮代表取締役)を選任する事もできます。

3.この場合は、裁判所は、会社がその者に払う報酬の額を定める事も出来ます。

五.表見代表取締役

1.株式会社が、代表取締役以外の取締役に、社長、副社長、その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合は、当該取締役がなした行為については、会社が善意の第三者に責任を負わなければなりません。

2.現行商法で定められている共同代表取締役、共同代表執行役、共同支配人の制度は、新会社法では廃止されました。・・・次回に続く

六.取締役職務代行者

1.取締役の選任に関する決議取消しの訴え、無効不存在確認の訴え、取締役解任の訴えが提起されただけでは、まだ取締役の地位に影響はでません。

2.しかし、当該取締役にそのまま職務を執行させておくことが不適当な場合があります。

3.そこで、民事保全法では、会社の代表取締役や取締役の職務の執行を停止し、若しくはその職務執行の代行者を選任する仮処分の制度が設けられています。

4.この仮処分命令により、選任された代表取締役または取締役の職務代行者に関しては、会社法において、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、これらの者が株式会社の常務に属さない行為をする場合は、裁判の許可を得なければならないと規定しています。

〈キーワード〉

委員会設置会社
会社法は、会社の実情に合わせて機関の選択が出来るように、様々な機関構成を認めていますが、委員会設置会社は、株式会社が任意に選択できる期間構成の一つです。
委員会設置会社は、指名委員会、監査委員会、報酬委員会の三つの委員会をおかなければなりません。さらに、業務執行をする者として執行役を置かなければなりません。
又、委員会設置会社には、代表取締役は置かれないので、委員会設置会社を代表すべき代表執行役を執行役の中から選任しなければなりません。
ただし、執行役が1名の場合は、その執行役が代表執行役となります。
株式会社は設立後に、委員会設置会社となる事が出来ますが、委員会設置会社として設立することもできます。

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Q22.共同代表取締役、共同代表執行役、共同支配人の登記の制度を廃止したのは、何故でしょうか?

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A22.

一.共同代表取締役とは

1.共同代表取締役とは、数人で共同しなければ株式会社を代表できない取締役の事で、代表取締役相互の監督を期待する制度です。

2.また、共同代表執行役、共同支配人にも同様の制約があります。

二.現行法

1.取締役の決議で、共同代表取締役を設置する事は出来ますが、登記をしておかなければ、第三者に対して共同代表取締役であることを主張する事が出来ません。

2.共同代表取締役登記の制度趣旨は、代表権の濫用を相互に牽制させるための制度を設け、これを外部に公示する事とされています。

3.しかし、現実には共同代表取締役登記がされている場合は稀です。

4.それだけに、たまたまこの制度が採用されていると、たとえ共同代表の登記がなされている場合であっても、登記事項に関する悪意擬制を主張する会社と、当該代表取締役が単独代表権を有しているものと信じた取引相手との間で、トラブルの原因になる場合が多いと指摘されています。

5.実際には、このようなトラブルが生じた場合、取引の相手方は表権代表取締役の規定の類推適用により保護される事が通常であり、共同代表取締役の登記制度が実際に機能する場合は少ないものと考えられています。

三.新会社法

1.新会社法では、共同代表制度については、取締役の代表権に対する単なる内部的制限と位置づけ、これを、登記事項から削除しています。

2.同様の理由から、共同代表執行役、共同支配人についても、登記事項から削除されました。

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Q23.取締役会の招集や決議についての改正点は何ですか?

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一.現行法

1.取締役会の招集を請求できるのは、取締役、監査役、執行役に限られています。

2.株主には取締役会を招集する権限は認められていません。

3.取締役会決議については、書面決議によることは認められていません。

二.新会社法

1.取締役会設置会社のうち、業務監査権限を有する監査役の存在する会社ではなく、委員会設置会社でもない会社については、取締役が会社の目的の範囲外の行為その他、法令若しくは定款に違反する行為をしたり、又はこれらの行為をする恐れがあると認めるときは、株主が取締役会の招集を請求できる事にしました。

2.定款に定めを設ければ、取締役会の決議の目的である事項につき、各取締役が同意をし、かつ、業務監査権限を有する監査役が設置されている場合にあっては、各監査役が特に意見を述べる事がないときは、書面または電磁的方法により決議をする事が出来るようになりました。

3.取締役会への報告についても、取締役の全員に対し、取締役会に報告すべき事項を通知した時は、取締役会への報告を要しないものとしました。

4.代表取締役等が定期的に業務執行の状況を報告する取締役会は、現実に開催されなければいけません。

三.改正の理由

1.現行法でも、遠隔地からテレビ電話等の通信手段により取締役会に参加する事は認められています。

2.しかし、結論は議論を経て導かれるべきであるという考え方から、取締役会の開催自体を取りやめる事は認められていません。

3.でも、実務上形式的な儀式のために多忙な取締役を拘束する事は、不経済極まりないという批判が多くありました。

4.そこで、特に話し合いをするまでもないと各取締役が判断した場合には、書面決議をする事が出来るようになりました。

〈キーワード〉

書面決議:
議案を記載した書面を回覧に付するなどして賛否の記載を求める方式の事で、持ち回り決議などと言われています。

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Q24.重要財産委員会を廃止して特別取締役制度を創設した理由は何ですか?

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A24.

一.重要財産委員会

1.現行商法では、大会社・みなし大会社では取締役会決議により、これとは別個の機関である重要財産委員会を設置できる旨規定されています。

2.しかし、重要財産委員会を設置している会社は、現在少数に留まっています。

3.その原因としては、

(ア)重要財産委員会という新たな機関を設けるための準備に労力がかかること

(イ)重要財産委員会が重要な財産についての委任を受けていない場合があるにも拘らず、「重要財産委員会」と呼ばれる等名称上の難点があること

(ウ)近年の取締役の数の減少傾向を考えると、取締役の数が10人以上であることという重要財産委員会の設置要件のハードルが高い事

等が指摘されています。

4.又、重要財産委員会は、

(ア)取締役会の決議によって設置される

(イ)重要財産委員会には固有の権限がなく、設定されたとしても取締役会から委任を受けなければ何も出来ない

(ウ)重要財産委員会が設置されて登記されたとしても、取締役会が重要財産委員会に商法260条2項1号または2号に掲げる事項について、委任をしていない場合があるため、第三者は、取締役会決議の内容を確認しない限り、重要財産委員会の権限を知る事ができない

という点で、法制的な整備が必要となりました。

5.以上のような点を克服するため、重要財産委員会制度を特別取締役制度として再構成することにしました。

二.特別取締役制度

1.取締役会とは別の機関という構成をとらず、取締役会の決議要件の特則と構成する

2.取締役会が特別取締役を選定した場合は、具体的委任をしたかどうかに拘わらず、特別取締役は、当然に重要な財産の処分及び譲り受けならびに多額の借財について決議をする権限を有するものとする

3.特別取締役を選定する事が出来る株式会社の要件については、10人以上の取締役を必要とする現行の要件を、6人以上の取締役でかつ、そのうち1人以上が社外取締役であること、で足りる事とする

というふうに、法整備しました。

〈キーワード〉

社外取締役:
当該株式会社の取締役であって、当該会社・その子会社の業務執行取締役・執行役・支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該会社・その子会社の業務執行取締役・執行役・支配人その他の使用人になったことがない者をいいます。

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Q25.監査役に関してはどのような改正が行われましたか?

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A25.

一.現行法

1.監査役は、取締役の業務執行一般を監査する株式会社の必要かつ常設の機関として位置づけられています。

2.大会社においては、複数監査役制度・社外監査役制度・常勤監査役制度・監査役会制度が施行されています。

3.すなわち、大会社においては、監査役は3人以上が必要です。

そして、その半数以上は、就任前に当該会社・その子会社の取締役・執行役・支配人その他の使用人になったことのない者でなければなりません。

さらに、監査役の互選で常勤監査役を定めなければならず、監査役の全員で監査役会を組織することが義務付けられています。

4.監査役の権限については、大会社及び中小会社の監査役は、会計監査権限のほか業務監査権限を有しますが、小会社の監査役は会計監査権限のみを有しています。

5.任期については、4年とされています。

二.新会社法

1.監査役・監査役会の設置は原則として任意になります。

2.そのため、株式会社は

・監査役設置会社と監査役非設置会社

・監査役会設置会社と監査役会非設置会社

とに、それぞれ大別される事になります。

3.監査役設置会社は

・監査役任意設置会社と監査役強制設置会社とに分かれます。

・監査役強制設置会社としては、委員会設置会社を除いた、取締役会設置会社と会計監査人設置会社です。

・ただし、非公開会社である会計参与設置会社においては、監査役の設置は強制されません。

4.監査役会設置会社も監査役会任意設置会社と監査役会強制設置会社にわかれます。

・監査役会強制設置会社としては、大会社基準に該当する会社のうち非公開会社と委員会設置会社を除いたものが該当します。

・非公開の大会社は監査役の設置で足りますし、委員会設置会社では、監査委員会が設置され、監査役を置いてはならないからです。

5.新会社法では監査役の権限については、中小企業のガバナンス強化のためには、監査権限の強化が必要である、という考え方から、次のような見直しが行われています。

(ア)資本金や負債の額に拘わらず(資本金の額が1億円以下の会社も含む)監査役は原則として、業務監査権限を含むものとしました。

(イ)大会社以外の株式譲渡制限会社については、定款で、監査役の権限を会計監査権限に限定することが出来るものとして上で、その場合には

(1)株主の違法行為差し止めが容易になる

(2)一定の場合には株主に取締役会の招集請求権・出席権が認められる

等株主による監督権限が大幅に強化されるものとしました。

6.監査役の任期に関しては、原則として4年とした上で、株式譲渡制限会社においては、定款により、その任期を最長10年まで伸長することができる事としました。

新会社法の重要ポイント(26)・・・会計参与その1

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Q26.会計参与の資格・任期はどのようになっていますか?

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A26.

