親子関係(34)・・・児童虐待

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Q34.児童虐待の現状はどうなっていますか?

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A34.

一.児童虐待とは

1.児童虐待とは,保護者がその監護する児童に対して、

(1)身体的虐待

(2)性的虐待

(3)監護の著しい懈怠(ネグレクト)

(4)心理的虐待

を、行なう事をいいます。

2.児童虐待は,

(1)自ら助けを求めて声をあげる事ができない児童が被害者である事

(2)児童の最大の庇護者であるはずの親により家庭という密室で行なわれる事

(3)親には、「しつけ」であるという、強力な言い訳があること

等に阻まれて、悲惨な結果が発生するまでは実体はなかなか明らかになっていません。

3.このように児童虐待が増加した原因は、これまでは、いわゆるご近所づきあいで、地域コミュニティに組み込まれていた家族が、核家族として孤立化し、育児などについて助言を受けたり助け合ったりする人的繋がりが切断されてしまった事が大きいといえます。

二.法的対応

1.児童虐待が発見された時は、児童福祉法によって、発見者は福祉事務所や児童相談所に通告し、さらに場合によっては、児童相談所長は知事に通告して、必要な措置をとります。

2.保護者への訓戒、指導のほか、場合によっては保護者から引き離して里親・保護受託者に委託して、乳児院・養護施設等に入所させることもあります。

3.しかし、保護者が反省の意を示して子どもの取り戻しを要求してくると、これを拒む事ができないという制約があります。

4.その結果、再度の虐待を生み,児童が死に至るという事件が何件もあります。

5.以上に加え、親権そのものを奪ってしまうのが親権喪失制度です。その請求は児童相談所長もできます。

三.親権喪失の事例

1.事例

Aは妻Bと裁判離婚し、Bとの間にできた三児(長男C、長女D、次女F)の親権者として指定された。

長女Dは中学二年の時、Aから性交を強要され、虐待されて、児童福祉法による措置入院となったが、退所した後母親Bとともに行方不明となった。

Aはその後も生業につかず、生活保護を受けつつ、飲酒にふけり、長男Cが就職して家を出たあとは、中学一年生になった次女Fに対して暴力により性交を強要した。

そこで、Fは家出し、児童相談所に保護された。

この事情を聞いて、児童相談所長Xは、親権喪失の請求をおこなった。

2.東京家裁八王子支部昭和54年5月16日審判(家月32-1-166【百選44】)

「未成年者の親権者であるAはその親権を濫用し、未成年者を虐待し、その福祉を著しく損なっているものといわなければならないので、未成年者をAの親権に服させることは不相当である。

よって、Aの親権を喪失させ、Y知事に対し児童福祉法28条に基づく適切な措置をとらせるため主文のとおり審判する。」

・本件については、審判前の仮の処分として、審判確定にいたるまで、Fに対するAの親権行使が停止され、X児童相談所長がFの親権代行者として選任されました。

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親子関係(33)・・・親権の終了

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Q33.親権はどのような場合に終了しますか?

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A33.

一.親権の終了原因

1.未成年者が成年に達する事

2.子の死亡、婚姻といった子の事由

3.親権者側の事由

(1)親権者自身の死亡・離婚

(2)事実上・法律上の行使不能

(3)親権喪失

(4)親権辞任

二.親権喪失

1.民法834条

父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡である時は、家庭裁判所は、子の親族または検察官の請求によって、その親権の喪失を宣告する事ができる。

2.親権の濫用

必要以上の折檻や、子の財産を自己の為に処分することなど。

3.民法835条

親権を行なう父又は母が、管理が失当であったことによってその子の財産を危うくした時は、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その管理権の喪失を宣告する事ができる。

・このように、親権のうち、財産管理権だけを喪失させる事もできます。(管理権喪失)

三.親権辞任

1.837条1項

親権を行なう父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞する事ができる。

・たとえば、非嫡出子の母が子を連れずに再婚するような場合が考えられます。

2.837条2項

前項の事由が消滅した時は、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を回復することができる。


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親子関係(32)・・・親権の要件その3

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Q32.非嫡出子や養子の親権者は誰ですか?

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A32.

一.非嫡出子の親権者

1.非嫡出子は、母親が親権者となります。

2.しかし、父が認知し、父母の協議で父を親権者と定めれば、父が親権者となります。

3.非嫡出子の場合、共同親権は有りえず、常に単独親権です。

二.親権者の能力

1.親権者は行為能力者でなければなりません。

2.その理由は、親権は身上監護権のみならず、財産管理権をも含むからです。

3.非嫡出子の母親が未成年のときは、その親権者または後見人が親権を行ないます。

三.養子の親権者

1.子どもが養子である時は、養親の親権に服します。

2.養父母の双方が死亡したときは、実親の親権が回復するわけでなく、後見が開始します。

3.養子の離縁は、養子が未成年で養親が夫婦の時は、養父母双方と離縁しなければなりません。

4.この場合は、実父母の親権が回復します。

5.養親が離婚したり、または、養親の一方が死亡し、単独親権者となった養父または養母と離縁したりした時は後見が開始します。

6.夫婦の一方が他方の嫡出子を養子にした場合、実親と養親の双方の共同親権となります。

7.その場合、一方が死亡すれば他方の単独親権となりますが、その親も死亡すれば、後見が開始します。

8.離婚して、養親を親権者と定め、その後離縁した時は、実親の親権が回復します。

【参考条文】

民法819条4項

父が認知した子に対する親権は、父母の協議で、父を親権者と定めた時の限り、父が行なう。

民法819条6項

子の利益のため必要があると認める時は、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。

民法833条

親権を行なう者は、その親権に服する子に代わって親権を行なう。

民法811条の2

養親が夫婦である場合において未成年者と離縁するには、夫婦が共にしなければならない。ただし、夫婦の一方がその意思を表示する事ができない時はこの限りでない。

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親子関係(31)・・・親権の要件その2

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Q31.そのほかの親権の要件はどうなっていますか?

