養子(11)・・・特別養子その4・・・効果

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q11.特別養子にするとどのような効果がありますか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
A11.

一.親族関係の断絶

1.特別養子の要件を満たした縁組が為されると、養子縁組一般の効果とは別に、養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、婚姻障害を除いて終了します。

2.ただし、連れ子養子の場合は、この限りではありません。

二.戸籍の記載

制度設計上考慮すべき要素

1.養子である事を知られたくないという養親の心情

2.近親婚を避けるため何らかの形で実方との関係を判明するようにしておく必要性

3.養子が将来、自分の出自を知るという権利も尊重すべき

三.戸籍上の工夫

1.実親の戸籍と養親の戸籍の間に、養親の氏を称する特別養子の単身戸籍を新たに編成し、実親の戸籍から除籍します。

2.そして、単身戸籍から直ちに養親の戸籍に入籍します。

3.そのうえで、単身戸籍は通常の戸籍簿からはずされ、除籍簿に綴られ、謄本請求も制限されます。

4.こうすることで、実親の戸籍からも養親の戸籍からも、特別養子縁組を直接に検索する事はできなくなります。

5.特別養子自身は、除籍簿に綴られた単身戸籍を辿る事が認められています。

四.離縁

1.特別養子は、養親からの離縁はできません。

2.養子からの離縁も、養子が成長して監護の必要性が無くなった時点では、もはやできません。

3.離縁が認められるのは、以下の2要件がともに満たされ、養子の利益の為に特に必要がある場合に限られます。

(1)養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること

(2)実父母が、相当の監護をすることができること

4.離縁の請求は、養子、実父母または検察官からすることができ、家庭裁判所の審判で離縁がなされます。

五.離縁の効果

1.離縁が認められると、離縁の日から養子と実父母およびその血族との間に、特別養子縁組によって終了した親族関係が復活します。

2.普通養子の離縁において認められるのと同様の効果も生じます。

(1)養親の血族との法定親族関係の終了

(2)離縁後の婚姻障害

(3)縁組前の氏に服すること

(4)所定の要件を満たした場合に縁氏続称がみとめられること

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このQ&Aには、代表的な質問しか載せてありません。

個々のケースによって微妙に解決法が異なる場合がありますので、詳しいことは遠慮なくお問合せ下さい。

24時間年中無休で対応いたします。

お問い合わせは、下記の[何でも相談・いつでもお問合せ]をクリックして下さい。




 soon なんでも相談・いつでもお問合せ

養子(10)・・・特別養子その3・・・連れ子

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q10.連れ子を特別養子にすることができますか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
A10.

一.事例

夫の春夫と妻の夏子が離婚した。

夏子は子ども秋夫を引き取って秋夫の親権者となった。

その後、夏子は秋夫を連れて冬彦と再婚した。

この場合、冬彦は秋夫を特別養子とすることができるだろうか。

二.考え方

1.特別養子とするためには、父母による「監護が著しく困難または不適当」である、という要件を満たさなくてはなりません。

2.しかし、通常はこの要件をこのような事例では満たしません。

3.したがって、特別養子を必要とする「その他特別の事情」が無い限り、特別養子縁組を成立させることは困難です。

4.その理由は、いったん特別養子縁組をすると、原則として離縁ができなくなるので、安易に連れ子との特別養子縁組をしたあとで夏子と冬彦が離婚すると問題が複雑になるからです。

5.つまり、意識としては他人の子なのに法的には実親のような扶養義務を負い続けなければならないということになってしまうからです。

6.統計的にみても、連れ子を伴った再婚は、そうでない場合と比べて壊れやすいという認識もあります。

7.裁判例も連れ子の特別養子の成立に慎重です。

8.ただ、再婚相手との親子関係を発生させるには普通養子で目的を達成できますから、実務の傾向にはそれなりの理由がありそうです。

【参考】

民法817条の7

特別養子縁組は、父母による養子となるものの監護が著しく困難または不適当である事その他特別の事情がある場合において、子の利益の為特に必要があると認める時に、これを成立させるものとする。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このQ&Aには、代表的な質問しか載せてありません。

個々のケースによって微妙に解決法が異なる場合がありますので、詳しいことは遠慮なくお問合せ下さい。

24時間年中無休で対応いたします。

お問い合わせは、下記の[何でも相談・いつでもお問合せ]をクリックして下さい。



 soon なんでも相談・いつでもお問合せ

養子(9)・・・特別養子その2

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q9.特別養子縁組の要件にはどのようなものがありますか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
A9.