一.会計参与とは

1.制度創設の趣旨

・ 「会計参与とは、株主総会で選任され、会計に関する専門的識見を有するものとして、取締役・執行役と共同して計算書類を作成すると共に、当該計算書類を取締役・執行役とは別に保存し、株主・会社債権者に対して開示する事等をその職務とする株式会社の機関をいう」
と、定義されています。

・これまでは、株式会社の計算書類は、企業規模のいかんにかかわりなく、毎決算期に代表取締役が作成し取締役会の承認を得る事とされてきました。

・これからは、株式会社の機関設計の1つとして、定款に会計参与を設置するという規定を置いた会社には、取締役と共同で計算書類を作成する機関が新設されることになります。

2.会計参与を設置する事ができる会社の範囲

(ア)株式会社は、その規模や機関設計のいかんにかかわらず、定款で、会計参与を設置する旨を定める事ができます。

(イ)しかし、その規模や機関設計のいかんにかかわらず、会計参与を設置する事を義務付けられるわけでは有りません。

(ウ)持分会社については、会計参与を、置くことはできません。

(エ)会計参与の選任は、株主総会の決議によって行われますが、その決議は定時総会に限られません。

(オ)定款を変更して会計参与を設置する場合には、当該定款変更のための株主総会で、会計参与を選任することができます。

3.会計参与の資格

(ア)会計参与は、公認会計士(監査法人を含む)又は税理士(税理士法人を含む)でなければなりません。

(イ)公認会計士・税理士が、株式会社またはその子会社の取締役、執行役、監査役、または支配人その他の使用人である場合には、その株式会社の会計参与になる事はできません。

(ウ)税務に関する顧問契約は、通常委任契約であり、その契約により会計参与の独立性が害される事はありませんので、当該株式会社の顧問税理士は、別途会社法333条3項の欠格事由に該当しない限り、顧問税理士のままで会計参与となることができます。

(エ)監査法人・税理士法人も会計参与になることができますが、その場合にはその法人の社員の中から会計参与の職務を行うべき者を選定し,その旨を株式会社に通知しなければなりません。

(オ)会計監査人を設置している会社がさらに会計参与を設置する事も妨げられません。

4.会計参与の任期

(ア)会計参与の任期は原則として2年です。

(イ)ただし、株式譲渡制限会社については、定款で任期を最長10年まで伸長することができます。

(ウ)委員会設置会社においては、会計参与の任期は、原則として1年です。

新会社法の重要ポイント(27)・・・会計参与その2

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Q27.会計参与の職務権限は何ですか?

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A27.

会計参与の主な職務権限は次の通りです。

1.計算書類の取締役等との共同作成

計算書類を、「共同して」作成するとは、取締役・執行役と会計参与の共同の意思に基づいて計算書類を作成するということであり、両者の意見が一致しなければ、当該株式会社における計算書類を作成する事ができないということです。

したがって、両者の意見が一致しない場合は、計算書類の承認のための株主総会も開催する事ができません。

2.会計参与報告の作成

会計参与報告は、計算書類の共同作成に関して会計参与にその作成が義務付けられる報告であって、株主・債権者に対する情報提供を目的とするものです。

その記載事項は
(ア)会計処理方法に関する事項
(イ)計算書類を共同作成する際に問題になった事項(取締役・執行役と意見を異にした場合を含む)
等であり、詳細は法務省令で定められる予定です。

3.株主総会における計算書類の説明義務

4.計算書類の保存

(ア)各事業年度に係る計算書類およびその付属明細書ならびに会計参与報告
・定時株主総会の日の1週間(取締役設置会社にあっては2週間)前の日から5年間

(イ)臨時計算書類及び会計参与報告
・臨時計算書類を作成した日から5年間

5.計算書類の株主及び債権者への開示

会計参与は、原則として、会計参与設置会社の営業時間内は、株主及び債権者の請求に応じて、いつでも計算書類の閲覧、謄本・抄本の交付等をしなければなりません。

6.会計帳簿・資料の閲覧・謄写権

7.計算書類を承認する取締役会への出席

8.計算書類の作成につき取締役等と意見を異にする場合における株主総会における意見の陳述

9.会計参与の職務を行うため必要がある場合における会社・子会社の業務および財産の状況の調査権

10.株主総会における会計参与の選任等についての意見の陳述

11.辞任した会計参与による株主総会における辞任の理由の陳述

12.
このように、会計参与は、中小企業の計算書類の作成に当たって、本来主導性を持って行為する事が予定されていますので、株主総会における計算書類に関する説明義務まで負う事になります。

株主から、説明請求があったときは、その事項に関して説明義務者として必要な説明をしなければなりません。

したがって、中小企業の場合は、会計参与を設置すれば取締役は経営に専念し、会計業務は実質的に会計参与が担い、株主に対する説明も会計参与が遂行するという職務の分担が図られる事になります。

新会社法の重要ポイント(28)・・・会計参与その3

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Q28.会計参与の責任について

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A28.

一.会社に対する責任

1.会計参与が計算書類の作成等その任務を怠り、会社に損害を与えた場合は、その損害を賠償する責任を負います。

・この損害は過失責任ですので、会計参与に過失がなければ、責任を負うことはありません。

・会計参与が会社に対して負う損害賠償責任を免除するには、原則として総株主の同意が必要です。

2.但し、会計参与は、社外性を有する事から、社外取締役に認められるものと同様の責任制限制度が認められます。

(ア)株主総会決議による責任制限

(い)定款規定+取締役会決議に基づく責任制限

(ウ)定款規定+責任制限契約に基づく責任制限

・この責任制限制度は、いずれも、会計参与が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない時に限り、最大限、会計参与が会社から受ける報酬等の2年分を超える部分を免除する事ができるとするものです。

3.会計参与の会社に対する責任は、株主代表訴訟の対象となります。

二.第三者に対する責任

1.会計参与がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、その会計参与は第三者に生じた損害を賠償する責任を負います。

2.また、会計参与が計算書類や会計参与報告に記載または記録すべき重要な事項について虚偽の記載をした時は、立証責任が転換され、会計参与が注意を怠らなかった事を証明しない限り、第三者に生じた損害を賠償する責任を負います。

3.以上の民事上の責任のほか、会計参与が任務に違背して、故意に会社に損害を生じさせた場合には、特別背任罪などの刑事上の責任が生ずる場合があります。

4.会計参与が虚偽の計算書類を作成した場合などには、100万円以下の過料が科されます。

5.又、会計参与である公認会計士・税理士が計算書類を偽って作成するなどの不正行為を行い、その信用または品位を害するような行為と認められるときは、懲戒処分の対象となりえます。

6.会計参与の証明した計算書類が社会的にも信頼性を獲得すれば、金融機関からの融資も受けやすくなる事も見込まれます。(10月28日の日経新聞の朝刊で、東京三菱現行が会計参与の設置された会社に対して実施する特別融資制度の記事が載っていました。)

日経新聞抜粋(10月28日朝刊)

・・・中小企業融資、無担保で個人保証も免除・東京三菱、大手初

銀行による中小企業への融資慣行が大きく変わり始めた。

経営者個人による債務保証と不動産担保を求めてきたが、無担保融資が年7兆円規模に拡大、在庫など動産を登記して担保にできる制度も今月始まった。

さらに東京三菱銀行は大手銀行で初めて、来年5月から担保も個人保証もとらない新型融資を導入する方針を決めた。

企業向け融資が停滞するなかで、土地と経営者の財産だけを頼りにお金を貸してきた銀行も、ようやく企業の成長力や健全性を重視した姿勢に転換してきた。

東京三菱は、来年5月をめどに新会社法が施行されるのと同時に、個人保証もはずす新型融資を始める方向で検討中。同法で始まる「会計参与制度」を導入し、大手税理士団体、TKC全国会の税理士や会計士とともに決算書を作っていることが融資の条件になる。

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Q29.会計監査人を置かなければならない会社とはどんな会社ですか?

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A29

一.強制設置会社

1.大会社は、公開会社であると非公開会社であるとを問わず、会計監査人の設置が強制されます。

2.このうち、大会社が公開会社である場合は、会計監査人のほか監査役会を置かなければなりません。

3.大会社が非公開会社である場合には、監査役をおかなければなりません。

4.又、委員会設置会社は、大会社であると否とを問わず、会計監査人を置かなければなりません。

5.なお、委員会設置会社では、監査役を、おく事はできず監査委員会が置かれます。

6.なお、新会社法では、会計監査人の任意設置会社または強制設置会社を、会計監査人設置会社というふうに呼びます。

6.又、大会社の要件には変更はなく、最終事業年度の貸借対照表に計上された資本金額が5億円以上か、負債総額が200億円以上の会社とされています。

二.任意設置会社

1.大会社を除く中小会社(委員会設置会社を除く)では、公開会社であると非公開会社であるとを問わず、定款で会計監査人をおく事ができます。

2.又、会計監査人をおいた場合には、監査役を置かなければなりません。

3.委員会設置会社は、中小会社であっても、会計監査人の設置が義務付けられており、会計監査人強制設置会社です。

三.会計監査人を設置するには、業務監査権限を有する監査役(監査役会を含む)または、三委員会等のいずれかを設置しなければならない理由

1.現行法では、大会社又はみなし大会社においてのみ会計監査人を設置する事が可能であり、かつ会計監査人を設置する会社は、監査役会若しくは三委員会等のいずれかを設置する事が義務付けられています。

2.これは、会計監査人は、独立した職業的な専門家の立場から計算書類の監査を行い、もって、計算書類の適正さを図る事を役割としており、会計監査人制度を有効に機能させるためには、会計監査人の経営陣からの独立性を担保する事が必要であるからです。

3.すなわち、監査役等は会計監査人の選解任に関する議案についての同意権等を有しており、こうした制度により会計監査人の独立性が担保されています。

4.新会社法では、会社の規模にかかわらず、すべての株式会社において会計監査人の設置を可能としましたが、会計監査人の独立性担保の必要性は、会計監査人を任意に設置した会社においても変わりません。

5.そこで、新会社法においても、会計監査人を設置するには、業務監査権限を有する監査役(監査役会を含む)又は、三委員会等のいずれかを設置しなければならない事にしました。

6.なお、新会社法では、会計監査人の選解任に関する議案についてのみならず、会計監査人の報酬の決定についても、あらたに監査役等の同意を必要としています。

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Q30.会計監査人の欠格事由には、どのようなものがありますか?

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A30.

一.現行商法特例法

1.会計監査人の欠格事由

(イ)その会社の役員(取締役・監査役)等であるか、若しくは過去1年以内に役員等であった者、またはその配偶者

(ロ)法令に定める一定の非監査業務を同時提供している場合

(ハ)継続的監査の制限に抵触する場合

(ニ)その会社の株式を有する監査法人等、会社と著しい利害関係を有する者

(ホ)その会社の子会社・それらの取締役・執行役・監査役から、公認会計士・監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者、またはその配偶者

(ヘ)業務停止の処分を受け、その停止期間を経過しない者

(ト)監査法人でその社員中に(ヘ)に該当する者があるもの、または社員の半数以上が(ホ)に該当するものである者

を、列挙しています。

2.近年、公認会計士法は度重なる改正がなされ、公認会計士および監査法人に対する監督官庁の監視・監督機能の充実・強化が図られています。

二.新会社法

1.会計監査人の欠格事由のうち、公認会計士法に規定のある欠格事由については、同法の定める監督官庁の監督を尊重し、会社法からはそれら欠格事由を廃除しました。

2.その結果、(イ)~(ニ)、(へ)および(ト)の前段は
公認会計士法の規定により、第435条第2項に規定する計算書類について監査する事のできない者として、会社法からはそれら欠格事由については監査できない者として、一括して規定しています。

3.(ヘ)の「業務停止の処分を受け、その停止期間を経過しない者」は、現行法では、会計監査人となる事ができない者とされています。

この点に関しては、監査法人の業務の一部のみを停止する処分がされた場合であっても、当該監査法人が会計監査人となっている全ての会社との関係で会計監査人の欠格事由となってしまい、特に大規模な監査法人が出現している現状に照らせば、いささか不合理ではないか、との指摘がなされていました。

4.また、監査法人の監督官庁からも、業務の一部の停止処分の影響が大きい場合には、かえって当該処分をする事を躊躇する結果となりかねないという監督の実効性の観点からの指摘もなされていました。

5.そこで、新会社法では、公認会計士の規定による処分により会社の計算書類について監査する事のできないものを会計監査人の欠格事由とすることにして、現行法の実質を基本的に維持しつつ、当該処分の対象となっていない業務に係る会社の監査との関係では、会計監査人の欠格事由とならないこととしています。

新会社法の重要ポイント(31)・・・委員会設置会社

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Q31.委員会設置会社についてはどのような見直しが行われましたか?