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一.一方の死亡

1.夫婦の一方が死亡すると、婚姻は解消します。

2.この場合は、生存している親権者の単独親権となります。

二.父母の離婚

1.民法819条1項

 父母が協議上の離婚をする時は、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。

協議が調わないとき、又は協議をすることができない時は、家庭裁判所は協議に代わる審判をすることができます。(5項)

2.第2項

裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。

かつては、父と母が親権者となる割合は半々くらいでしたが、現在では、7割以上、母親が離婚後の親権者となっています。

3.第3項

子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は母が行なう。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者とすることができる。

協議が調わない時、又は協議ができない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができます。
(5項)

三.親権者の変更

1.離婚後は、父母の一方の単独親権となりますが、いったん決めた親権者を変更する場合には、家庭裁判所の調停又は審判が不可欠であり、当事者の協議で決めることはできません。

2.審判に際して、子が15歳以上である時は、家庭裁判所は「その子の陳述を聴かなければならない」とされ、子の意思への配慮も行なっています。

3.親権者の変更を調停で行なう事も可能です。そこで、合意が成立すれば、確定審判と同一の効力が認められます。

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ホリエモン逮捕に思う。

ホリエモンことライブドアの堀江元社長が逮捕された。

家宅捜索を受けた段階で、遅かれ早かれこのような事態は予想されたが、彼にしてみれば、まさに青天の霹靂であったであろう。

ほんの1週間ほど前までは、彼はマスコミの寵児であった。あらゆる番組でもてはやされ、引っ張りだこであった。

彼もライブドアの広告塔として、意識してマスコミに顔を出す機会を求めたのであろう。

一転。

マスコミからはホリエモンは堀江容疑者と呼ばれ、拘置所内での生活、言動などが面白おかしく暴露されている。

彼の容疑は証券取引法違反である。

規制緩和を巧みに利用し、株式分割、株式交換、時間外取引、投資事業組合の介入、M&A、を組み合わせて、不正に株価を操作してきたという。

そもそも、株式分割、株式交換等は、別に違法でもなんでもないが、彼の場合は、粉飾決算の疑いも浮上してきている。

そこまでやれば、あくまで違法領域である。

今後の捜査状況を見極めなければならないが、つい昨日まで時代の寵児と持て囃しておきながら、一転して我関せずの態度をとるマスコミ、政治家のなんと多い事か。

よく調べもせず、勝手に持て囃し、躓けば皆で袋叩きにする。

これが世間だと彼が気づいた時に、本物の経営者に育っていく気がする。

彼を擁護する気はさらさらない。

しかし、転んだ人間に、石をぶつける気も私にはない。

彼がもし違法行為に及んだのなら、しっかりとその責任をとればいい。

行政書士業務も依頼者から様々な相談を受ける。

しかし、これからの行政書士は、在野の法曹のはしくれとして、依頼者に違法は違法とはっきりとした態度でアドヴァイスする力量と勇気を求められている。

株式分割とは?

ライブドア事件で株式分割が問題となっている。

直接の疑惑は証券取引法違反(偽計・風説の流布)の容疑であるが、そこには、「株式分割」と「株式交換」という金融手法を駆使した企業買収戦略があった。

「株式分割」とは、1株を2株に、あるいは2株を3株にというふうに、既存の株式を細分化して、従来よりも多数の株式にすることをいう。

例えば1株10万円の株式を10分割すれば、1株1万円になるので、投資家が増え事業に必要な資本を集めやすくなる。

また、

(1)株価が高騰してそれを下げるニーズがある場合

(2)通常の新株発行を時価発行で行なった後にそのプレミアムを株主に還元する場合

(3)いわゆる株式配当を行なう場合

などに利用される。

しかし、企業家はそのような教科書的な株式分割の定義を知ることにウエートをおかず、株式分割は企業にとって如何に利益をもたらすか、という発想をする。

本来は、株式分割をしても企業価値自体が変わるわけではなく、理論上は1株を2株に分割すれば株価は半分になる筈である。

ところが、実際には、分割直後に株価が急騰する場合が多い。

その理由は、分割により増加する株式の印刷などに50日ほど必要なため、市場では取引できる株式数が極端に少なくなり、投資家は買いたくても買えないという状況に陥るからだ。

そのため、買いやすくなった株に買い注文は殺到するが、売ることはできず、結果的に株価は上昇する。

株価がつりあがった自社株を武器に、相対での株式交換や株式公開買い付け(TOB)によって、企業の買収攻勢に出たのがいわゆるライブドアの手法である。

100分割という大幅な株式分割を行い実質、発表時よりも8倍近い値をつけた。

株式分割自体は、違法行為ではないが、大幅な株式分割は株価の急変動を招く事が多く、東京証券取引所は、昨年3月、その自粛を全上場企業に要請した。

そして、他の国内の証券取引所も同様の要請をしており、大幅な株式分割は事実上、禁じられた形となっている。

株式分割と偽計、風説の流布があいまって、株価は実際には、最初の虚偽発表の直前から2か月弱で、約45倍にまで上昇している。

時代の寵児は今、窮地に立たされている。

今、なぜ会社法制の大幅な見直しが行われたか。

一. ちなみに商法第38条第2項を見てみよう。

 「支配人ハ番頭、手代其ノ他ノ使用人ヲ選任又ハ解任スル事ヲ得」となっている。

  「番頭」とは現代で言う専務、常務クラスの役員を言い、「手代」とは部長、課長クラスの中間管理職を言うらしい。

 従業員(社員)の事を「丁稚」と書いてあれば、ほぼ完璧であったが、明治の立法担当者に、そこまでのユーモアのセンスは期待できない。

 この一例でお分かりのように陳腐化した表現、読みにくいカタカナ表記、文語体を現代社会にマッチした表現に改めようとしたのが改正理由の第1点である。

二. 現行の商法は個人事業主と会社の両者について規定がなされている。

 又、会社については、現行の商法だけでなく「有限会社法」、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」(監査特例法)など、別々の法律で規定されており、構成そのものが非常にわかりづらい。