特別養子の要件

1.特別養子は契約ではなく、養親となるものの請求により家庭裁判所の審判によって成立します。

2.夫婦共同縁組

・養親は配偶者のある者で、かつ夫婦がともに養親とならなければなりません。

・ただし、夫婦の一方が他方の嫡出子を特別養子とする、いわゆる連れ子養子は単独養子となります。

3.養親の年齢

・養親は25歳以上でなければなりません。

・ただし、養親の一方だけが25歳未満の場合は、そのものが20歳以上であれば縁組が認められます。

4.養子の年齢

・養子は家庭裁判所に対する縁組の請求の時に6歳未満でなければなりません。

・ただし、6歳に達する前から引き続き養親となるものに監護されてきた時は、6歳を超えていても8歳未満であれば縁組が認めらます。

5.父母の同意

・特別養子縁組によって、実方の父母との法的親子関係が断絶します。
・したがって、この養子縁組によって親子関係が断絶する父母の同意が必要とされます。

・同意を要する父母は親子関係が断絶する父母であって、親権・監護権の有無を問いません。

・実の親が子を棄児にして、誰が親かわからない場合には同意は不要です。

・又、親が子を虐待しており、特別養子によって子を奪われる事を拒んでいる場合にも同意が不要です。

6.必要性等

・特別養子は、実方の父母との親子関係を終了させる事が、子の利益に合致する場合のみ認められます。

7.試験養育期間

・養親としての適格性をみるために、6ヶ月間の試験養育期間が設けられています。

・この期間は、養親となるものが特別養子縁組を請求した時から起算されます。

・しかし、児童福祉法に基づいて里親としての養育が為されている場合など、請求前から監護が為されていて、監護状況が明らかであるときは、請求前の期間も参入されます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このQ&Aには、代表的な質問しか載せてありません。

個々のケースによって微妙に解決法が異なる場合がありますので、詳しいことは遠慮なくお問合せ下さい。

24時間年中無休で対応いたします。

お問い合わせは、下記の[何でも相談・いつでもお問合せ]をクリックして下さい。




 soon なんでも相談・いつでもお問合せ

養子(8)・・・特別養子

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q8.特別養子とは何ですか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
A8.

一.制度趣旨

1.日本の養子制度は、欧米における養子制度と異なり、子の福祉という点に重点が置かれてきませんでした。

2.また、養親は子や周囲の者に、子が養子である事を知られたくない、という感情を持つ事が少なくありません。

3.しかしながら、現行の養子制度はこのような感情に応える事ができませんでした。

4.そこで、日本では古くから藁(わら)の上からの養子と称して、他人の子を自分の実子として育てる事が行なわれきました。

5.しかし、虚偽の出生届を出し、戸籍に虚偽の記載をするという問題点があり、判例もこのような行為に養子としての効力を認めてきませんでした。

6.そこで、子の福祉を重視する観点に立ち、かつ養親の感情にも配慮して、この問題を立法的に解決する事になりました。

7.こうして、特別養子制度は昭和62年に導入され、翌年から施行されました。

二.制度の理念

1.育ててくれる親の無い子に対する福祉という理念

2.実子として育てたいという養親の心情を満たすという目的

三.養親の心情

1.子が養子である事が子自身や周囲に知られたくない

2.実親との親子関係が切れることが望ましい

3.そこで、実親との親族関係は、特別養子縁組によって終了する、というふうに定めました。

四.子の福祉

1.不遇な子に家庭を与えるという理念から、特別養子においては養親は夫婦が揃っている事を要件としました。

2.実の親子と等しい家庭を作るという理念からは、親と子が不自然な年齢差ではおかしいので、特別養子縁組では養親・養子双方に年齢制限を設けました。

3.特別養子については、家庭裁判所は積極的に後見的役割を果たす事になりました。

4.実の親子と等しい扱いをするという観点から、離縁は原則として認めず、特に養親からの離縁は禁じ、養子からの離縁にも強い制限を課しました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このQ&Aには、代表的な質問しか載せてありません。

個々のケースによって微妙に解決法が異なる場合がありますので、詳しいことは遠慮なくお問合せ下さい。

24時間年中無休で対応いたします。

お問い合わせは、下記の[何でも相談・いつでもお問合せ]をクリックして下さい。



  soon なんでも相談・いつでもお問合せ

養子(7)・・・離縁

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q7.離縁にはどのようなものが有りますか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
A7.