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一.委員会設置会社

1.現行法では委員会等設置会社と呼んでいますが、新会社法では「委員会設置会社」と称することになっています。

2.委員会設置会社は、取締役会が置かれる点は監査役会設置会社と同じですが、取締役会の中に指名委員会、監査委員会、報酬委員会という3つの委員会を置く会社のことを言います。

3.指名委員会は、株主総会に提出する取締役・会計参与の選任・解任に関する議案の内容を決定します。

4.監査委員会は、執行役・取締役・会計参与の職務執行の監査、監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の人事案の決定を行います。

5.報酬委員会は、執行役・取締役・会計参与の個人別報酬等の内容を決定します。

6.さらに、委員会設置会社では、取締役会が1人以上の執行役を選任しなければなりません。

7.執行役は業務を執行し。1人しかいなければその者が代表執行役として会社を代表します。

8.会計参与を任意に設置できる点は監査役会設置会社と共通ですが、会計監査人の設置が強制されるので、外部の会計専門家である公認会計士監査を受けるのに加えて、会計参与を置く実務上の必要性は乏しいと言えます。

二.改正点

1.(a) 現行法
では、委員会設置会社となることのできる株式会社は、

(ア)大会社および
(イ)中会社のうち大会社特例法規定の特例を受ける旨の定款の定めを設けた会社(いわゆる「みなし大会社」)に限定され、小会社が委員会設置会社となる事は認められていません。

(b) 新会社法
では、会社の規模にかかわらず、すべての株式会社が委員会設置会社となることができます。

2.(a) 現行法
では委員会設置会社の取締役が使用人を兼務することについては、明文上は禁止されていません。

(b) 新会社法
では、その兼務が禁止されています。

3.(a)現行法
では、使用人兼務執行役の使用人部分の給与等は執行役が決定することとされています。

(b)新会社法
では、報酬委員会が決定する事にしました。

4.(a)現行法
では、委員会等設置会社の取締役または執行役の責任につき、株主の権利行使に関して財産上の利益を供与した場合の責任を無過失責任としています。

(b)新会社法
では、直接供与したものを除き、これを過失責任としています。

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Q32.委員会設置会社において、取締役が使用人を兼務できないとする理由について

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A32.

一.現行法

1.監査役設置会社において、取締役が使用人を兼務できないとする事は認められており、実務上も広く行なわれています。

2.しかしながら、委員会等設置会社においては、取締役は、業務執行機関である執行役の監督を主たる職責としていますが、このような取締役が執行役を兼ねると、執行役の指揮命令を受けるべき立場にある使用人が当該執行役を監督するようになってしまいます。

3.このような使用人兼取締役が委員会等設置会社において認められるかどうかについては議論が分かれていました。

二.新会社法

1.新会社法では、監督と執行との分離を図ることに、比重をおいています。

2.取締役会の監督機関としての役割を重視した委員会設置会社の制度趣旨を徹底させるため、委員会設置会社においては、取締役が使用人を兼務する事を明文上禁止しました。

三.報酬委員会が、使用人兼業務執行役の使用人として受ける給与等についても決定する事ができるとした理由

1.現行法

(ア)委員会等設置会社においては、報酬委員会が、取締役および執行役が受ける個人別の報酬の内容を決定する権限を有します。

(イ)他方、使用人の給与等については、従業員の報酬規定の決定が会社の業務執行の一環であるため、原則として執行役がこれを定めます。

(ウ)したがって、現行法では、執行役が使用人を兼務する場合には、報酬委員会は、執行役の報酬のみを決定し、使用人の給与等については、執行役において定める事となっています。

(エ)しかしながら、委員会設置会社の制度趣旨は、取締役会全体に対する監督機能を強化しようとする点にあります。

(オ)つまり、執行役が受けるあらゆる種類の報酬について、社外取締役が過半数を占める独立性の高い報酬委員会で決定できてはじめて、この制度趣旨が全うされるといえます。

2.新会社法

(ア)そこで、新会社法では、委員会設置会社においては、報酬委員会が、使用人兼執行役の使用人として受ける給与についても決定する事ができることとしました。

(イ)なお、新会社法では、委員会設置会社の取締役は使用人と兼務する事ができないので、使用人兼務取締役の報酬に関する問題はなくなっています。

新会社法の重要ポイント(33)・・・会計帳簿

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Q33.会計帳簿については、どのような見直しが行われましたか?

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A33.

一.新会社法第432条

1項 株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。

2項 株式会社は、株式会社の閉鎖の時から10年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。

二.経緯

1.会計帳簿の作成については、会計帳簿に記載すべき事象が発生した場合は、適時にこれを記帳すべきものなのですが、実際には、1年に1回税務申告時にまとめて記帳するという事も多いようです。

2.しかし、このような、適時性を欠いた記帳は、記帳時に数字を人為的に調整する事などの不正が行なわれる事が往々にして起こりがちです。

3.そこで、新会社法では、このような不正が行なわれる温床となりかねない慣行を戒めるために、会計帳簿を「適時に」作成する事を明文で規定しました。

4.また、会計帳簿の記載事項の正確性については会計帳簿およびこれに基づき作成される貸借対照表等の計算書類の適正性を確保し、株主、債権者等を保護するためきわめて重要です。

5.国際的に見ても、明文で記載の正確性を求める規定を、置いている例も見受けられます。

6.そこで、現行法でも当然の内容とされている正確性について、明文の規定を置くことにしました。

新会社法の重要ポイント(34)・・・会計帳簿・・・その2

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Q34.会計帳簿の閲覧請求についてどのような見直しが行われましたか?

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A34.

一.一定の割合を有する株主は、株式会社の会計帳簿を閲覧・謄写することができます。

1.現行法

「総株主の議決権の100分の3以上を有する株主」

2.新会社法

「総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主」
および
「発行済株式の100分の3以上の数の株式を有する株主」

・たとえば、相互保有株式の議決権制限により議決権を行使することのできない者であっても、一定割合以上の出資をしている場合には会計帳簿を閲覧・謄写することができることとするほうが相当であると考えられる事から閲覧・謄写の主体としました。

二.一定の割合を有する株主が会計帳簿の閲覧・謄写の請求をした場合において、当該請求が株式会社の業務の遂行を妨げる目的で行なわれたなど、一定の類型に該当する場合には、株式会社は当該請求を拒む事ができます。

・新会社法では、現行法を現代語化した表記に改めただけで、実質的には、内容は同じです。

三.株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の株主と同様の請求ができます。

・この点も、その実質は現行法と同じです。

四.株主が会計帳簿の閲覧請求権を有しない場合であっても、裁判所は、申立により、又は職権で、訴訟の当事者に対し、会計帳簿の全部または一部の提出を命ずる事ができます。

新会社法の重要ポイント(35)
・・・計算書類の種類および記載事項

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Q35.計算書類の種類および記載事項についてはどのような見直しが行われましたか?

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A35.

一.計算書類

1.会社は、定款所定の決算期ごとに、その営業年度に関する

(1)計算書類(貸借対照表、損益計算書、その他、会社の財産、および損益の状況を示すために必要かつ、適当なものとして法務省令でさだめるもの)

(2)事業報告

(3)これらの附属明細書

を作成して、監査役の監査を受け、これを取締役会で承認したうえで、計算書類と事業報告を定時株主総会に提出して、事業報告についてはその内容を報告し、計算書類については総会の承認を求めなければならないのが原則です。

2.ただし、会計監査人設置会社では、計算書類について、会計監査人と監査役会の適法意見が有り、これを不相当とする監査役の意見の付記がないときは、総会の承認を求める必要はなく、それらの内容の報告をすれば足ります。

3.計算書類の種類と内容、資産の評価等、計算書類・事業報告・附属明細書の方式については、法務省令で定められます。

二.現行法

1.現行法上は、条文の規定の上では、「計算書類」という用語は存在しません。

2.しかし、通例としては、貸借対照表、損益計算書、営業報告書、利益処分案(損失処理案)をさして、「計算書類」と呼ぶ事が多いといえます。

三.新会社法

1.新会社法では、「計算書類」の用語を定義し、以下のように整理しています。

(ア)利益処分案(損失処理案)のなかに盛り込まれる事項については、剰余金の配当、役員の賞与、資本の部の係数変動、等に分解したうえで、決算の確定手続きとは無関係に随時行なうことができる、として整理しているので、新会社法上は、利益処分案(損失処理案)は、存在しません。

(イ)営業報告書については、その記載される内容が必ずしも計算に関するものとは言えない事から、定義される「計算書類」のなかには含まれていません。

(ウ)従来は損益計算書の末尾および附属明細書に記載されていた内容や、これまで計算書類等には記載されていなかった内容も含め、別途の書面として独立させることとし、これを株主持分変動計算書(仮称)として、「計算書類」のなかに含める事としました。

次回は連結計算書類について

・・・つづく

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Q36.連結計算書類については、どのような見直しが行われましたか?

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A36

一.連結計算書類

1.今日の企業、なかんずく大企業にあっては、一企業単独で成り立っている企業はほとんど存在せず、ほぼ全ての企業が何らかの形で、企業「群」を形成しています。

2.したがって、企業の真の実力を把握するためには、一企業だけでは、不十分で企業「群」全体を捉えることが不可欠であるといえます。

3.ところが、従来、日本では商法上はあくまで単独の決算を前提に制度が作られていました。

4.その結果、業績の悪化した企業が、それを隠すために、親子会社や関連会社を通じ計算内容を操作する事がしばしば行なわれていました。

5.このような、不祥事を排し、又、連結決算による企業評価が国際基準に近づくために、いわゆる会計ビッグバンの一環として2000年3月期から連結決算に大幅な変更が加えられ、商法においてもいわゆる大会社においては、連結決算が原則とされました。

6.平成14年改正は、連結計算書類制度を導入し、会社法もこれを引き継いでいます。

7.この制度は、情報提供の充実を図るために導入されたものであり、剰余金配当規制は従来どおり単体の貸借対照表を基準とします。

8.連結計算書類とは、「その会社及びその子会社からなる企業集団の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるもの」をいいます(現行では、連結貸借対照表と連結損益計算書をいいます)。

二.現行法

1.現行法では、商法(商法特例法)上の連結書類を作成できるのは大会社のみです。

2.したがって、たとえば、証券取引法による開示規制に基づき連結計算書類を作成している株式会社であっても、大会社に該当しない場合には、商法(商法特例法)上の連結計算書類を作成して、監査を受け、これを株主に開示する、ということが規定上できません。

三.新会社法

1.新会社法においては、会社の規模にかかわらず、会計監査人設置会社であれば、連結計算書類を作成できるとした上で、現行法上連結計算書類の作成義務が課せられている株式会社については、新会社法においても作成義務を課すことにしています。

2.なお、連結計算書類を作成する事ができる株式会社を会計監査人設置会社に限定したのは、作成される連結計算書類についての専門知識を有する会計監査人を設置している事が必要であると考えられたためです。

次回は連結決算に必要なもの

・・・つづく

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Q.37 連結決算に必要な書類にはどんなものがありますか?