 さらに、近時、議員立法によるものも含め短期間に多数回にわたる改正が積み重ねられている。

 その全体的な整合性を図り、現代社会により一層対応したものに改善するために、改めて体系的にその全面的な見直しを行おうとしたのが、改正理由の第2点である。

 新会社法は、現行の商法から、「第2編 会社法」を抜き出し、有限会社法を廃止し、監査特例法など会社について規定する法律を統合し、全文を再構成した上で、全979条からなる新しい法律の1つとした。

三.改正された今度の会社法は条文だけで979条、中央経済社の「会社法」の条文集は条文だけで300ページを超えている。

 しかも、憲法や刑法と比べると1条がやたらと長い。

 この現実を前にすると、多くの行政書士の先生方はしり込みをしてしまうであろう。

 何故なら、これまでの行政書士の試験には商法は法律科目40問中2問しか出題されなかったので、ほとんどの受験生は初めから商法を捨ててしまって他の法律科目で点数を稼ごうとしたからである。

 これはこれで受験テクニックとしては正解である。

 そもそも改正法を理解する前の段階の現行法を充分理解していないのであるから、全面改正となれば、向学心よりも恐怖心が先にたつ。

 行政書士が会社法に弱い証拠に、平成17年6月29日に新「会社法」が成立したが、この関連の夥しい数の解説書が本屋さんの店頭を飾っているにも拘らず、著者は弁護士、公認会計士、司法書士、それと商法学者ばかりであり、残念ながら行政書士の名前を見つける事はできなかった。

四.しかし、依頼者は、さまざまな悩みを抱えている。

法律家のはしくれとして、商法に弱い、では依頼者の期待に充分応えきれない。

そういうわけで、理解できる範囲で、新会社法にも挑んでみたい。

親子関係(30)・・・親権の要件

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Q30.親権はどのような親と子に成立するのでしょうか?

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A30.

一.子の側の要件

1.民法818条1項

成年に達しない子は父母の親権に服する。

・まず、子の側の要件としては未成年であることです。

2.民法753条

未成年者が婚姻をした時は、これによって成年に達したものとみなす。

・未成年でも婚姻した時は、この例外となります。つまり、親権に服しません。

二.嫡出子の親権者

1.婚姻中の親権者

(1)民法818条3項

親権は父母の婚姻中は父母が共同してこれを行なう。

共同親権共同行使の原則といいます。

(2)共同で親権を行なう場合で意見が一致しなかった時

先ずは、父母双方で、意見の調整を行ないます。

どうしても、調整がつかなかった場合は、家庭裁判所に問題を持ち出さざるを得ませんが、その場合は、実際には父母の婚姻関係は破綻している場合が多いといえます。

そういう事態になれば、離婚の際の親権者の決定という形で処理せざるを得ません。

(3)民法818条3項但書

ただし、父母の一方が親権を行なう事ができない時は他の一方が行なう。

・父親が海外の単身赴任などで親権を事実上行使できない場合。

・母親が後見開始の審判を受けるなど親権を法律上行使できない場合。

等です。

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親子関係(29)・・・利益相反行為その2

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Q29.親権者の一方と子が利益相反した場合はどうなりますか?

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A29.

一.事例

山田春夫は鈴木一郎に対する債務の弁済として、春夫の未成年の息子秋夫の持つ甲不動産を代物弁済することにして、春夫の妻夏子と共に秋夫を共同代理して売買名義で甲不動産の登記を鈴木一郎に移転した。

その後、成年となった秋夫は、特別代理人を選任せずになされたこの代物弁済は無効だと主張して鈴木一郎に対して移転登記の抹消をもとめた。

秋夫の主張は認められるだろうか。

二.判例

最判昭和35年2月25日(民集14−2−279【百選42】)

要旨:

  「親権者たる父母の一方に民法第八二六条第一項にいう利益相反関係があるときは、利益相反関係のない親権者と同項の特別代理人とが共同して子のための代理行為をなすべきである。」

三.考え方

1.利益相反行為に該当する行為を親権者が行なった場合は無権代理となります。

したがって、子どもが成年に達して追認しない限りはその効果は子に帰属しません。

2.親権者の一方についてのみ利益相反する場合は、どのような代理方法が必要になるか問題になりますが、判例は利益相反行為にない他方配偶者と特別代理人が共同して代理行為を為すべきものとしています。

3.この考え方は学説上も通説として支持されています。

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親子関係(28)・・・利益相反行為

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Q28.利益相反行為とは何ですか?

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A28.

一.利益相反行為

1.親と子どもの利益が対立する場合は、親権の公正な行使が期待できません。

そこで、民法は子どもの為に特別代理人を選任することを規定しました。

2.民法826条

第1項

 親権を行なう父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行なう者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

第2項

 親権を行なう者が数人の子に対して親権を行なう場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行なう者は、その一方のために特別代理人を選任する事を家庭裁判所に請求しなければならない。

3.同意を与える場合

利益相反行為が禁止されるのは、親権者が子を代理して法律行為を行なう場合だけではなく、子がそのような行為をするのに同意を与える場合でも同様です。

二.判例が利益相反行為と認めた例

1.最判昭和43年10月8日(民集22−10−2172【百選39】)

・親が借金するに際し子の財産に抵当権を設定した場合

要旨

 「 一、抵当権の設定契約が無効のときには、その抵当権に基づく競売により、抵当物件が競落されても、競落人はその所有権を取得することができない。

二、第三者の金銭債務について、親権者がみずから連帯保証をするとともに、子の代理人として、同一債務について連帯保証をし、かつ、親権者と子が共有する不動産について抵当権を設定するなどの判示事実関係のもとでは、子のためにされた連帯保証債務負担行為および抵当権設定行為は、民法第八二六条にいう利益相反行為にあたる。」

・民事執行法施行前の事件です。現在では、民事執行法184条により、代金を納付した買受人の権利は、例えば担保権が不存在であっても影響を受けないので、買受人の地位は保護されます。

民事執行法184条

担保不動産競売における代金の納付による買受人の不動産の取得は、担保権の不存在又は消滅により妨げられない。

2.最判昭和37年10月2日(民集16−10−2059)

・親権者が子の名義で借金し、子の不動産に抵当権を設定する行為

要旨

「親権者が子の法定代理人として、子の名において金員を借受け、その債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に借受金を親権者自身の用途に充当する意図であつても、かかる意図のあることのみでは、民法八二六条所定の利益相反する行為とはいえないから、子に対して有効であり、」