一.離婚との対比

1.離縁に関する法制度は、離婚とほぼパラレルな仕組みになっています。

2.離縁には、協議離縁裁判離縁があります。

3.又、調停によって離縁が成立する調停離縁と、調停に変わる審判によって離縁が認められる審判離縁があります。

二.裁判離縁の原因

1.悪意の遺棄

2.3年以上の生死不明

3.その他縁組を継続しがたい重大な事由

です。

4.離婚との違いは、不貞行為、強度の精神病を理由とする離縁がないことです。

三.養子に特有な規定

1.代諾離縁

(1)養子が15歳未満の場合には、協議離縁をするには、離縁後に子の法定代理人となる者と養親との間で協議が為されます。(代諾離縁

(2)もし、法定代理人となるものがいない場合は、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求により、離縁後に後見人となる者を選任します。

2.未成年養子縁組の離縁

(1)養親が夫婦である場合に未成年者と離縁するには、夫婦がともにしなければなりません。

(2)ただし、夫婦の一方がその意思を表示できない時はこの限りではありません。

3.死後離縁

縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁しようとする時は、家庭裁判所の許可を得てすることができます。

4.離縁の際の復氏

(1)養子は離縁によって縁組前の氏に復します。

(2)ただし、養親夫婦が夫婦共同縁組をし、その一方のみと離縁をした時、氏は変わりません。

(3)縁組から7年を経過した後に離縁により復氏した者は、離縁の日から3か月以内に届け出る事により、離縁まで称していた氏を称することができます。(縁氏続称

5.離縁の効果

離縁により、法定嫡出子関係は終了し、養子と養親との法定血族関係も終了します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このQ&Aには、代表的な質問しか載せてありません。

個々のケースによって微妙に解決法が異なる場合がありますので、詳しいことは遠慮なくお問合せ下さい。

24時間年中無休で対応いたします。

お問い合わせは、下記の [何でも相談・いつでもお問合せ〕 をクリックして下さい。



  soon なんでも相談・いつでもお問合せ

養子(6)・・・夫婦共同縁組・・・その2

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q6.夫婦共同縁組で、養親の一方に縁組の意思がない場合はどうなりますか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
A6.

一.事例

甲男と乙女は事実上の離婚状態にある夫婦である。

甲男は丁女と内縁関係にあるが、子ができなかった為、A夫婦の子丙(5歳)を養子としてもらい受けることにした。

甲男は家庭裁判所の許可審判を受けるため、乙女に無断で、甲乙を養親とする縁組届を行い、これが受理された。

しかし、乙女には丙を養子とする意思は全くなかった。

約10年後に甲が死亡し、その遺産をめぐって乙と丁丙との間に紛争が生じた。

乙は丙を相手として、養子縁組の無効確認を求める訴訟を提起した。

認められるだろうか。

二.最判昭和48年4月12日(民集27-3-500)

判示事項:

1、養子縁組の当事者である夫婦の一方に縁組の意思がない場合における縁組の効カ

2、養子縁組の当事者である夫婦の一方に縁組の意思がない場合に他方の配偶者について縁組が有効とされた事例

要旨:

1、夫婦が共同して養子縁組をするものとして届出がされたところ、その一方に縁組をする意思がなかつた場合には、原則として、縁組の意思のある他方の配偶者についても縁組は無効であるが、その他方と縁組の相手方との間に単独でも親子関係を成立させることが民法七九五条本文の趣旨にもとるものではないと認められる特段の事情がある場合には、縁組の意思を欠く当事者の縁組のみを無効とし、縁組の意思を有する他方の配偶者と相手方との間の縁組は有効に成立したものと認めることを妨げない。

2、甲男乙女夫婦を養親、幼児である丙を養子として届出のされた養子縁組につき、乙に縁組をする意思がなかつた場合であっても、右届出の当時、甲と乙とが別居しその婚姻共同生活の実体は少なくとも一〇年間は失われていて事実上の離婚状態が形成されていたものであり、甲および丙の親権者らは、乙とはかかわりなく甲丙間に縁組をする意思を有し、縁組後は、丙は、甲およびその事実上の妻丁に養育されて親子として生活をともにしており、甲丙間に親子関係が成立することは乙の意思にも反するものではなかつたなど判示の事実関係のもとにおいては、甲丙間においてのみ縁組を有効とすることを妨げない特段の事情が存在するものと認めるのが相当である。