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A37.

一.連結決算に必要なもの

1.連結決算のために必要な書類には、

(1)連結貸借対照表
(2)連結損益計算書
(3)連結キャッシュフロー計算書
(4)連結剰余金計算書
の4つがあります。

2.新会社法では、法務省令を通じ(3)および(4)も作成が要求される事となると思われます。

3.会計上では、既にこれらすべての書類が必要であり、有価証券報告書においてもこれら全てが掲載されるだけでなく、むしろ連結財務諸表が前面に掲載され、また連結ベースでも中間決算を開示するなど、連結重視の内容になっています。

二.子会社、親会社の概念について

1.現行商法および現行有限会社法

(1)株式会社が、他の株式会社または他の有限会社の議決権の過半数を有する場合の当該他の株式会社または他の有限会社を「子会社」とし、過半数の議決権を有する株式会社を「親会社」としています。

(2)有限会社が、他の株式会社または他の有限会社の議決権の過半数を有する場合の当該他の株式会社または他の有限会社を「子会社」とし、過半数の議決権を有する有限会社を「親会社」としています。

(3)すなわち、対象となる法人は、株式会社および有限会社のみであり

(4)判定要件は議決権の過半数という形式基準によっています。

2.新会社法

(1)子会社、親会社の概念について対象となる法人を株式会社に限定していません。

(2)その判断要件についても、議決権の過半数という形式基準ではなく、実質的に支配しているかどうかという基準によるものとしています。

(3)実質的な支配の基準としては、連結計算書類の連結対象となる法人の範囲と同等のものとなる予定ですが、具体的には法務省令で定められる予定です。

次回は利益の配当について

・・・つづく

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Q38.利益の配当に関しては、どのような見直しが行われましたか?

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A38.

一.現行法

1.現行法上、利益の配当の回数は、通常の配当と中間配当の年2回に限られています。

2.しかし、配当可能額の範囲で配当を行なっている限り、その回数に制限を設ける合理的な理由があるとは思えません。

二.新会社法

1.株主に対する利益の還元方法を多様化させて企業価値を高める観点から、利益の配当に回数を設けることなく、年に何回でも利益の配当をすることができることとしています。

三.現行法

1.委員会等設置会社においては、取締役会の決議によって通常の配当ができます。

2.監査役を設置している株式会社においては、通常の配当を行なうのに株主総会の決議が要求されています。

3.しかし、委員会の設置と監査役の設置との差によって、配当を行なう際の決議機関を違えるべき合理的理由も見当たりません。

四.新会社法

1.委員会設置会社以外の会社であっても、

(1)監査役会設置会社であること

(2)会計監査人設置会社であること

(3)取締役の任期の末日が選任後1年以内に終了する事業年度の最終のものに関する定時株主総会の終結の日後の日であるものでないこと

の要件を満たす会社は、

(4)定款の定めを置くことにより、

(5)最終事業年度に係る計算書類が、法令及び定款に従い、株式会社の財産および損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める用件に該当する場合には、取締役会の決議により通常の配当を行なうことができるもの、としています。

(1)(2)(5)の要件は、剰余金の配当をする場合の分配可能額算定の基礎となる計算書類の正確性を確保するものです。

(3)の要件は、取締役会による剰余金の配当方針が株主の意思に沿ったものでない場合に、適切に取締役を選任し、その意思を反映させるためです。

2.中間配当について

以上の要件を備えない会社でも、取締役会設置会社であれば、定款の定めにより、取締役会の決議によって中間配当をすることができます。

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Q39.分配可能額はどのように算定されるのですか?

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A39.

一.株主に対して不当に多額の配当が行われると、会社の債権者の利益を害する恐れが出てきます。
そこで、株主に対する配当利益の計算方法等は厳格に規定されています。

二.現行商法

1.最終の貸借対照表上の純資産額から資本の額や法定準備金の額などを差し引いた額が、配当可能利益となります。

2.また、分配可能額の算出に期間利益を反映させる事はできません。

三.新会社法

1.最終の貸借対照表上の純資産利益から資本の額や法定準備金の額などを引いた額が、配当可能利益となります。

2.最終の決算期の貸借対照表から算出された分配可能額に、最終の決算後、分配を行なうまでの間に生じた分配可能額の上限を反映させることになります。なお、分配可能額の上限とは、金銭の分配、資本金の減少等による分配可能額の増減を意味します。

3.2.の場合、期間利益による変動は含みませんが、期中に決算手続きに準ずる手続きを行なえば、分配可能額に手続き時までの期間損益を反映させる事ができます。

4.純資産額が300万円未満の株式会社は、剰余金を株主に分配する事ができません。

四.改正の理由

1.最低資本金制度の撤廃を受けて、債権者保護の見地から剰余金の分配に際して純資産額による制限を加えることになりました。

2.株式会社が株主から、有償で株式を取得するという事は、株主に対して債権者に先立って財産を払いだしているという事になります。

3.したがって、新会社法では、株式会社の財産についての株主と債権者との権利調整という観点から、株主に対する金銭の分配と自己株式の有償取得について、これらを区別することなく統一的に財源規制をかけることになりました。

新会社法の重要ポイント(40)
・・・剰余金の分配と取締役等の責任

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Q40.剰余金の配当に関する責任および期末の填補責任については、どのような見直しが行われましたか?

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A40.

一.剰余金の配当に関する責任

1.現行法

A.

分配可能額を超えて剰余金の配当をした取締役の責任
(1)監査役設置会社・・・無過失責任
(2)委員会等設置会社・・過失責任

B.

当該責任について
株主全員の同意による免除が認められています。

2.新会社法

A.

株式会社の機関設計にかかわらず、これを過失責任としました。

(理由)

(1)監査役設置会社と委員会等設置会社という機関設計の差異を持って、個々の業務執行者の責任に差異を設ける合理的理由がない事。
(2)近代私法の原則である過失責任主義の例外として無過失責任を維持すべき合理的理由もない事。

B.

当該責任について
分配可能額を超えて分配された部分については、株主全員の同意があっても、その責任の免除をみとめません。

(理由)

債権者と株主との間の会社財産の調整機能を果たしている分配可能額に関する規定に違反した場合において、株主の合意によりその責任の免除を認めるのは合理的ではない事。

二.期末の填補責任

1.分配可能額の計算において、最終事業年度の末日後、当該分配時までの間の分配可能額の増減を反映させるために、期末の填補責任の欠損判定時期を、計算書類の確定時としました。

2.自己株式を取得した事によって発生する期末の填補責任について、取得した自己株式を当該年度中に処分した場合には当該処分価額を責任額から控除するという現行法の制度を改め、株式会社から流出した財産である取得価額を弁済すべきものとしました。

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Q41.営業譲渡に関する規制についてはどのような見直しが行われましたか?

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A41.

一.営業譲渡から事業譲渡への改正

1.現行法では「営業」譲渡等としていたのを、新会社法は「事業」の譲渡等と概念を改めました。

2.これは、他の法人法制との整合性を図り、また、商号との関係を考慮したためと説明されています(個人商人は複数の営業を有し営業ごとに複数の商号を有する事ができますが、会社は全体として1つの商号しか有する事ができません)が、その規制の実質に変更はありません。

3.したがって、たとえば、現行法における営業概念についての判例の考え方は、そのまま新会社法のもとでの事業概念について当てはまります。

二.簡易組織再編の要件について

1.現行法

組織再編行為に際しての株主総会における承認が不要になる簡易組織再編行為手続きの要件につき、

・合併、株式交換、吸収分割(承継会社)の場合には、当該組織再編行為に際して新たに発行する株式数が発行済株式総数の5%、

・会社分割(分割会社)の場合は、分割対象の資産の簿価が分割会社の総資産額の5%、

・営業全部の譲受けの場合は、営業譲受の対価が譲受会社の簿価純資産額の5%

をそれぞれ超えない事が条件とされていました。

2.新会社法

1.事業の重要な一部の譲渡について、吸収分割等における簡易組織再編と同様に、当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価格が当該株式会社の純資産に対する割合が20%以下の場合には、株主総会の決議を不要としました。

2.他の会社の事業の全部の譲受について、吸収合併、吸収分割における簡易組織再編と同様に、当該他の会社の事業の全部の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額の当該株式会社の純資産額に対する割合が20%以下の場合には、株主総会の決議を不要にしました。

3.これらは、産業再生法においては既に認められていた制度ですが、新会社法によって恒久的かつ一般的な制度として認められることになりました。

4.これによって、よりスピーディな事業再編・M&Aが促進されるものと期待されています。

三.略式組織再編制度の導入

1.新会社法においては、ある会社が他の会社の総株主の議決権の10分の9以上を直接または間接に所有している場合の、当該「ある会社」を「他の会社」のとっての「特別支配会社」と定義しています。

2.特別支配会社と被特別支配会社との組織再編行為については、被特別支配会社における株主総会における決議を省略する事ができます。

3.産業再生法においては、認定を受けた事業者が3分の2以上の議決権を有する子会社との間で行なう組織再編や、そのような子会社同士で行なう組織再編については、当該子会社の株主総会決議は不要とされていますが、新会社法においては、この基準が引き上げられた上で、恒久的かつ一般的な制度とされました。

4.ただし、当該略式組織再編の条件が著しく不当であるなど、株主が不利益を受ける恐れがあるときは、少数株主は、略式組織再編をやめるよう請求する事ができます。

四.事業譲渡の際の競業禁止に係る特約の範囲

事業譲渡の際の競業禁止に係る特約の効力が制限される範囲について、「同府県および隣接府県」という限定を設けないものとしました。

参考

現行商法第25条

①営業を譲渡したる場合において当事者が別段の意思を表示せざりしときは譲渡人は同市町村及隣接市町村内において20年間同一の営業をなすことを得ず
②譲渡人が同一の営業を為さざる特約をなしたる時はその特約は道府県及隣接府県内且30年を超えざる範囲内においてのみその効力を有す

新会社法第21条

事業を譲渡した会社は、当事者の特別の意思表示がない限り、同一の市町村の区域内及びこれに隣接する市町村区域内においては、その事業を譲渡したとき日から20年間は、同一の事業を行なってはならない。

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Q42.事後設立に関する規制については、どのような見直しが行われましたか?

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A42.