「これに反し、親権者自身が金員を借受けるに当り、右債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に右借受金を子の養育費に充当する意図であつたとしても、同法条所定の利益相反する行為に当るから、子に対しては無効であると解すべきである。」

3.最判平成4年12月10日(民集46−9−2727)

・親権者が第三者の債務の担保として子の不動産に抵当権を設定する行為

要旨

 「 一 親権者が子を代理する権限を濫用して法律行為をした場合において、その行為の相手方が権限濫用の事実を知り又は知り得べかりしときは、民法九三条ただし書の規定の類推適用により、その行為の効果は子には及ばない。

二 親権者が子を代理してその所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為は、親権者に子を代理する権限を授与した法の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情が存しない限り、代理権の濫用には当たらない。」

・民法93条

意思表示は、表意者がその真意でない事を知ってした時であっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知る事ができた時は、その意思表示は無効とする。

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親子関係(27)・・・財産管理権

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Q27.財産管理権とは何ですか?

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A27.

一.財産管理権

1.親権は大別すると身上監護権財産管理権に分けることができます。

2.身上監護権については、これまでお話してきましたので、今回からは財産管理権についてお話していきます。

3.親権者に財産管理権が必要となるのは、子どもに財産があるときですが、日本では一般に未成年の子どもに大きな財産があることは、極めて稀です。

4.原則規定

・民法824条

「親権を行なう者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する」

この規定から、財産管理権の内容としては、財産管理代理であることがわかります。

条文では「代表」となっていますが、正確には「代理」です。法人の理事の代理権のように包括的なことから代表という言葉を使ったものと思われます。

二.財産管理

1.「管理」には、事実行為法律行為も含まれ、法律行為には処分も含まれます。

2.親権者が財産管理をおこなう注意義務は、自己の為にするのと同一の注意義務で足り、未成年後見人に要求される善良な管理者の注意義務までは要求されていません。

3.子どもが成年に達した時は、親権者は、遅滞なく管理計算する義務があります。

4.第三者が子どもに財産を与えた場合は、親権者が財産管理権を有するかどうかは、財産を与えた第三者の意思によります。

三.法定代理権

1.子どもに意思能力があれば、子どもが法律行為をして、親権者が同意を与える事もできます。

2.しかし、その場合でも親権者の代理権が失われる訳ではありません。

3.労働基準法では、親権者が子どもに代わって労働契約を締結する事を禁止しています。これは、過去において、親権者が子どもの同意を得て苛酷な労働環境に子どもをおいた歴史があるからです。

四.共同親権者の代理権

1.民法818条3項本文

「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行なう。」(共同親権共同行使の原則

2.父母の一方が共同の名義で代理行為をしたり、又は子どもの法律行為に同意を与えたりした場合には、相手方がこの事を知らない限り、他の一方の意思に反しても有効です。

3.また、たとえ、単独名義でも、他方の同意があれば有効な代理行為となります。

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親子関係(26)・・・子どもの引渡し・・・その4

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Q26.別居中の夫婦の間の子どもの引渡し請求についてはどうなりますか?

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A26.

一.別居中の夫婦の子どもの引渡し請求

1.別居中の夫婦の場合、子どもの引渡し請求には、迅速性よりもむしろ、子どもの福祉がどうあるべきかが、慎重に検討されなければなりません。

2.そういう意味では、家庭裁判所調査官制度を利用して子どもの福祉実現を図れる制度のほうが望ましいといえます。

3.判例も、この点に関してはいろいろと変遷してきています。

二.判例

1.最判昭和43年7月4日(民集22−7−1441)

要旨

 「 一、意思能力のない幼児を監護することは、監護方法の当不当または愛情に基づく監護であるかどうかとはかかわりなく、人身保護法および同規則にいう拘束と解すべきである。

二、夫婦の一方が他方に対し、人身保護法に基づき、共同親権に服する幼児の引渡を請求した場合には、夫婦のいずれに監護させるのが子の幸福に適するかを主眼として子に対する拘束状態の当不当を定め、その請求の許否を決すべきである。」

2.最判平成5年10月19日(民集47−8−5099)

要旨

  「夫婦の一方が他方に対し、人身保護法に基づき、共同親権に服する幼児の引渡しを請求する場合において、幼児に対する他方の配偶者の監護につき拘束の違法性が顕著であるというためには、右監護が、一方の配偶者の監護に比べて、子の幸福に反することが明白であることを要する。」

として、明白性の要件を示しました。

その後の判例において、明白性の要件が具体化されていきました。

3.最判平成6年4月26日(民集48−3−992【百選37】)

要旨

  「夫婦の一方が他方に対し、人身保護法に基づき、共同親権に服する幼児の引渡しを請求するに際し、他方の配偶者の親権の行使が家事審判規則五二条の二の仮処分等により実質上制限されているのに右配偶者がこれに従わない場合、又は幼児が、一方の配偶者の監護の下で安定した生活を送ることができるのに、他方の配偶者の監護の下においては著しくその健康が損なわれ、若しくは満足な義務教育を受けることができないなど、他方の配偶者の幼児に対する処遇が親権の行使という観点からも容認することができないような例外的な場合には、幼児が他方の配偶者に監護されることが一方の配偶者による監護に比べて子の幸福に反することが明白であるものとして、約束の違法性が顕著であるということができる。」

三.考え方

人身保護法の請求は、拘束の違法性が顕著であることを要件としています。

そこで、監護者でない者が拘束している場合には、違法性が顕著であるため、監護者からの人身保護請求が認容されます。

しかし、別居中の夫婦間では、双方が親権者なのであって、明白性の要件を備えない限り、違法性が顕著であるとはいえないと判断されています。

さらに、拘束開始の違法性が強い場合には、親権者同士の争いでも、明白性の基準を審理せずに、引渡し請求を認めています。

このように、親権者同士の争いについては、例外的な場合を除き、人身保護法による救済よりも、家庭裁判所での処理に委ねるという方向性にあるといえます。

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親子関係(25)・・・子どもの引渡し・・・その3

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Q25.子どもの引渡し請求の訴訟形態にはどのようなものが有りますか?