三.考えかた

1.「未成年養子については共同縁組でなければならない」という要請は、行為規範の問題です。

したがって、いったん、一方の配偶者の縁組意思を欠く共同縁組が為されて養子の養育が既に行なわれてしまった場合には、評価規範の問題として、事実上の養子の地位を保護する解決が要請されると考えられています。

2.参考

民法795条本文

配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、配偶者とともにしなければならない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このQ&Aには、代表的な質問しか載せてありません。

個々のケースによって微妙に解決法が異なる場合がありますので、詳しいことは遠慮なくお問合せ下さい。

24時間年中無休で対応いたします。

お問い合わせは、下記の[何でも相談・いつでもお問合せ]をクリックして下さい。



  soon なんでも相談・いつでもお問合せ

養子(5)・・・夫婦共同縁組

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q5.夫婦共同縁組とはどういう事をいうのですか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

A5.

一.夫婦共同縁組

配偶者のある者が養子縁組をする場合については、昭和62年に改正が行われました。

1.旧795条

配偶者のある者は、その配偶者とともにしなければ、縁組をすることができない。但し、夫婦の一方が他の一方の子を養子とする場合は、この限りではない。

・養子は夫婦単位で養親の「家」に入るし、養親の方も「家」を構成する夫婦がひとつの単位で捉えられていました。

2.旧796条

前条の場合において、夫婦の一方がその意思を表示することができない時は、他の一方は、双方の名義で縁組をすることができる。

3.現795条

配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。

ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。

・共同型とは、夫婦共同縁組を要求する類型であり、旧規定は全ての場合にこれを原則としていましたが、改正規定は、夫婦が未成年者を養子とする場合に限りました。

・旧規定と比べると、「嫡出である子」とした点が変わっています。もし非嫡出子に対しても共同縁組を要しないとすると、子は養子縁組をしなかった親との関係では依然として非嫡出子となり、子どもの利益から見て好ましくない、との判断からです。

4.現796条

配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。

但し、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りではない。

・(1)養親が夫婦で成年を養子とするとき
(2)配偶者の未成年嫡出子を養子とするとき
(3)養子が夫婦である時

のいずれも単独で養子縁組をすることができますが、配偶者の同意を得ることが要求されています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このQ&Aには、代表的な質問しか載せてありません。

個々のケースによって微妙に解決法が異なる場合がありますので、詳しいことは遠慮なくお問合せ下さい。

24時間年中無休で対応いたします。

お問い合わせは、下記の[何でも相談・いつでもお問合せ]をクリックして下さい。



 soon なんでも相談・いつでもお問合せ

養子(4)・・・代諾養子縁組

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q4.代諾養子縁組とは何ですか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

A4.

一.代諾養子縁組

1.民法797条1項

養子となるものが15歳未満である時は、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。

・このように幼少の未成年者に代わって、法定代理人が縁組の承諾をすることを代諾養子縁組といいます。

2.無効な代諾養子縁組

最高裁は、無効な代諾養子縁組について、満15歳に達した本人が明示若しくは黙示に追認することができることを認めています。

3.民法792条2項

法定代理人が前項の承諾をするには、養子となるものの父母でその監護をすべきものが他にあるときは、その同意を得なければならない。

・たとえば、離婚の際に、親権者とは別に監護者を定めた場合、縁組の承諾をすることができるのは親権者のみですが、これを改めて、父母であって監護者である者の同意を得る事を必要としました。
というのは、養子縁組がなされると養親が親権者となり、監護者は監護権を失いますので、その意見を聞くことが必要であるとの判断がなされたためです。

二.虚偽の嫡出子出生届

1.たとえば、AB間で生まれた子を、CD間の実子として届けられる事があります。

このような届出が為される理由は、大きく分けると2つあります。

(1)未婚の女性の生んだ子、または不義密通の子を産んだが、その事実を隠したいという場合。

(2)実質は養子縁組であるが、戸籍上は実親子の外観を作り、子に養子である事を知らせたくない、という場合。

2.実際、古くから日本では、他人の子を実子として育てるという事が行なわれており、藁(ワラ)の上からの養子と呼ばれています。

3.最判昭和50年4月8日(民集29-4-401【百選32】)

