婚姻(10)・・・夫婦間の契約

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Q10.夫婦間の契約はいつでも取り消せる?

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A10.

夫婦間の契約取消権

1.民法第754条

「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消す事ができる。ただし、第三者の権利を害する事ができない。」

2.立法趣旨

・この条文の沿革は、フランス民法の夫婦間売買の禁止と贈与取消権を模倣しながら、適用範囲を契約全般に拡張したもの。

(ア)妻は夫に威圧されて十分な意思を述べる事ができない。
(イ)夫は妻の愛におぼれて意思の自由を奪われる。
(ウ)夫婦間の問題を裁判所の力を借りて解決するのは夫婦の円満を害する。

・明治時代の立法者は上記のように考えていたようですが、現在では、いずれの理由もその根拠が疑問視されています。

・立法欄としては削除論が優勢ですが、判例も個別具体的に対応しています。

3.〈事例1〉

夫Aは、妻Bとの婚姻が破綻してから、離婚を前提にBに不動産を贈与した。

しかし、離婚届の提出前に不動産の贈与契約を取り消す旨の意思表示を行った。

取消しは有効だろうか。

〈判例〉

最判昭和33年3月6日(民集12−3−414)

「夫婦関係が、破綻に瀕しているような場合になされた夫婦間の贈与はこれを取り消しえないと解すべき」

・つまり、契約取消権の適用範囲を、夫婦関係の破綻の有無という観点から制限しました。

4.〈事例2〉

夫Aは、結婚後10年余りを経て妻Bとの間の夫婦仲が悪化したので、なんとか円満な夫婦関係を回復しようとした。

そこで、Bの老後の生活の安定を図る趣旨で不動産を贈与した。

しかし、その後も夫婦間の不和は続き、ついに、双方から離婚訴訟が提起されるに至った。

そして、Bから不動産の移転登記を求める訴訟が提起されたので、Aは贈与契約の取消しの意思表示を行った。

この取消しは有効だろうか。

最判昭和42年2月2日(民集21−1−88)

「民法754条にいう『婚姻中』とは、単に形式的に婚姻が継続していることではなく、形式的にも、実質的にもそれが継続している事をいうものと解すべきである」

として、婚姻が実質的に破綻している場合は、最早、夫婦間の契約を取り消す事は許されない、と判示した。

これにより、契約締結の時期を問わず、婚姻が破綻してからの取消しができない、という事が明らかにされました。

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