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A25.

一.子どもの引渡し請求の訴訟形態

1.通常の民事訴訟による引渡し請求
2.通常の民事保全処分による引渡し請求
3.人身保護法による引渡し請求
4.家事審判前の保全処分による引渡し請求

等があります。

二.問題点

1. 1,2、については、強制執行の方法として、直接強制が可能かどうか問題になります。

直接強制とは、動産のように執行官が出向いていって、子どもを取り上げてくる事です。

現実には、間接強制程度では相手方が引渡しに応ぜず、勝訴判決にも拘らず実効性が確保されない事例が少なくないようです。

しかし、このような引渡しを命ずる判決が、人間を物同様に扱うもので、憲法13条の個人の尊厳を侵害する、との主張がなされたことがあります。

2.最判昭和38年9月17日(民集17−8−968【百選36】)

「 いわゆる幼児引渡の請求は、幼児に対し親権を行使するにつきその妨害の排除を求める訴であるから、これを認容する判決は憲法第一三条となんら関係がない。」

と、この主張を退けました。

3.これに対して、子が自由意思で第三者の下にとどまっている場合には、履行の請求はできず、親権者は、居所指定権に基づいて、子を説得する必要があります。

三.人身保護法による救済

1.人身保護法は、簡易・迅速・かつ勾引・拘留・刑事罰に裏付けられた強力な手段です。

したがって、使われる場面は多様で、法律によらないで不当に国家権力によって身柄を拘束された場合とか、精神病院への強制入院の場合にも使われる事があります。

そして、子の引渡し請求事件にも判例は、人身保護法が適用されることを認めました。

2.最判昭和24年1月18日(民集3−1−10)

要旨
 「 一 夫婦離婚等の場合において、不法に子を拘束する夫婦の一方に対して法律上子の監護権を有する他の一方は、人身保護法に基いて救済を請求することができる。

二 母が暴力をもつて満二歳に達しない幼児を連れ去ったとしても、その子が現在平穏に養育され幸福である場合には、現在の状態をもつて不法の拘束として、人身保護法を適用する必要はない。」

3.人身保護法が用いられる理由

通常の手続きでは、時間がかかりすぎることが大きな問題点です。子どもは、現在世話をしてくれる人になじむので、時間の経過とともに、引渡しを求める方が不利になります。

そこで考えられたのが、人身保護法の利用です。

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親子関係(24)・・・未婚の母・・・子どもの引渡しその2

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Q24.子どもの引渡し請求には他にどのようなものがありますか?

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A24.

二.日米争奪事件

1.事案

春夫(日本人)とメアリー(アメリカ人)は、国際結婚をした。

その後二人の間に男の子秋夫が生まれたが、夫婦仲が悪くなり、離婚に際し、秋夫を奪い合う形となり、人身保護法の事件となった。

秋夫を奪い去った春夫に対して、「子を母メアリーに返せ」との一審判決が下された。

それにも拘わらず、興奮状態に陥った二人が法廷で秋夫の奪い合いを演じ,とうとう決着がつかないまま、3歳10ヶ月の秋夫が地裁で夜を明かすという異常事態となった。

結局、判決後34時間たって、和解が成立した。

「最高裁判決が出るまで、日本の父親の元で、親子3人が暮らし、最高裁判決には従うこと。

もし、子どもがアメリカの母親の元で暮らす事になったら、1年のうち1ヶ月は日本で過ごさせる」

という事になった。そして3ヵ月後

2.最判昭和53年6月29日(家月30−11−50)

上告を棄却

「子どもは母親の元に返せ」

との判決が確定しました。

これは、破綻した夫婦間の子の奪い合いの事例です。

このほかに、離婚の際に、いったん親権者が母または父のいずれかに決まったにも拘らず、その後他方が子を奪い、両者の間で、奪い合いが生ずるケースもあります。

3.現実の紛争

(1)子どもを引き取ろうとする意思が相手に対する報復に基づくもの

(2)両親が冷めているにも拘らず、両親の祖父母が代理戦争として子どもを奪い合う

など、さまざまなドロドロした様相を呈しています。

4.考え方

いずれにしても、子どもの引渡し請求については、子どもの福祉に最も適合するように、裁判所が後見的かつ積極的に介入すべきものと考えます。

子どもの福祉に適合するかどうかの判断基準としては、

(1)子どもの意思の尊重

(2)子どもの情緒関係の継続性

(3)子どもの成長と発達に対する害を最小限に食い止める活用可能な選択肢

等が指摘されています。

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親子関係(23)・・・未婚の母・・・子どもの引渡し

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Q23.子どもの引渡しをめぐる事件にはどんなものがありますか?

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A23.

一.未婚の母事件

1.事案

春子は幼稚園の先生をしていた。

園児の秋夫の父親と深い中になり、妊娠し、冬彦を生んだ。

関係者の話し合いによって、子どもを欲しがっている田中夫婦(仮名)に養子に出す事にし、田中夫婦の希望によって、実子としての出生届がだされた。

しかし、その後、未婚の母春子の気持ちが変わり、田中夫婦との間に、冬彦を返せ、返さない、の問題が生じた。

田中夫婦の妻が、冬彦を連れて自宅付近で買い物をしていたところ、春子が実力で、冬彦を奪い取って車で連れ去った。

そこで、田中夫婦から、人身保護法に基づく子の引渡し請求がなされた。

この請求は認められるだろうか。

2.最判昭和49年2月26日(家月26−6−22)

最高裁は、結論としては、田中夫婦(仮名)の請求を認めました。

社会的な反響も大きかった事件で、週刊誌にも大きく取り上げられ、未婚の母に対する不当な差別意識に基づく判決である、との批判もなされました。

3.子どもの引渡し請求

このように、未婚の母が様々な事情から、子どもの養育を断念し、他人が代わって子どもを育てていたが、実母として子どもをあきらめきれず、結局子どもの奪い合いが生ずる、というのが子どもの引渡し請求があらそわれるひとつの典型的な事例です。

しかし、問題となるのは、このようなケースだけではありません。

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親子関係(22)・・・・悪魔ちゃん事件その2

前回のつづきをお話します。

 前回は、自分の子どもに「悪魔」という名前をつけて届出を出した父親がいました。

 ところが、簡単にそれが受理されてしまいました。

 あとでよく考えてみると、やはり、これはまずいという事で、受理した側の市長が名前の変更を父親に求めました。

 ところが、父親がそれを拒否したので、とうとう裁判になってしまいました。

というところまででした。

 その後、この事件の結末はどうなったでしょうか?