判示事項:
  虚偽の嫡出子出生届と養子縁組の成否

要旨: 
 養子とする意図で他人の子を嫡出子として出生届をしても、右出生届をもつて養子縁組届とみなし、有効に養子縁組が成立したものとすることはできない。

4.考え方

1.学説には、判例に反対する見解も多くあります。

その理由は、たとえ、嫡出子出生届としては無効だとしても、親子関係を設定するという意思があり、それにふさわしい生活実態がある以上、無効行為の転換の一例として、養子縁組としての効力を認めるべきだという点にあります。

2.しかし、最高裁は養子縁組の要式行為性を強調して無効行為の転換を否定しています。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このQ&Aには、代表的な質問しか載せてありません。

個々のケースによって微妙に解決法が異なる場合がありますので、詳しいことは遠慮なくお問合せ下さい。

24時間年中無休で対応いたします。

お問い合わせは、下記の[何でも相談・いつでもお問合せ]をクリックして下さい。



 soon なんでも相談・いつでもお問合せ

養子(3)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q3.養子縁組の成立には縁組意思の合致が必要でしょうか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

A3.

一.事例

春子は、夏夫の姪である。

結婚に失敗して子どもを連れて夏夫を頼り、夏夫のもとで暮らすようになった。

それ以来、長年夏夫の家業である建築請負の仕事の事務を手伝い、又、家事にも従事した。

そして、夏夫の内妻が病気になってからは、その死に至るまで看病をした。

その後、病に倒れた夏夫は、長年世話になった謝意と自己の死後における供養を託したいという気持ちから、春子に自己の財産を与える趣旨で、春子と養子縁組をした。

ところが、夏夫の死後、夏夫の息子で家を継がせたい夏夫の期待を裏切ってきた秋夫が、縁組無効の確認を求めた。

その根拠は、本件養子縁組は財産分与の目的でなされたもので、縁組意思がないこと、また、かつて春子と夏夫の間には情交関係が有り、そのような養子縁組は公序良俗に反する、という点にあった。

秋夫の主張は認められるであろうか。

二.最判昭和46年10月22日(民集25−7−985)

要旨:  

養子縁組の当事者である夏夫と春子との間に、たまたま過去に情交関係があつたが、事実上の夫婦然たる生活関係が形成されるには至らなかつた場合において、春子は、夏夫の姪で、永年夏夫方に同居してその家事や家業を手伝い、家計をもとりしきつていた者であり、夏夫は、すでに高令に達し、病を得て家業もやめたのち、春子の世話になつたことへの謝意をもこめて、春子を養子とすることにより、自己の財産を相続させあわせて死後の供養を託する意思をもつて、縁組の届出に及んだものであるなど判示の事実関係があるときは、夏夫と春子間に縁組を有効に成立させるに足りる縁組の意思が存在したものということができる。

三.考え方

例えば、不倫関係の持続の意思を持ち、これを隠蔽するために養子縁組をした場合などは、場合によっては、民法90条(公序良俗)、または、民法736条(養親子関係者間の婚姻禁止)に触れて、無効となる場合もあります。

本件の場合は、最高裁は「過去の一時的な情交関係の存在は、いまだもって、あるべき縁組の意思を欠くものとして、縁組の有効な成立を妨げるには至らない」としました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このQ&Aには、代表的な質問しか載せてありません。

個々のケースによって微妙に解決法が異なる場合がありますので、詳しいことは遠慮なくお問合せ下さい。

24時間年中無休で対応いたします。

お問い合わせは、下記の[何でも相談・いつでもお問合せ]をクリックして下さい。



soon なんでも相談・いつでもお問合せ

養子(2)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q2.ほかに養子にはどのような形態がありますか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

A2.