一.事後設立における検査役の調査制度の廃止

1.事後設立

・事後設立とは、会社の設立後2年以内に、会社の設立前から存在する営業用の財産を一定の割合以上の価額で取得する事をいいます。

2.現行法

(1)現行法では株式会社の設立前から存在する財産を、会社設立後2年以内に資本金の1/20以上の対価で取得〈事後設立〉する場合には、株主総会の決議に加えて、裁判所の選任する検査役の調査を受ける必要があります。

(2)この検査役の調査は、平成2年の改正において資本充実の観点から、会社が取得する財産価額の適正性を確保するとの目的で導入されたものです。

(3)つまり、目的物を過大に評価すると、会社債権者を害してしまうので、法は厳格な規制をしている訳です。

(4)しかし、事後設立に係る検査役の調査の問題点としては、調査に多額の費用を要し、かつ期間についても長期間にわたり、しかも、期間についてあらかじめ予測する事が困難であるいう問題点があり、会社設立後2年以内には大規模な設備投資や物品購入を原則として禁止する効果を生じさせるため、事業の運営に著しい障害になるという懸念がありました。

(5)そのため、平成14年の改正により、弁護士、公認会計士、税理士による証明制度が導入されましたが、それによっても、事後設立が抱える問題は解消されませんでした。

3.新会社法

(1).事後設立に際して検査役の調査を受ける必要がなくなります。

(2).事後設立に際して株主総会の決議が必要となる基準は、営業全部の譲受に際して株主総会の決議が必要となる基準に統一されました。

(3).すなわち、純資産額の1/5以上の対価で取得する場合となります。

(4).新設合併、新設分割または株式移転により新設された会社は、(2)の事後設立の規制を回避する事が出来ます。

4.改正の経緯

(1) 事後設立に関しては、例えば資本金1,000万円の会社が300万円の中古車を買えば事後設立になりうるが、500万円の新車を買っても事後設立にならないという不均衡(しかも、会社財産を減少される危険性は後者のほうがより大きい)が、かなり前から指摘されていました。

(2)また、一般の取引によって会社財産が害される事は、設立の年数とは関係なく常に起きうる問題である事、

(3) 会社が事業活動に伴い取得する財産の価値の適正性の判断は、取締役等が会社の業務を行ううえで最も基本的な判断であって、善管注意義務の範囲内で行われるべき事項であること、

(4) 調査コストとスケジュール等、事業の運営に障害が発生する事、

(5) 実務の上で本規制回避のために種々の非合理な努力がなされている事、
〈例〉
(ア)事後設立に係る検査役の調査の規制を回避するために、売買契約等を分割して行う、

(イ)あえて財産状態に問題がある可能性も否定できない会社成立後相当程度期間の経過した休眠会社を買い取り、これを受け皿会社とすること、

等から、新会社法では事後設立の際の検査役の調査に関する規定は撤廃される事になりました。

(6).又、資本金に比して少ない対価で営業用の財産を譲り受ける場合にまで株主総会の決議を必要としたのでは、機動的な設備投資ができないことから、株主総会の決議を必要とする基準も緩和されました。

二.株主総会の決議が不要になる要件

株主総会の決議が不要になる要件については、合併等における簡易組織再編の要件にあわせて、取得する財産の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額の当該株式会社の純資産額に対する割合が、5%基準から20%基準まで引き上げました。

三.新設合併等により設立された会社における事後設立規制の排除

新設合併、新設分割、または、株式移転により設立された会社につき、事後設立規制が課せられないことが明確化されました。

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Q43.解散・清算について新会社法ではどのような見直しが行われましたか?

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一.解散・清算

1.会社の法人格の消滅をもたらす原因となる事実を解散といいます。

2.解散に続いて、法律関係の後始末をする手続きを清算といいます。

3.会社の法人格は、合併の場合を除いては、解散によって直ちに消滅せずに、会社は清算手続きに入り、その完了(結了)によって消滅します。

3.清算の目的は会社の全ての権利義務を処理して残余財産を株主に分配する事に有ります。

4.したがって、会社は事業を継続する事はできず、事業を前提とする諸制度や諸規定は適用されなくなります。

5.しかし、清算中の会社も法人格としてはそれ以前の会社と全く同じであって、権利能力の範囲が清算の目的の範囲内に限定されるに過ぎません。

6、新会社法では、通常清算手続きにおける裁判所の監督を廃止し、その他の規制を緩和する一方で、特別清算については、裁判所の関与を強化し、債権者の多数決できめられる「協定」に基づく弁済を可能とする等の改正を行いました。

二.通常清算において清算手続きに対する裁判所の監督を廃止した理由

1.現行法上は、清算は裁判所の監督に属するものとされ、清算人は、解散の事由等を裁判所に届け出ること、財産目録等を裁判所に提出する事を要します。

2.しかしながら、清算の遂行に著しい支障を来たすべき事情がある場合等において裁判所の厳格な監督の下に行なわれる特別清算と異なり、通常の清算の手続きにおいては、裁判所がこれに積極的に関与する必要性は乏しいといえます。

3.そこで、新会社法では、通常の清算については、裁判所の監督の制度を廃止しました。

三.特別清算の手続きの基本的な流れ

1.特別清算は、株式会社の清算手続きについて、債権者の保護のために、裁判所の関与を強めたものであり、その基本的な流れは、次のようになっています。

(1)裁判所は、債権者、清算人、監査役、または株主などにより清算株式会社について特別清算開始の申し立てが成されると、特別清算開始の原因があるかどうかを審理します。

そして、開始の要件を満たしていると、清算株式会社に対して、特別清算開始を命じます。

(2)特別清算が開始されても、原則として、従前の清算人が清算事務を行います。

そして、清算株式会社の清算は裁判所の監督に属し、清算株式会社の行為が制限されます。

また、裁判所は、必要に応じて、清算人の選任及び解任、清算株式会社の財産に対する保全処分、役員等の責任に基づく損害賠償請求の査定の裁判等を行なうことができます。

(3)清算人は、裁判所の監督の下、清算株式会社の事業を終了させるための事務、債権の取立てや債務の弁済を行います。

そのために必要があれば、清算株式会社は、協定案を作成し、債権者集会において、法定多数の債権者の同意があると、協定は可決され、裁判所による協定認可の決定が確定すると、当該協定の内容に従い、債権者の権利が変更されます。

(4)清算株式会社は、協定が成立した場合にはこれを実行し、清算事務が終了すると、裁判所は、特別清算終結の決定をし、これにより特別清算の手続きは終了します。

四.破産手続きとの違い

1.特別清算の手続きは、破産手続きと同様に、清算を目的とします。しかし

2.清算中の株式会社のみが利用する事ができます。

3.破産手続きは裁判所が選任した破産管財人が清算事務を遂行するのに対し、特別清算の手続きは、原則として、従前の清算人が清算事務を遂行します。

4.破産手続きは債権者に比例して定められる配当額を法律に定められた手続きに従い債権者に配当するのに対し、特別清算の手続きは、債権者の多数決によって定められる「協定」に基づいて弁済が行なわれるなど、柔軟で手続きコストも低廉です。

このような点が破産手続きとは異なっています。

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Q44.持分会社とは何ですか?

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A44.

一.持分会社

新会社法は、合名会社と合資会社に加えて、新たに全ての社員が有限責任社員である合同会社(日本板LLC)を創設し、これら3つの種類の会社を「持分会社」という1つの類型に整理して、規制を整備しなおしました。

二.持分会社の特徴

1.内部関係(社員間および社員・会社間)の規制については原則として定款自治が認められその設計が自由であること

2.機関について株主会社のような規制がないこと(取締役のような機関の設置は強制されない)

3.社員の議決権は原則として1人1議決権であること

4.持分の譲渡には原則として他の社員全員の承諾が必要であること

等の点にあります。

三.合名会社・合資会社についての見直し

1.現行法では、合名会社の社員が1人となった場合には当然に解散するものとされています。

2.新会社法では、会社の継続を容易にするために、社員が1人になっても解散しないこととしています。

3.現行法では、法人が合名会社や合資会社の無限責任社員になることを禁止しています。

4.新会社法では、法人もこれらの者になることを認めると共に、法人が合名会社等の業務を執行する場合における当該法人の職務を行なう者の指定など所要の措置を講じることとしています。

5.合名会社・合資会社の社員の利益を適切に保護するために、会社の業務を執行しない社員が、業務を執行する社員の責任を追及する訴えを提起できる事とする制度を整備することとしています。

四.法人を、社員として認めた理由

1.現行商法上の法人への規制は、合名会社等は人的信用を基礎とするものである事を理由にしていますが、法人も他人の保証人になるなど、信用を供与することができ、合理性のある規定とはいえません。

2.そこで、新会社法では、法人が合名会社の社員等になることを認めた上で、法人が社員となることにより、他の社員や会社債権者が不当に害されることのないように、その職務執行者の指定や、責任に関する規定を整備することとしています。

五.持分会社に、一人会社を認めた理由

1.株式会社においては、一人会社が認められていますが、社団性との関係においては、一人株主の意思で株式を譲渡すれば社員が複数になりうることから、一人会社であっても社団性を失わないという説明が可能です。

2.持分会社は、社員の個性が重視されるにしても

(1)社員の加入や持分の一部の譲渡により、社員が複数になりうること
(2)これらが一人社員の意思で行ないうること

という点においては、株式会社と変わることがありません。

(3)したがって、一人持分会社を認めても、直ちに社団性に反するとはいえず、これを認めない合理的理由もないので、新会社法においては、これを認めることとしました。

新会社法の重要ポイント(45)・・・合同会社

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Q45.合同会社(日本板LLC)とは何ですか?

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A45.

一.LLC

1.もともとLLCとは、
(1)全社員が有限責任で
(2)法人格があるのに
(3)パススルー性が認められ
(4)内部ルールは構成員間で自由に決める事ができる
事業主体です。

2.アメリカにおけるLLCは、小規模会社に私法上というよりむしろ税法上の恩恵を与える事を目的として導入された組織形態です。

3.そして、一定の要件を満たす事により、会社としての課税ではなく、構成員としての課税を受けることが出来るものです。

二.合同会社(日本板LLC)とは

1.合同会社(日本板LLC)は、今回の会社法の現代化の過程において新しく設けられた会社形態です。

2.内部関係においては、組合的な規律が適用されながら、対外的には社員全員が有限責任しか負わないという特徴を有しています。

3.今回の新会社法ではパススルー課税は見送られています。

三.合同会社(日本板LLC)の特徴

1.会社の内部関係について組合的規律が適用される
2.社員全員が会社債務について有限責任
3.会社として法人格を有する
4.出資は金銭出資と財産出資に限られる
5.計算に関する規定、および剰余金の分配に係る財源規制等については株式会社と同様の規制が課される
6.社員が一人しかいない、いわゆる一人会社が認められる
7.決算公告をする必要が無い

四.株式会社と合同会社(日本板LLC)の違い

1.会社内部の規律の強行規定性について

(ア)株式会社

社員の意思決定機関としての「株主総会」を設け、業務執行者として社員とは異なる「取締役」等の機関を設ける必要性があるほか、株主の権利内容も、原則として平等原則が適用され、これらの規律は強行規定とされています。

(ロ)合同会社(日本板LLC)

組合と同様に、広く契約自由の原則が妥当するため、機関設計や社員の権利内容については強行規定がほとんど存在せず、広く定款自治に委ねられています。

2.持分の譲渡に関する規律について

(ア)株式会社

社員たる株主の個性を問わないため、基本的に株式の譲渡自由の原則が採用されています。

(イ)合同会社(日本板LLC)

社員間の人的繋がりが強く、誰が社員になるかは他の社員に重大な利害関係を生じるため、持分の譲渡については、原則として他の社員の全員一致が要求されています。

五.合同会社(日本板LLC)と有限責任事業組合(LLP)との違い

1.共通点

合同会社(日本板LLC)と有限責任事業組合(LLP)とは、いずれもその社員または組合員の全員が有限責任とされ、会社又は組合の内部関係について組合的規律が適用される点については共通しています。

2.相違点

(ア)合同会社は、法人格を有するのに対し、有限責任事業組合は、その本質が組合契約であり法人格を有しません。したがって、合同会社は対外的安定性において、相対的に法的安定性が高いといえます。

(イ)合同会社に関しては、必ずしも社員全員が業務執行を担当する必要性はありませんが、有限責任事業組合は、すべての組合員が何らかの形で業務の執行に携わる事が必要です。

(ロ)合同会社は社員が一人になっても存続が可能ですが、有限責任事業組合は、構成員が一人では存続できません。

(ハ)合同会社に関しては、合同会社から株式会社に組織変更することも、株式会社から合同会社に組織変更することも可能ですが、有限責任事業組合に関しては、株式会社等との会社との間での組織変更はできません。

(ニ)合同会社に関しては、株式会社等との会社との間の合併等の組織再編行為をする事は可能ですが、有限責任事業組合に関しては、株式会社等との会社との間における組織再編行為は認められていません。

新会社法の重要ポイント(46)
・・・合同会社(日本板LLC)その2

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Q46.合同会社の債権者保護のための手続きはどうなっていますか?