二.その後

1.東京家八王子支審平成6年1月31日(判時1486−56)

 「悪魔という命名は命名権の濫用として違法で、戸籍事務管掌者は届出の受理を拒否できるが、いったん受理され戸籍に記載された場合は、もはや職権で記載を抹消する事は許されない。」

と判断しました。

2.事件の結末

 事件は、市長が即時抗告して東京高裁に継続しましたが、父親が、「騒ぎに飽きた」などとして、不服申し立てを取り下げ、別の漢字を使った名前を届け出て落着しました。

三.考え方

1.命名権は、親権の一部という考え方も有力ですが、権利としての構成は、親権者が社会との関係おいて、子を命名する権利を主張する局面で意味を持ちます。

2.親と子の関係において、児童の権利条約でも

「児童は、出生のときから氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有する」とされており、子は名を持つ権利を持っています。つまり、命名は命名権者の子に対する義務という事になります。

 それゆえ、子の利益、福祉のために行使する義務を負うことになります。

3.したがって、明らかに子の福祉に問題のある命名が為された場合は、自ら拒絶権を行使できない子に代わって、戸籍事務管掌者が受理を拒絶できると考えるべきでしょう。

4.結局、命名権とは、親権の一部をなしますが、子に対する関係では子に対する義務でもある、という事になります。

5.事例の「悪魔」という命名は、明らかに命名権の濫用、つまり、親権の濫用に当たると考えられます。

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親子関係(21)・・・親権その3・・・悪魔ちゃん事件

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Q21.生まれた自分の子どもに「悪魔」と命名することは許されますか?

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A21.

一.経緯

ある男性が、生まれた自分の子どもに「悪魔」と名前をつけ、戸籍係に提出しました。

戸籍係は、上級機関である法務局支局に問題ないかどうか問い合わせをしたところ、問題ない旨の回答を得たので、その名はそのまま戸籍に記載されました。

ところが、翌日になって法務支局から、記載の翌日に為される慣行になっている市長印の捺印を留保するよう連絡がありました。

最終的には法務局民事局長回答により、「悪魔」という命名を認めず、届出人に新たな名前を追完させるべし、という事になりました。

そこで、市長は、子どもの名前に関して名未定という扱いにしました。

そして、いったん記載していた「悪魔」という名前については誤記を原因としてこれを朱線で抹消し、子どもの父親に対して、名前の追完を求める催告書を送付しました。

そこで、父親は、市長の処分を不服として東京家庭裁判所に審判を申し立てました。

市長は、「悪魔」という名前は社会通念上明らかに不適当であり、命名権の濫用に当たるということで争いました。

二.その後

1.東京家八王子支審平成6年1月31日(判時1486−56)

悪魔という命名は命名権の濫用として違法で、戸籍事務管掌者は届出の受理を拒否できるが、いったん受理され戸籍に記載された場合は、もはや職権で記載を抹消する事は許されない。と判断しました。

2.事件の結末

事件は、市長が即時抗告して東京高裁に継続しましたが、父親が、「騒ぎに飽きた」などとして、不服申し立てを取り下げ、別の漢字を使った名前を届け出て落着しました。

三.考え方

1.命名権は、親権の一部という考え方も有力ですが、権利としての構成は、親権者が社会との関係おいて、子を命名する権利を主張する局面で意味を持ちます。

2.親と子の関係において、児童の権利条約でも

「児童は、出生のときから氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有する」とされており、子は名を持つ権利を持っています。つまり、命名は命名権者の子に対する義務という事になります。

それゆえ、子の利益、福祉のために行使する義務を負うことになります。

3.したがって、明らかに子の福祉に問題のある命名が為された場合は、自ら拒絶権を行使できない子に代わって、戸籍事務管掌者が受理を拒絶できると考えるべきでしょう。

4.結局、命名権とは、親権の一部をなしますが、子に対する関係では子に対する義務でもある、という事になります。

5.事例の「悪魔」という命名は、明らかに命名権の濫用、つまり、親権の濫用に当たると考えられます。

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親子関係(20)・・・親権その2

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Q20.親権の内容にはどのようなものが有りますか?

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A20.

一.親の配慮の3類型

親が保護を必要とする子を配慮するという関係は、大きく分けると次の三つに分けることができます。

1.監護・教育

独立の社会人としての社会性を身に付けるために、子を肉体的に監督保護し(監護)、また、精神的発達を図るための配慮をする(教育)。

2.財産管理・代理・同意

子が財産を有する時に、その財産管理をしてやり、また、この財産管理上の法律行為につき子を代理したり同意を与えたりする。

3・扶養

子の生活費や養育費の経済的負担を負う(扶養)。

二.親権の構造

民法820条で親権者の監護教育権を定めていますが、その具体的内容は821条以下で定められています。

その構造は、以下のようになっています。

1.身上監護権

(1)包括的身上監護権

民法820条は包括的に親権者の監護教育権を定めています。

民法820条

「親権を行なう者は、子の監護及び教育をする権利を有し義務を負う。」

(2)居所指定権

親は、監護教育の任務を果たすために、子がどこに住むかを指定できます。これを居所指定権といいます。

民法821条

「子は、親権を行なうものが指定した場所に、その居所を定めなければならない。」

・親権者以外の第三者が子の居所を定めた場合は、この権限に関する妨害排除請求権が発生すると解され、親権者は、子の引渡し請求をなしうることになります。

・居所指定権についても、親権者が著しく不適当な場所を定めた場合には、裁量権限の逸脱濫用として国家が介入する事ができ、場合によっては、親権喪失の原因となります。

(3)懲戒権

民法822条

「親権を行なう者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。」

この規定にある懲戒場に該当する施設は、戦後の児童福祉法・少年院法の制定とともに存在しなくなりました。

親権者にこのような懲戒権が与えられている法的な意味は、子の監護教育上必要な範囲で実力を行使しても、親権者が民事・刑事上の責任を問われる事はないということにあります。