一.菊田医師事件

1.事件の経緯

菊田医師は、自分の経営する産院を訪れる堕胎希望の女性に対し、生命がいかに大切なものであるかを説明し、堕胎を思いとどまらせる活動をしていた。

しかし、堕胎を思いとどまっても、生まれた子を母親が育てる事は、事情があってできない。

そこで、誰か育ててくれる親を探す必要があるが、養子はそのための制度でもある。

しかし、「私生児」であることが周囲に知られると、その子はいろいろな局面で差別の目に晒されて生きていかなければならなくなる。

また、子を貰い受けて育てたいという親としては、実の子として育てたいという希望が強い。

そこで、菊田医師は、子を貰いたいという人に生まれた子を斡旋し、その親の嫡出子として出生届をするという事を行なっていた。

これは、虚偽の出生届であり、その届出には医師の出生証明書が添付されるが、菊田医師の行為は虚偽の証明書を作成していた犯罪行為にあたる。

2.事件の結末

愛知県産婦人科医会が告発した。

検察庁は、公判手続きを経ない略式手続きを選択し、医師法違反、公正証書原本不実記載罪、同行使として、略式起訴し、簡易裁判所は略式命令として罰金20万円を科した。

菊田医師は、当初争う姿勢であったが、同医師によって斡旋された約220名の子どもと、生みの親の秘密と、貰い親の家庭の平和を守るため、略式命令を受け入れ、刑事事件としては落着した。

3.虚偽の出生届

このような、虚偽の出生届を出した後で、親子関係不存在の確認を求める調停や訴訟の形で紛争になるものが年間2000件くらいに上ると言われています。

そこで、特別養子制度というものが立法されました。

二.そのほかの様々な養子

1.自分の孫を養子にする

このような養子が行なわれるひとつの目的は、相続人を増やすことによる相続税の節約にあったため、節税養子とか、相続税養子とか呼ばれることがあります。

すなわち、相続税算定の際、昭和63年までは、基礎控除2000万円に加えて、法定相続人1人について400万円が遺産総額から控除されることになっていました。

そこで、養子を3人作れば、それだけで1200万円の控除が増えるわけです。

バブル経済の地価高騰の際、この方法が関心を集め、一度に20数人の養子を作るという極端な例も現れ始めました。

そこで、昭和63年の税制改革の際、基礎控除額を4000万円(現在は5000万円)+800万円(現在は1,000万円)×相続人数としました。

そして、カウントされる養子の人数を、実子がいれば1人、実子がいなくても2人までに限定しました。

孫との養子縁組は、親から子、子から孫と2度にわたって課税される相続税を1度の課税にしてしまう効果もあります。

2.面会養子

刑務所で、受刑者と面会するには一定の親族関係が必要なので、その資格を作るため、暴力団の親分が子分と面会するために、養子にする、といった方法をとることがあります。

3.このように、どのような目的にも使うことができ、実際に多様な目的に使われているのが日本の養子制度の実体です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このQ&Aには、代表的な質問しか載せてありません。

個々のケースによって微妙に解決法が異なる場合がありますので、詳しいことは遠慮なくお問合せ下さい。

24時間年中無休で対応いたします。

お問い合わせは、下記の[何でも相談・いつでもお問合せ]をクリックして下さい。



  soon なんでも相談・いつでもお問合せ

養子(1)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q1.養子にはどのような歴史が有るのですか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
A1.

一.欧米の養子制度の歴史

1.養子の特色

血の繋がりではなく、意思によって親子関係が発生するという点にあります。

2.古代ローマ

「家のための養子」、すなわち、祭祀承継・家の承継のために養子が広く行なわれていました。

3.中世

キリスト教の影響で祖先崇拝の伝統もなくなって、自然的血縁が尊重されるようになりました。それとともに、養子は急速に実用性を失い、ほとんど社会的機能を喪失していきました。