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A46.

一.

合同会社は、人的会社であるにも拘わらず、全社員が有限責任しか負わないため、その債権者の保護は重要な問題です。

二.

新会社法においては債権者保護のために

1.会社の財産状況が適切に表示される事

2.会社に適切に財産が留保される事

を求めています。

三.

具体的には、

1.貸借対照表・損益計算書を作成しなければならない

2.合同会社の社員は、その閲覧・謄写の請求ができる

3.登記においては、目的、資本金の額、業務を執行する社員および合同会社を代表する社員の氏名等、合同会社に関する基本的な事項を登記し、公示すること

等の措置を講じています。

四.

会社に適切に財産が留保されるようにするために

1.社員の出資については全額払込み制度を採用

2.社員の出資の目的は、金銭その他の財産に限る

3.利益の配当等に関しては、株式会社と同様の財源規制を課する

事としています。

五.

1.以上のような合同会社制度は、アメリカにおけるLLCや英国やシンガポールにおけるLLPをモデルに導入されようとしていますが、それらの国のLLCやLLPについてはいわゆるパススルー課税が認められているのに対し、わが国の合同会社では認められていません。

2.その理由としては、「法人格を有する組織については法人課税の対象となる」という大原則があるからです。

3.そのため、経済産業省などの主導により、民法上の組合に関する特別な制度を設けるという趣旨で「有限責任事業組合に関する法律案」が2月に国会に提出され、4月に成立し、8月1日に施行されました。

4.しかし、同時期にLLCとLLPの両方を制度化した国は今まで存在しないようです。

新会社法の重要ポイント(47)
・・・日本板LLP(有限責任事業組合)

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Q47.日本板LLP(有限責任事業組合)とは何ですか?

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A47.

一.LLPとは

1.LLPは、株式会社や有限会社とならぶ、「有限責任事業組合」という、新たな事業体をいいます。

2.具体的には

(1)構成員全員が有限責任で

(2)損益や権限の分配を柔軟に決める事ができるなど内部自治が徹底し

(3)パススルー課税(構成員課税)の適用をうける

という、特徴を兼ね備えています。

3.構成員全員が無限責任の民法組合の特例として、今般「有限責任事業組合契約に関する法律」によって制度化されました。

二.LLPの活用分野

1.LLPの活用分野として想定されるのは次に掲げる分野があります。

2.大企業同士が連携して行なう共同事業(共同研究開発、共同生産、共同物流、共同設備集約など)

3.中小企業同士の連携(共同研究開発、共同生産、共同販売など)

4.ベンチャー企業や中小・中堅企業と大企業の連携(ロボット、バイオテクノロジーの研究開発など)

5.異業種の企業同士の共同事業(燃料電池、人工衛星の研究開発など)

6.産学の連携(大学発ベンチャーなど)

7.専門人材が行なう共同事業(ITや企業支援サービス分野:ソフトウエア開発、デザイン、経営コンサルタントなど)

8.企業家が集まり共同して行なう創業

9.農業や街づくりといった分野でのあらたな事業展開

等が想定されています。

三.LLPの立ち上げ・運営の要件

1.組合契約書の作成

LLPの組合員は、組織の基本事項を契約書に掲載し、全員で署名又は記名・押印します。

掲載が義務付けられる基本事項(絶対的記載事項)

(ア)名称
(イ)事業内容
(ウ)事務所の所在地
(エ)構成員の氏名・名称・住所
(オ)出資の目的と価額
(カ)契約の効力発生の年月日
(キ)存続期間
(ク)事業年度

2.組合契約の登記

LLPは、組合契約書の作成と組合員の出資の払い込みの後に、LLP契約の登記をする事で立ち上げの手続きが完了します。

登記事項

(ア)名称
(イ)事業内容
(ウ)構成員の氏名・名称・住所
(エ)事務所の所在場所
(オ)存続期間
など

3.開示義務

(ア)「有限責任事業組合」という名称の表示義務(正式な書面での義務であり、たとえば名刺や看板などで「LLP」を使う事は可能です。)

(イ)債権者保護の観点から損益計算書、貸借対照表等を作成し、債権者の求めに応じて開示

又、債権者保護に関しては、組合財産分配規制などの規制があります。

4.共同事業要件

債権者保護の観点から、LLPの構成員は事業上の意思決定と業務執行への参加が義務付けられています。

その理由は、LLPは、組合契約に基づき、組合員全員がそれぞれの個性や能力を活かしつつ、共通する目的に向かって主体的に組合事業に参画するという制度のニーズに基づいた制度だからです。
(なお、業務執行を組合員間で分担する事は可能です。)

新会社法の重要ポイント(48)
・・・日本板LLP(有限責任事業組合)その2

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Q48.パススルー課税とは何ですか?

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A48.

一.パススルー課税

1.パススルー課税とは、法人または事業組織体そのものに対しては課税せずに、その出資者に対して(現実に配当がおこなわれるか否かにかかわらず)当該法人または事業組織に生じた損益について課税するというものです。

2.こうした課税方式は、法人段階への課税に加えて出資者への配当に対して課税するという二重課税が回避できるだけでなく、ベンチャー事業を行なう際に、初期の投資による損失と出資者の利益との通算が可能となり、出資者の節税にもなる事があるため、リスクの高い共同事業へ参加しようというという出資者のインセンティブを高める事が期待できるといわれています。

3.有限責任事業組合制度は、こうしたパススルー課税を実現するために導入されようとしていると考えられています。

二.有限責任事業組合と合同会社制度との相違

1.有限責任事業組合は、あくまでも特別法上の組合であり、法人格はありません。したがって、他の会社類型への組織変更はありえません。また、知的財産や、許認可等の帰属については、現時点では不明確な点があります。

2.この点、合同会社は会社法上の会社であり、法人格を有しているので、株式会社等への組織変更が可能です。また、会社として知的財産や許認可等の帰属主体となる事も可能です。

3.したがって、会社として、知的財産や許認可等を有しておきたい場合や、将来を見据えて事業の拡大、上場等を考えている場合は、合同会社の利用が良いように思われます。

4.いずれにしても、有限責任事業組合制度については、合同会社が持つ利点に加えて、さらに税制上の有利さが加えられている点に特徴があり、そうした利点や特徴を生かして立法担当者が想定しているようなベンチャー企業等による活発な利用やそれによる産業の活発化が期待されています。

以上をまとめると

                                                     合同会社                         有限責任事業組合

法人格                                              あり                                     なし
構成員課税                                        なし                                     あり
業務執行の全部委任                           できる                                できない
構成員一人での存続                           できる                                できない
株式会社等への組織変更                     できる                                できない
株式会社等との合併                           できる                                できない

※参議院法務委員会で「合同会社における課税については、会社の利用状況、運用実態等を踏まえて、必要があれば、対応措置を検討する事」との附帯決議がなされています。

新会社法の重要ポイント(49)・・・社債

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Q49.社債についてはどのような見直しが行われましたか?

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A49.

一.社債とは

1.現行商法は、社債についての定義規定を置いていません。

2.新会社法では、社債を

「この法律の規定により会社が行なう割当により発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、676条各号に掲げる事項〔募集事項〕についての定めに従い償還されるものをいう」

と定義しました。

3.また、新会社法では、会社法上の全ての会社が社債を募集形態で発行する事ができることを明らかにしました。

二.募集社債の発行にあたっては

(1)場集社債の総額

(2)各募集社債の金額

(3)募集社債の利率

(4)募集社債の償還の方法および期限

(5)利息支払の方法及び期限

(6)社債券を発行する時はその旨

(7)記名式社債と無記名式社債の転換制限の定め

(8)社債管理者が社債管理者集会の決議によらずに訴訟行為や法的倒産処理手続きをできるとする時はその旨

(9)各募集社債の払込金額もしくはその最低金額またはこれらの算定方法

(10)募集社債と引き換えにする金銭の払い込みの期日

(11)打切発行の定め

(12)その他法務省令で定める事項

を定めなければなりません。

三.社債に係る規律の見直し

1.会社の資金調達の円滑化の観点から、取締役会を設置する株式会社にあっては、取締役会では償還の金額及び利率の上限ならびに社債の発行価額の下限のみを決議する事で足り、具体的な額等の決定を代表取締役に委任することができることとしています。

2.また、近時、社債発行会社が債務不履行に陥る事例が増加し、社債発行会社に対して貸付債権等の債権を有する社債管理者と社債権者との利益相反が尖鋭化するような事態が現実問題化しているという指摘を踏まえ、社債管理者の責任を強化する事としました。

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Q50.社債管理会社の権限と責任についてはどう変更されましたか?

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A50.