懲戒権も必要な範囲を超えると親権の濫用となり、親権喪失原因となるとともに、暴行罪を構成することもあります。

特に、濫用された懲戒権限は、身体的虐待・ネグレクト・精神的虐待にも該当することに注意が必要です。

懲戒権限の行使に関しては、いわゆる「しつけ」と「違法な体罰」との区別は難しいところです。

しかし、充分な監護スキルがあるならば、体罰の必要性はほとんど無いはずです。

体罰は当たり前のものではなく、むしろスキル不足に基づく未熟な子育て行為であることに思いを馳せるべきでしょう。

(4)職業許可権

民法823条

「子は親権を行なう者の許可を得なければ、職業を営む事ができない。」

ここでの職業は、自ら職業を営むだけでなく、他人に雇用されて働くことも含まれます。

親権者は、許可権限を有するだけで、親権者が未成年者を代理して労働契約を締結する事は、労働基準法で禁止されています。

親権者は、労働契約が未成年者に不利な場合には、労働契約の解除をすることができます。

2.財産管理権

(1)包括的財産管理権

(2)法定代理権

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建設業許可新規申請の理由ベスト5

建設業許可申請の理由ベスト5



建設業許可申請を新規に行なった500社のアンケートの結果に基づく新規申請の理由のベスト5は以下のようになっています。

第1位

 ・従来「軽微な工事」しか請け負わなかったため、建設業の許可を取得していなかったが、種々の理由により、今回新たに取得した。

第2位

・従来から「軽微な工事」に該当する金額・規模以上の工事を行なっており、本来、許可を取得することが必要であったが、取得しておらず、必要に迫られ新たに許可を取得した。

第3位

・建設業者に勤務していたが、自ら進んで独立して、新会社を設立した。

第4位

・第1位と第2位の分社化

第5位

・業容を広げるため、他の業種から建設業に参入した。


その他

・民間工事で受注要件があるため

・以前から親会社から許可の取得を勧められていた為

・許可を取っていたほうが有利だと思ったため

・自社で製造していたものを他社が取り付け工事を行なっていたが、自社で取り付け工事まで依頼されたため

・工事受注を多様化するため

・共同出資により組合を設立したため

・信用のため

・公共工事の入札参加資格として、当該市町村内で営業をするという要件が定められていたため

・取引建設業者が取得するので一緒に取得した

・建設会社に勤務していたが、リストラされ、やむなく独立した。

・建売住宅産業に専念するため

・下位ランクの入札参加資格を得るため

・いつまでも許可なしでは良くないから

・親会社の指示

・軽微な工事であっても許可業者から文句が出るから

・許可がなければ仕事を受注しにくいため

・建設業の許可がないと公共工事入札に参加できないため

・小規模企業では許可の有無で会社の評価をされるから

・特殊な工事の場合、軽微な仕事であっても元受からの要請により必要になった

・建設業法遵守や書類の整備等の要請がきびしくなってきて、許可取得を迫られた

・全体的に工事物件が減ってきているので、許可のない業者は仕事がもらえない


※以上のほかに、私の個人的な感じでは、金融機関から融資を得るために、許可がないと思うような融資が受けられないといったものがあると思われます。

親子関係(19)・・・親権

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Q19.親権とは親の権利の事ですか?

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A19.

一.親権は権利か

1. 「親は子どもに対しいたずらを禁止する権利を有し、子どもはいたずらをしない義務を負う」などという表現はいかにも現実的ではありません。

2.「親は子どもに対して教育する権利を有し、子どもは勉強する義務を負う」というのもいささか奇妙です。

3.親権は、歴史的には、親の子どもに対する支配権とされてきました。しかし、その後、支配よりも配慮の要素が強調されるようになって来ました。

4.例えば、ドイツでは「親権」という用語が廃止され、「配慮権」という言葉に改められました。又、イギリスでも「親の責任」というふうに転換しつつあります。

二.親権の意義

1.「児童の権利に関する条約」( = 子どもの権利条約)が1989年に採択され、わが国も1994年に批准しました。

2.この条約では、子どもの最善の利益の尊重を謳い、差別の禁止、意見表明権、プライバシー権などが保障されています。

3.今までの子どもを保護の客体とする考え方から、子どもを権利行使の主体とする考え方への転換が図られているといえます。

4.つまり、子どもの自己決定権を最大限に尊重しようという考え方という訳です。

5.しかし、子どもの自己決定権は最初から存在しているわけではなく、家族の監護教育機能・社会化機能を通じて獲得していくものです。

6.そういう意味で、親は子どもの福祉に最大限に配慮しうる存在であるとともに、その権限を濫用する危険性も併せ持っています。

7.したがって、親は子どもに対する引き受け責任を負うとともに、子どもの利益について第一次的に判断する裁量権限を持っている存在と見る事ができます。

8.つまり、「裁量権限を逸脱して子どもに対する引き受け責任に違背しない限り、国家や他者が介入する事を排除しうる権利」として、親権を捉える事ができます。

8.すなわち、「親権とは、子どもに対する引き受け責任を履行するために、親が保有している子どもの利益に対する裁量権限である」といえます。

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親子関係(18)・・・父子関係の証明

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Q18.父子関係を証明するにはどうすればよいですか?

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A18.