4.子のための養子

1.アメリカ

19世紀中ごろから、貧困家庭の大量移民という特殊事情もあって、恵まれない幼少の児童を自分の子のように扱ってくれる家庭が必要とされるようになりました。

1851年にマサチューセッツ州で、恵まれない子のための福祉のための養子制度が導入されました。

その特色は養子に養親の嫡出子たる地位を保証するとともに、養子縁組の契約性を否定して、裁判所が縁組の適否を判断する点にありました。

二.日本の養子法

1.江戸時代

日本では、養子が普通に行なわれ、特に江戸時代には盛んに行なわれていました。


2.明治民法下

(1)家の承継(家督相続)のため
(2)分家をさせるため
(3)婚姻につき女子の家格を引き上げるため
(4)家族労働力を補充するため
(5)芸妓にするため

など、極めて多様な目的のため養子が行なわれました。

3.戦後の民法改正

未成年養子につき家庭裁判所の許可を要する規定が入り、子のための養子にも配慮を示しました。

しかし、婚外子や孤児救済のための養子制度という点から見れば、不徹底なものでした。

4.日本の養子制度の特色

(1)子の福祉の為に養子制度が使われる事が少ない。

(2)未成年養子として家庭裁判所の許可を受けるものは少ない。

(3)未成年といっても、10歳以上の子の養子が比較的多く、欧米でゼロ歳児や3歳未満の養子が多いのと対照的。

(4)養子の多くは離婚後に再婚する人に連れ子がいて、その連れ子と再婚の相手が養子縁組をする、というもので、未成年養子のうち75%を占める。

(5)養子の親族でない子を養子にする他児養子が欧米では多いが、日本では少なく、婚外子を養子にする率も外国に比べて低い。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


このQ&Aには、代表的な質問しか載せてありません。

個々のケースによって微妙に解決法が異なる場合がありますので、詳しいことは遠慮なくお問合せ下さい。

24時間年中無休で対応いたします。

お問い合わせは、下記の[何でも相談・いつでもお問合せ]をクリックして下さい。




soon なんでも相談・いつでもお問合わせ

ハートビル法について

大手ホテルチェーン「東横イン」で、不正改造問題が発覚した。

耐震偽装問題が未だ解決していないのに、新たに不正改造問題である。

この二つの事件は、自社の利益をあまりにも優先するあまり、弱者を犠牲にしているという点に共通点を見出す事ができる。

この事件は、完全なる確信犯であり、社長の記者会見は、何をかいわんやである。

その手口は、障害者用の客室や駐車場等の設備を、ホテルが完成し建築確認後、客室やロビーや会議室等に変更してしまうという悪質さである。

2月1日現在までに判明しただけでも、東横インの全国121のホテルのうち62件にものぼる。

社長の弁明がふるっている。

スピード制限60キロの道路を65,6キロで走ったようなものだと。

ハートビル法など歯牙にもかけない態度に、全国の障害者団体から抗議の声が上がっている。

ところで、この事件で問題となっているハートビル法について少し述べてみたい。

ハートビル法とは、高齢者や身体障害者等が円滑に利用できる建築の促進を図る事を目的として、平成6年に制定された「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」の略称である。

その法律の骨子は、デパート、スーパーマーケット、ホテル等の不特定多数の者が利用する建築物(特定建築物)は、建物の「出入り口」「廊下」「階段」「トイレ」等について、高齢者や障害者等が円滑に利用できるような措置を講じるよう努めなければならない、とするものである。

そして、平成15年4月にハートビル法が改正施行され、東京都でも平成15年12月にハートビル条例(高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例)を制定した。

今回のハートビル法の改正は、対象建築物の拡大、義務付けの創設、既存建築物対策の充実を目指したものである。

ハートビル法で定めた基準は全国一律であり、地方の実情を考慮したものでないため、地方公共団体の条例による地域の実情を考慮した取り組みがなされつつある。

そもそも、ハートビル法は、高齢者、障害者を含め、全ての国民が一生を通じて豊かな生活を送ることができる社会を構築していくことは、基本的人権の尊重であると捉え、共生するというノーマライゼーションの理念に基づいている。

このような、状況を背景に、平成5年に「障害者基本法」、平成6年に「ハートビル法」、平成7年に「高齢社会対策基本法」、平成12年に「交通バリアフリー法」が制定されるなど、国においてもバリアフリーについて各種の対策が講じられてきた。

今回の事件は、そのような精神を踏みにじり、まさに強者の論理で目先の利益を優先した結果である。

21世紀が始まったばかりである。

21世紀は、弱肉強食の論理から共生への道を目指す世紀になる、と以前何かの本で読んだ記憶がある。

一人一人がほんの一瞬でも、社会的弱者の真情に思いを致す時間を持ったなら、ほんわかしたニュースが増えるに違いない。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 櫻井法務行政書士オフィスでは、お忙しい建設業者の皆様に代わって、建設業許可申請(大臣・知事・新規・更新・変更)、経営事項審査申請決算変更届等の業務を、代行または代理申請しております。

 お困りの建設業者様は、是非、お問合せ下さい。

・電話・FAX・メール・お問合せフォーム等から承っております。

soon 何でも相談