一.社債管理者

1.株式会社が、社債を発行するためには、取締役会設置会社では取締役会の決議が必要です。

2.又、原則として、社債管理者(現行商法では社債管理会社と呼んでいます)を設置し、社債権者の為に社債の管理を委託しなければなりません。

3.例外として、各社債の金額が1億円以上である場合その他法務省令で定める場合には、社債権者の設置は不要です。

4.なお、社債権者になれるのは、銀行・信託会社またはこれに準ずる者として法務省令で定める者に限られます。

5.証券会社は、社債管理者になれません。

二.現行法

1.社債管理会社は、法律によって与えられる権限を誠実に行使することで「社債の管理」を果たせます。

2.ただし、社債発行会社の資力に不安が生じて、社債の償還や利息の支払を怠ったり、また支払の停止などがあったときについては、その前の3か月間に社債管理会社が社債発行会社から貸付金の返済を受けるなどしていた場合などには、自らが誠実に権限を行使したことなどを証明しない限り、社債権者に対して損害賠償責任を負います。

3.また、社債管理会社は、社債発行会社と社債発行権者集会の同意がない限り、原則として辞任することができません。

4.加えて、社債管理会社は、社債権者集会の決議がない限り、総社員について訴訟行為と法的倒産処理手続きに関する行為をすることができません。

三.新会社法

1.「社債管理会社」の名称が、会社以外の者が含まれる可能性があるため「社債管理者」に変わります。

2.社債管理者は、社債発行会社との間の社債管理委託契約に基づく権限に関しても善管注意義務を負います。

3.社債管理者が負う損害賠償責任の範囲が拡大します。

4.社債管理者は、社債管理委託契約等に規定がある場合には、社債権者集会の決議がなくても、訴訟行為と法的倒産処理手続きに関する一切の行為をすることができます。

5.減資等、債権者保護手続きが必要になる場合は、社債管理者に対しても催告をしなければならず、社債管理者は、債権者保護手続きにおいて異議を唱える事ができます。

現行法上は、社債権者が異議を述べるためには社債権者集会の決議が必要とされています。

しかしながら、社債権者集会の決議、更には裁判所の決定手続きが必要となると、意義を述べる事が事実上困難となり、社債権者の利益が害されるとの指摘がなされていました。

そこで、新会社法では、社債管理者がある場合には、会社は社債管理者に対しても催告を行なう事ができることとしたうえで、社債管理者委託契約等に別段の定めがある場合を除き、社債管理者は、社債権者の為に、異議を述べる事ができることとして、社債権者の利益を確保する事としました。

6.社債管理者が訴訟行為や法的倒産処理手続きに関する行為をしたとき、辞任後に事務を引き継ぐ者を決めておけば、株式会社が社債に関する期限の利益を喪失した場合の公告と通知は不要となります。

新会社法の重要ポイント(51)・・・組織変更その1

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Q51.異なる会社間の組織変更はどのような手続きで行なわれますか?

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A51.

一.組織変更

1.会社の組織変更とは、会社が法人格の同一性を保ちつつ、別の類型の会社になることを言います。

2.したがって、

(1)株式会社から持分会社への組織変更と

(2)持分会社から株式会社への組織変更があります。

(3)なお、合名会社・合資会社・合同会社間の変更は、「持分会社の種類」の変更に過ぎず、組織変更にはあたりません。

二.組織変更の手続き

1.株式会社が持分会社に組織変更する場合

(1)組織変更計画の作成

(2)組織変更計画に関する書面等の備置き及び閲覧等

(3)総株主の同意

(4)登録株式質権者および登録新株予約権質権者への通知または公告

(5)新株予約権買取請求

(6)債権者保護手続き

(7)組織変更の登記

2.持分会社が株式会社に組織変更する場合

(1)組織変更計画の作成

(2)総社員の同意

(3)債権者保護手続き

(4)組織変更の登記

3.なお、持分会社内での会社の種類を変更する場合は、組織変更の手続きではなく、定款変更の手続きをすることになります。

三.組織変更の無効

1.組織変更無効の訴えが用意され、この訴えによってのみ無効を主張する事ができます。

2.組織変更を無効とする判決が確定すると、変更前の会社に復帰します。

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Q52.組織再編行為には、どのようなものがありますか?

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A52.

一.新会社法における組織再編行為

1.組織変更
2.吸収合併
3.新設合併
4.吸収分割
5.新設分割
6.株式交換
7.株式移転

の7種類の組織再編行為が認められています。

二.組織変更

1.会社の組織変更とは、会社が法人格の同一性を保ちつつ別の類型の会社になることをいいます。

2.株式会社から持分会社への組織変更、持分会社から株式会社への組織変更のいずれもが認められます。

三.合併

1.会社の合併とは、2つ以上の会社が契約によって、1つの会社に合体する事をいいます。

2.当事会社の1つが存続して他の消滅する会社を吸収する場合を吸収合併といいます。

3.当事会社の全ての会社が消滅して新しい会社を設立する場合を新設合併といいます。

4.全ての種類の会社間における合併が認められます。

5.吸収合併においては、株式会社・持分会社のいずれもが存続会社となる事ができます。

6.新設合併においても、株式会社・持分会社のいずれもが、新設会社となる事が認められます。

四.吸収分割・新設分割

1.会社分割とは、1つの会社を2つ以上の会社に分ける事をいいます。

2.多角経営化した企業がその事業部門を独立させて経営効率の向上を図ったり、不採算部門・新製品開発部門などを独立させたり、他の会社の同じ部門と合弁企業を作るなどの手段として利用されます。

3.分割はこのように事業の再編に使われますが、事業の売却(買収)や企業の提携の手段として利用される場合もあります。

4.株式会社のほか、合同会社が分割会社となる事ができます。

5.合名会社・合資会社は分割会社となる事はできません。

6.吸収分割・新設分割における承継会社には、すべての種類の会社がなる事ができます。

五.株式交換・株式移転

1.株式交換・株式移転とは、ある株式会社がその株主総会の特別決議の承認等により他の会社の100%子会社となる取引をいいます。

2.その親会社となる会社が既存の会社である場合を「株式交換」といい、新設会社である場合を「株式移転」といいます。

3.2社以上が共同で株式移転する事も可能で、共同株式移転といいます。

4.この制度は、持株会社の設立を容易にするために、平成11年改正で導入された制度ですが、その利用は持株会社設立だけに限られるわけではなく、企業買収の手段などとしても利用することができます。

6.合名会社および合資会社は、株式交換における完全親会社となる会社となる事ができません。

7.持分会社は株式移転における完全親会社となる新設会社になる事ができません。

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Q53.対価柔軟化とは何ですか?

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A53.

一.対価柔軟化

1.対価柔軟化とは、吸収合併等の場合において、消滅会社の株主等に対して、存続会社の株式を交付せず、金銭その他のものを交付する事ができるものとすることをいいます。

2.新会社法においては、吸収合併、吸収分割、株式交換において対価柔軟化を認めています。

3.これに対し、新設合併、新設分割、株式移転については、対価柔軟化は認められていません。

二.対価柔軟化の導入の理由

1.現行法

合併、会社分割、株式分割、株式交換、株式移転に際して、消滅会社の株主、分割会社またはその株主、完全子会社となる会社または組織再編行為により設立される会社の株主に対して交付される財産は、原則として、存続会社、承継会社、完全親会社となる会社または組織再編行為により設立される会社の株式に限定される事を前提として、各種の規律が設けられています。

2.新会社法

(1)しかし、選択と集中を目指した事業の再編の必要性の高まり、買収、事業統合等を含む企業活動の国際化等を背景として、主として経済界から組織再編の対価の柔軟性を求める声が強くなってきました。

(2)具体的には、いわゆる三角合併といわれる、子会社が、他の会社を吸収合併する場合にその親会社の株式を交付する場合や、交付金合併(キャッシュ・アウト・マージャー)といわれる、消滅会社の株主に現金のみを交付する合併、交付金合併を用いた公開会社の非公開会社化あるいは完全子会社化(ゴーイング・プライベート)などの要望があります。

(3)特に、交付金合併については、閉鎖会社を存続会社とする合併において、存続会社の株主にとっては株主構成を変えずに合併が行えるばかりか、解散会社の株主にとっても市場性のない株式よりは現金の交付を受ける方が良いので、実務上メリットが大きいと言われてきました。

(4)このような状況を踏まえ、新会社法においては、吸収合併、吸収分割、および株式交換において、消滅会社の株主等に関して、存続会社の株式を交付せず、金銭その他の財産を交付する事を認める事としています。

三.

(キーワード)三角合併

三角合併とは、存続会社が消滅会社の株主に対して、存続会社自身の株式ではなく、存続会社の親会社の株式を交付する方法をいいます。

つまり、合併対価は親会社株式ということになります。

これにより、国内の会社同士は勿論、クロスボーダーでの買収が可能になるといわれていますが、現時点では税の繰り延べ措置が手当てされていません。

キャッシュ・アウト・マージャー

合併等対価の柔軟化の一形態であり、消滅会社の株主に、合併の対価として、金銭のみを交付する吸収合併をいいます。

これにより、買収会社Aが対象会社Cを100%子会社化したいと望む場合は、まず、買収会社Aは完全子会社Bを新設または設立します。

次に、完全子会社Bによる対象会社Cの株式に対する公開買い付けを実施して対象会社Cの議決権を取得します。

そのうえで、完全子会社Bと対象会社Cとの間で金銭のみを交付する合併を行なえば、対象会社Cの少数株主を排除して対象会社Cを買収会社Aの完全子会社とすることが可能となります。

新会社法の重要ポイント(54)・・・対価柔軟化その2

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Q54.対価柔軟化においては、どのようなものが対価として認められますか?

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A54.

一.現行法

1.現行法では、消滅会社の株主に交付する対価は、存続会社または新設会社の株式でなければならないとされています。

2.ただし、割当の比率を簡単にするために対価の一部を金銭で交付する事は認められています。

二.新会社法

1.新会社法では、吸収合併、吸収分割または株式交換において、消滅会社の株主等に対して交付する対価については、「金銭その他の財産」であれば足りることとされており、それ以外には制限はもうけられていません。

2.吸収合併および株式交換においては、消滅会社の株主等に対して、その有する株式の数に応じて対価を交付しなければなりません。

3.それゆえ、このような組織再編の対価を存続会社等の株式に限定せず、存続会社等の社債、新株予約権、新株予約件付社債、または株式等以外の財産とすることが認められると思われます。

4.これは、従来からも産業再生法において定められていた特定金銭等の交付を恒久的に認めるものと思われますが、産業再生法において認められていたのは「金銭または他の会社の株式(譲渡制限会社の株式は除かれる)」とされていた事からすると、その対象となる範囲を更に広げたものといえます。

5.すなわち、条文上は、金銭や他の株式会社の株式だけでなく、外国会社の株式や、信託受益権等、財産であれば幅広く認められる事となります。

4.ただし、合併契約の内容として株主総会による承認の対象となりますから、もちろん株主が承服できる内容のものでなければなりませんが、客観的にも対価として適正なものでなければならないと解されます。

5.適正な対価といえるためには、流通性、換金性が認められる必要があると思われます。

6.新会社法では、組織再編の対価は金銭その他の財産であればよいものとされており、それ以外の制限がないので、実務ではそれ以外にも、組織再編の対価となる「その他の財産」として様々なものが用いられる事が予想されます。

新会社法の重要ポイント(55)・・・略式組織再編行為

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Q55.略式組織再編行為とは何ですか?

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A55.