一.父子関係の証明

1.母子関係は、分娩の事実によって証明できますが、父子関係の証明は認知訴訟の中でも最も厄介な問題のひとつといえます。

2.父子関係の不存在は、比較的証明しやすいといえますが、父子関係の存在を血液型鑑定だけで100%証明する事は非常に困難です。

3.そこで、父と子との間に親子関係があるという事を一体、何によって証明するかが問題となります。

二.不貞の抗弁

1.戦前の判例では、厳格な立場をとっていて、

(1)子の懐胎可能な時期に、子の母と父とされる男性の間に性的関係があったこと
(2)その時期に母が他の男性と性的関係を持たなかったこと

の証明を要求していました。

2.たとえ、(1)が証明されても、「当時母が他の男性とも性的関係を持っていた」という抗弁を被告側が提出すると、そうでない事を原告側が証明できない限り敗訴してしまうことになります。

3.この被告側の抗弁を不貞の抗弁とか多数関係者の抗弁というふうに呼んでいます。

4.これでは、認知の訴えがあまりにも困難になるとの学説の批判を受けて、戦後、最高裁は戦前の判例を明確に変更しました。

5.すなわち、(2)の要件を、母と他の男性のとの性的な関係が明確にされていない事、と捉え,被告の方で母と他の男性との性的関係を明らかにすることを要求しました。

6.さらに、被告と子との間に血液型において父子関係が存在する蓋然性が認められること、を含めて父子関係が判定されるようになりました。

三.法医学鑑定

1.最近では、血液型のみならず、遺伝子レベルでの鑑定(DNA鑑定)の検査技術が進歩してきていますが、被告が採血を拒否すると、現行法上では、それを強制する手段がありません。

2.そこで、被告が採血を拒否した事案で、東京高判昭和57年6月30日(判タ478−119)では、鑑定結果が得られなくても、「科学的裏付け無しに親子関係が存在することが不相当であるということはできない」として、認知請求を認めました。

四.DNA鑑定

1.DNA鑑定による親子関係判定の精度は、100%とはいえないまでも、極めて高いといわれています。

2.今日では、短時間で結果が判明するし、費用も20〜30万円程度で受けられるようです。

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親子関係(17)・・・認知の提訴期間その3

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Q17.父の死後3年以上経過しても認知の訴えが認められる場合はどんな場合ですか?

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A17.

一.事例

夏子は春夫と内縁関係にあった。昭和50年11月はじめに春夫が失踪した。

昭和51年2月に夏子は秋夫を出産したので、夏子は自ら保管していた春夫の署名、捺印のある婚姻届と、春夫名義で作成した秋夫の出生届を区役所に提出した。

その後、春夫の親族の了解のもとに春夫との協議離婚届を提出した。

ところが、昭和53年12月になって、警察からの身元照会によって、春夫が失踪直後に死亡していたことが判明した。

そこで、上記婚姻届、出生届、協議離婚届は全て無効とされた。

夏子は秋夫の法定代理人として、改めて昭和54年5月に検察官を相手に春夫の認知を求める訴えを提起した。

春夫の死後3年以上を経過しているが認められるだろうか。

二.最判昭和57年3月19日(民集36−3−432)

要旨:

  父の死亡の日から三年一か月を経過したのちに右死亡の事実が子の法定代理人らに判明したが、子又はその法定代理人において父の死亡の日から三年以内に認知の訴えを提起しなかつたことがやむをえないものであり、また、右認知の訴えを提起したとしてもその目的を達することができなかつたことに帰すると認められる判示の事実関係のもとにおいては、他に特段の事情がない限り、民法七八七条但書所定の認知の訴えの出訴期間は、父の死亡が客観的に明らかになった時から起算すべきである。

三.考え方

最高裁は、出訴期間が経過した事を理由として、秋夫の請求を却下した原審を破棄して、このような事例で出訴期間経過を理由に認知請求を許さない事は認知請求権者に酷に失するとして、出訴期間の起算点を春夫の死亡が客観的に明らかになった昭和53年12月とすることを認めました。

考え方としては、このような起算点を柔軟に解釈して、認知請求権者を救済する道を開く事は、妥当な判断だと思われます。

また、787条但書の目的が、身分関係の法的安定性の確保にあることを考えれば、この事例のように父性推定の働く場合に、同条但書を適用する根拠が失われていると考える事もできそうです。

親子関係(16)・・・認知の提訴期間その2

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Q16.父子関係の存在が推定されれば、3年以上経過しても認知請求は可能でしょうか?

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A16.

一.判例

1.内縁の夫婦から生まれた子どもも、父親との親子関係を発生させるためには父の認知が必要です。

2.ただし、判例は、父親である事の立証を容易にするため、772条2項の類推によって父子関係を推定しています。

3.772条2項

婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定する。

4.最判昭和29年1月21日(民集8−1−87)

「内縁の妻が内縁関係成立の日から二百日後、解消の日から三百日以内に分娩した子は民法第七七二条の趣旨にしたがい内縁の夫の子と推定する。」

5.では、父子関係の存在が推定される以上、父親の死後3年以上経過していても認知請求が可能でしょうか。

6.最判昭和44年11月27日(民集23−22−2290)

「所論は、要するに、内縁関係の成立した日から二〇〇日後、内縁関係の解消した日から三〇〇日以内に生まれた子については、認知の訴の出訴期間に関する民法七八七条但書の規定は適用されないとの見解にたって、これと異なる原審の判断を非難するにある。

 しかしながら、同条但書が、認知の訴の出訴期間を、父または母の死亡の日から三年以内と定めているのは、父または母の死後も長期にわたって身分関係を不安定な状態におくことによって身分関係に伴う法的安定性が害されることを避けようとするにあり、民法がこの制限に対して特段の例外を認めておらず、戦争による災害などの場合には、特別立法によって、個別的に右制限規定の適用を排除している(昭和二四年法律第二〇六号認知の訴の特例に関する法律参照)ことに鑑みれば、父子関係が確実であるからといつて、直ちに右規定の適用を排除しうるものとすることはできない。

内縁の妻の懐胎した子の父性を認定するにあたって、婚姻の場合における父性推定に関する民法七七二条の規定を類推適用すべきことは、所論のとおり、既に当裁判所の判例とするところであるが、右により父性の推定を受けるとの一事によって、前記制限の例外を認めることはできない。

所論のような見解によるときには、実際上、認知の訴において前記のような出訴期間の制限を設けた趣旨が没却されるおそれなしとしないのである。

 したがつて、右と同旨の見解のもとに、本件認知の訴を却下すべきものとした原審の判断は正当であって、原判決に所論の違法はない。」

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