略式組織再編行為

1.略式組織再編とは、支配関係のある会社間で、組織再編行為を行なう場合において、株式会社である被支配会社における株主総会の決議を要しないとするものです。

2.現行法のもとでは、組織再編行為については、簡易組織再編の場合を除き、株主総会の特別決議を要するものとされています。

3.しかし、一方の会社が他方の会社をほぼ完全に支配しているような関係にある場合には、支配されている他方の会社における株主総会の開催を要せず、組織再編行為を行なう事ができればすこぶる便宜であるといえます。

4.実際にも、諸外国では略式合併(ショートフォーム・マージャー)として認められており、このような制度の創設は、経済界や米国等から要望が強く寄せられていました。

5.新会社法においては、ほぼ完全な支配関係にある会社間において組織再編行為をする場合には、株式会社である被支配会社において、仮に株主総会を開いたとしても、結論において変わる事がないことから、このような場合には、被支配会社の株主総会の開催を不要とすることにより、迅速かつ簡易な組織再編行為を行なう事を可能にしました。

6.また、吸収合併、吸収分割および株式交換をする場合のほか、事業の全部または重要な一部の譲渡及び事業の全部の譲受等の場合においても、略式再編を認める事としています。

7.なお、この支配関係は、ある株式会社(支配会社)が他の株式会社(被支配会社)の総議決権の9割以上を保有している状態をいい、新会社法は,この支配会社を「特別支配会社」というふうに呼んでいます。

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Q56.略式組織再編行為において,少数株主や種類株主の利益はどのように保護されますか?

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A56.

少数株主および種類株主の保護

1.略式組織再編行為の差止請求

被支配会社の株主は、当該略式行為が法令又は定款に違反し、又は著しく不当な条件で行なわれた事により、不利益を被る恐れがあるときは、当該略式再編行為の差し止めを請求することができます。

2.被支配会社が吸収合併における消滅会社又は株式交換における完全子会社である場合

(1)当該被支配会社が種類株式発行会社であり、かつ
(2)合併等対価の全部又は一部が譲渡制限株式等であるときは

当該譲渡制限株式等の割当を受ける種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要します。

(3)当該被支配会社が種類株式発行会社であり、かつ
(4)合併等対価の全部又は一部が持分等である場合には

当該持分等の割当を受ける種類の株主の全員の同意を要します。

3.被支配会社が吸収合併における存続会社、吸収分割における承継会社または株式交換における完全親会社である場合

(1)当該被支配会社が種類株式発行会社であり、かつ
(2)合併等対価等の全部又は一部が存続会社、承継会社又は完全親会社の譲渡制限株式である場合は、

原則として、当該種類の株式の種類株主を構成員とする修理株主総会の決議を要します。

4.反対株主の株式買取請求

組織再編行為について反対の株主については、公正な価格で自己の有する株式を買い取る事を請求できます。

5.無効の訴え

合併契約書の内容が違法である場合など、組織再編行為が違法に行なわれた場合には、株主は、組織再編行為の無効の訴えを提起することができます。

新会社法の重要ポイント(57)・・・外国会社

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Q57.外国会社は日本ではどのように扱われていますか?

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A57.

一.会社の渉外関係

1.会社に関する私法的な法律関係が渉外的(国際的)な要素を含む場合、いろいろな問題を考える必要があります。

2.第一に、問題となる法律関係にどこの国の法律が適用されるかを決定しなければなりません。

これは、国際私法のルールによって決定されます。

3.第二に、国際私法のルールによって準拠法が決まった場合には、その法律において、問題となる法律関係に具体的にどのような私法ルールが適用されるべきかを検討することになります。

二.日本の会社法における外国会社の取扱い

1.日本の民法は外国法人の認許の制度を設けています。

2.又、日本の会社法は、外国会社について、利害関係人を保護するために様々な規制を設けています。

三.外国会社の規制

1.日本で継続取引をする外国会社

外国会社が日本で取引を継続して使用とするときは

(1)日本における代表者を決めなければなりません。この場合、その日本における代表者のうち一人以上は、日本に住所を有する者でなければなりません。

(2)会社について登記をしなければならず、登記をするまでは日本において取引を継続してすることはできず、これに違反して取引をしたものは、相手方に対し、外国会社と連帯してその取引によって生じた債務を弁済する責任を負います。

(3)外国会社の登記事項

(あ)日本に成立する同種の会社または最も類似する会社の種類での登記事項によります。

(い)会社の設立準拠法

(う)代表者の氏名と住所

(え)株式会社と同種又は類似の会社の場合は貸借対照表上等の公告方法・電磁的公開のウェヴサイトのアドレス等です。

(お)外国会社は日本に営業所を設ける必要はありませんが、仮に設けた場合は登記する必要があります。

2.貸借対照表等の公開

日本の株式会社と同種又は類似の日本で継続取引をする外国会社は、貸借対照表またはこれに類似するものの公告または電磁的方法での公開が要求されます。

3.日本における全ての代表者の退任

日本で継続取引をする外国会社の全ての代表者が退任するような場合は、会社債権者保護手続きをしなければならず、その手続きが終了してから退任の登記をすることで退任の効力が生じます。

4.取引継続の停止・営業所閉鎖命令および日本所在の外国会社財産の清算

(1)裁判所は、法務大臣または利害関係人の請求により、外国会社に対して日本での取引継続の停止・その営業所の封鎖を命じることができます。

(2)その要件は、日本の会社についての解散命令の場合とほぼ同様です。

(3)又、日本の会社債権者保護のため、外国会社の日本所在の財産につき、裁判所の命令により開始する清算手続きの制度が用意されています。

5.擬似外国会社

(1)日本に本店を置き、又は日本で事業を行なうことを主たる目的とする外国会社は、日本において取引を継続して行なうことはできません。

(2)これに違反して取引をした者は、相手方に対し、外国会社と連帯して、その取引によって生じた債務を弁済する責任を負います。

新会社法の重要ポイント(58)・・・擬似外国会社の見直し

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Q58.擬似外国会社については、どのような見直しが行われましたか?

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A58.

一.現行商法482条

日本に本店を設け又は日本において営業を為すを持って主たる目的とする会社は外国において設立するものといえども日本において設立する会社と同一の規定に従うことを要す

本条の趣旨は、日本法の規定を回避するために故意に外国法に従って会社を設立しようとする一種の脱法的行為を防止する事にあります。

二.裁判例東京地判昭和29年6月4日(判タ40−73)

同一の規定」には、会社の設立に関する規定を含むものとし、擬似外国会社は日本の商法が定める会社設立の要件を具備しない限り、その成立が認められず(大審院大正7年12月16日民録9−24−2326)、擬似外国会社が現行商法479条により外国会社としての営業所の設置手続きを行なう事はできない。

したがって、裁判例においてとられている考え方に従うと

(1)擬似外国会社の法人格は認められず、擬似外国会社が法人として取引する事は一切できず、

その結果

(2)擬似外国会社が取引をした場合には、代表者が個人責任を負うことになります。

三.改正の経緯

1.擬似外国会社が、日本法で定める手続きに従い再設立されなければ、その法人格を否認されるという事は、法的安定性の点から問題となります。

2.そこで、新会社法では、現行法と同様に日本の会社法の潜脱を看過することは適当ではないという価値判断は維持しつつ

(1)の点については、擬似外国会社であっても法人格を認める事とし、

(2)の点については、現行法において認められている効果を明確にする規定として、擬似外国会社は日本において取引を継続することができない旨を定めています。

また、これに違反して取引をした者は、相手方に対して、外国会社と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う旨の規定を設けています。

新会社法の重要ポイント(59)・・・訴訟その1

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Q59.新株発行、自己株式の処分、新株予約権発行の無効の訴えの提訴期間についてはどうなりましたか?

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A59.

一.現行法

1.新株発行無効の訴えの提訴期間は、すべての株式会社について6ヶ月とされています。

2.しかしながら、株式譲渡制限会社において、株主総会が開かれないで新株発行が為された場合は、株主総会が開かれるまでは、株主が新株発行の事実を知る機会は乏しいといえます。

3.結局、株主がその事実を知らずに、6ヶ月の提訴期間を徒過してしまう可能性が大いにあります。

二.株主保護の必要性

1.株式譲渡制限会社においては、必ずしも株主の移動が頻繁ではないことのほうが多いのが現実です。

2.新株発行等が無効とされてもそれによる弊害が大きくないと考えられる事から、類型的に株主の保護をより重視すべきであるといえます。

三.新会社法

1.株主総会は年一回開催しなければならないものとされています。

2.そこで、株式譲渡制限会社においては、新株発行無効等の提訴期間を一年に延長して、株主の保護を図る事にしました。

3.さらに、新株発行と類似する自己株式の処分の無効の訴え、新株予約権発行の無効の訴えについても、新株発行と同様の提訴期間の規定を設けています。

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Q60.新株発行、自己株式処分、新株予約権発行の不存在確認の訴えを新設することとしたのは何故ですか?

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一.現行商法

1.明文の規定はありませんが、解釈として、新株発行の訴えに準じて「新株発行不存在確認の訴え」が認められ、この訴えは、新株発行無効の訴えと同様、会社を被告としてのみ提起することができます。

2.そして、出訴期間の制限はありません。

二.新会社法

1.現行法上の解釈において認められている新株発行不存在確認の訴えについて、それが可能であることについて、明文で規定を設けています。

2.これに合わせて、自己株式の処分及び新株予約権の発行についてもその不存在確認の訴えが可能であることを明らかにしています。

3.新株発行の不存在確認の訴えについては、先に述べたように現行商法上明文の規定はありませんが、判例では、このような訴えも認められています。

4.もっとも、その訴えの手続き、効力については、判例上必ずしも明らかになっていません。

5.したがって、その点を明確にする必要があるといえます。

6.また、株式の発行と同様の取り扱いがされる自己株式の処分及び株式の発行に準ずるものといえる新株予約権の発行については、その不存在確認の訴えを認める裁判例はありませんが、否定する理由もないので、これらについても明文で規定されました。

7.新株発行の不存在確認の訴えについては、判例上、提訴期間の制限が無いと考えられていますので、法律上も提訴期間を設けませんでした。

8.又、確認の利益を有するものであれば、この訴えを提起することができることから、提訴権者についても、明文でこれを制限する規定を設けていません。

9.新株発行の不存在確認の訴えの被告については、株式を発行したと主張する株式会社としています。

10.又、新株発行不存在確認訴訟では、担保提供命令、弁論等の必要的併合、判決の対世効、原告が敗訴した場合についての損害賠償責任等に関する規定が適用されます。

11.ただし、新株発行の不存在の確認の訴えは、もともと新株発行が存在しなかったことを確認するものであり、形成訴訟ではないので、将来効の規定は適用されません。

〈参考〉

※ 会社法839条(無効又は取消しの判決の効力)

会社の組織に関する訴えに係る請求を認容する判決が確定した時は、当該判決において無効とされ、または取り消された行為は、将来に向かってその効力を失う。

※ 最判平成9年1月28日(民集51−1−40〈百選73〉)

「商法の明文の規定を欠いてはいるが、新株発行無効の訴えに準じて新株発行不存在確認の訴えを肯定する余地があり、この場合、新株発行無効の訴えに対比して出訴期間、原告適格等の訴訟要件が問題となるが、この訴えは少なくとも、新株発行無効の訴えと同様に、会社を被告としてのみ提起することが許されるものと解すべきである。」

※ 最判平成15年3月27日(民集57−3−312)〈商判2−79〉

判示事項:

1 新株発行不存在確認の訴えの認められる場合

2 新株発行不存在確認の訴えの出訴期間

要旨:

1 新株発行の実体がないのにその外観が存する場合には,新株発行不存在確認の訴えにより,対世効のある判決をもってその不存在の確定を求めることができる。

2 新株発行不存在確認の訴えに出訴期間の制限はない。

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